呼吸するようにキロクするソリューションを目指して
2014年6月4日、キロク学会#01に受講者兼レポーターとして参加してきました。
ゲストトークやワークショップの詳しい内容はこちらのレポートをお読み頂くとして、ここではキロクに関する参加者の悩みの傾向や特徴的なキーワードを元に、今後のキロクソリューションについて考えて見たいと思います。
イベントには広告代理店、ファッション、小売、EC、デザイン会社などから、プランナー、企画営業、大学生、デザイナー、カメラマン、編集者、ライターといった様々な職業の皆さんが参加され、それぞれのキロクに関する悩みを共有しました。
・そもそも記録、整理するのが苦手。
・画像や映像を撮影できない。
・管理方法にときめかない。
・どこまで、何を記録すべきか面倒くさくなる。わからない。
・知識、ノウハウが共有されにくい。
・成果がアクセスできる形で公開できていない。
・空気感、現場の生々しさが写真で記録できない。 などなど。
こうした悩みをながめていて、「キロクする目的」や「キロクの工程」によって、キロクの悩みは異なってくるなぁと改めて感じます。
■キロクの工程と目的の違いによる悩み
私は「キロク」というこのカタカナ用語を下図のような一連の工程の総称として捉えているのですが、この工程ごとに共通する悩みが存在します。
・人手や時間の不足による悩み
・性格、不得手による悩み
・ルール、作法に関する悩み
また、キロクの目的が、
・自分たちの会社や活動等のPR
・学術的に貴重な資料の保管
・社内でのナレッジ共有
などのように異なると、その悩みはまた細分化していきます。
(※ちなみに、ただひたすら物を収集したり、写真を撮ったりして、それを肴に楽しむことのできる、いわゆる”記録魔”については本稿では扱いません)
こうした異なる工程にあって、異なる目的をお持ちの皆さんが、今回のイベントで一様に強い関心を示していたのが「走りながらアーカイブする」という言葉と、「フォーマット、テンプレート」というキーワードでした。
■アーカイブキットと20x20のプレゼンフォーマット
「走りながらアーカイブする」という言葉は、NPO法人Art&Society研究センター 井出竜郎さんの「アートアーカイブキット」の紹介で出てきたものです。このキットはアートに限らず様々なプロジェクトにおいて、忙しい現場にあってもアーカイブができるように工夫されたアーカイブツールなのですが、参加者の皆さんが感じておられる記録の面倒さや時間不足などを解決し得る手段として強く印象に残ったようです。
実際、プロジェクトを始める前に、「こういう記録はこういう手順で撮っておきましょう」といった指示とそれを書き込むシート等のツールがあれば、現場でも何を記録すべきかという判断に迷わずに済んだり、プロジェクトの準備作業と併行して(マルチタスクで)記録作業を行なっていくことができそうです。
もう一つの「フォーマット、テンプレート」というキーワードは、PechaKucha NightグローバルチームのJohnny Linnertさん&鈴木真理子さんが、世界750都市で開催されているプレゼンイベントPechaKucha Nightのアーカイブ方法を、20枚のスライド×20秒で説明するPechakucha方式で披露したことによるものと考えられます。
当日のプレゼンが20枚×20秒でスッキリ無駄なく披露されたのを見て、たくさん話したい、見せたいものがあったとしても、PechaKuchaのフォーマットに納めるには情報の取捨選択を行なわざるを得ません。別の言い方をすれば、フォーマットが決まってさえいれば、そこでキロクの工程における「整理、分類」や「編集」作業をある程度省略することができます。
■呼吸するようにキロクしたい
「走りながらキロクする」という言葉に通じる考えとして、以前、こちらのエントリ(『これからのキロクソリューションについて考える ~キロク学会のメモより 』)でも書いたのですが、 これからのキロクサービスにおいては、“「記録」と「発信」の行為をできるだけ一つの行為に近づけていく” ことが求めらられるのではないかと考えています。
一つにするのは難しくても、1の行為で1.5の作業は進むといった具合に、できるだけ楽ができるように。(※ここでの「発信」は上図の「公開、共有」にあたります)
一方で、キロクの工程を呼吸のように、情報を吸って(記録し)吐く(発信する)ことができれば、皆さんのキロクの悩みを解消することができるのではないでしょうか。
これら、1の行為で1.5の作業を進めるのにも、吸って吐くようにキロクするのにも、フォーマット(テンプレでも呼び名はどちらでも)は有効なソリューションになりそうです。
このフォーマットの使い勝手の良さ、気持ちよさ、アウトプット時のビジュアルの美しさを制するものが、今後のキロクサービスを制するのではないでしょうか。
■余談だが
今回のイベント参加者には、様々な業界や職業の方々がいて、本稿では触れなかった「ひたすらに何事かを記録することが好き」という、いわゆる記録魔な人もいたことだろう。
今担当している業務やプロジェクトによってキロクに関する悩みは異なってくるので、キロク学会にはいずれ分科会のようなテーマ別の活動が求められてくる気がした。
よろしければ、こちらのキロクに関するエントリーもご覧下さい。
*『アクティブシニアと地方新聞のためのキロクサービス』
*『これからのキロクソリューションについて考える ~キロク学会のメモより』
*『記憶は他者と共有して豊かになる。 ~兄弟別 好きな母親の料理ランキング』
*『親バカパパがッ! ジョジョで! 考えるゥゥゥ!! スマホ時代の写真の残し方』
*『「PHOTO! FUN! ZINE! 」に行って、子供の写真の残し方を考えてみた。』
ゲストトークやワークショップの詳しい内容はこちらのレポートをお読み頂くとして、ここではキロクに関する参加者の悩みの傾向や特徴的なキーワードを元に、今後のキロクソリューションについて考えて見たいと思います。
イベントには広告代理店、ファッション、小売、EC、デザイン会社などから、プランナー、企画営業、大学生、デザイナー、カメラマン、編集者、ライターといった様々な職業の皆さんが参加され、それぞれのキロクに関する悩みを共有しました。
・そもそも記録、整理するのが苦手。
・画像や映像を撮影できない。
・管理方法にときめかない。
・どこまで、何を記録すべきか面倒くさくなる。わからない。
・知識、ノウハウが共有されにくい。
・成果がアクセスできる形で公開できていない。
・空気感、現場の生々しさが写真で記録できない。 などなど。
こうした悩みをながめていて、「キロクする目的」や「キロクの工程」によって、キロクの悩みは異なってくるなぁと改めて感じます。
■キロクの工程と目的の違いによる悩み
私は「キロク」というこのカタカナ用語を下図のような一連の工程の総称として捉えているのですが、この工程ごとに共通する悩みが存在します。
・人手や時間の不足による悩み
・性格、不得手による悩み
・ルール、作法に関する悩み
![]() |
ちなみに”アーカイブ”がどこにあたるのか、実はわかっておりません。。 |
また、キロクの目的が、
・自分たちの会社や活動等のPR
・学術的に貴重な資料の保管
・社内でのナレッジ共有
などのように異なると、その悩みはまた細分化していきます。
(※ちなみに、ただひたすら物を収集したり、写真を撮ったりして、それを肴に楽しむことのできる、いわゆる”記録魔”については本稿では扱いません)
こうした異なる工程にあって、異なる目的をお持ちの皆さんが、今回のイベントで一様に強い関心を示していたのが「走りながらアーカイブする」という言葉と、「フォーマット、テンプレート」というキーワードでした。
■アーカイブキットと20x20のプレゼンフォーマット
「走りながらアーカイブする」という言葉は、NPO法人Art&Society研究センター 井出竜郎さんの「アートアーカイブキット」の紹介で出てきたものです。このキットはアートに限らず様々なプロジェクトにおいて、忙しい現場にあってもアーカイブができるように工夫されたアーカイブツールなのですが、参加者の皆さんが感じておられる記録の面倒さや時間不足などを解決し得る手段として強く印象に残ったようです。
実際、プロジェクトを始める前に、「こういう記録はこういう手順で撮っておきましょう」といった指示とそれを書き込むシート等のツールがあれば、現場でも何を記録すべきかという判断に迷わずに済んだり、プロジェクトの準備作業と併行して(マルチタスクで)記録作業を行なっていくことができそうです。
もう一つの「フォーマット、テンプレート」というキーワードは、PechaKucha NightグローバルチームのJohnny Linnertさん&鈴木真理子さんが、世界750都市で開催されているプレゼンイベントPechaKucha Nightのアーカイブ方法を、20枚のスライド×20秒で説明するPechakucha方式で披露したことによるものと考えられます。
当日のプレゼンが20枚×20秒でスッキリ無駄なく披露されたのを見て、たくさん話したい、見せたいものがあったとしても、PechaKuchaのフォーマットに納めるには情報の取捨選択を行なわざるを得ません。別の言い方をすれば、フォーマットが決まってさえいれば、そこでキロクの工程における「整理、分類」や「編集」作業をある程度省略することができます。
■呼吸するようにキロクしたい
「走りながらキロクする」という言葉に通じる考えとして、以前、こちらのエントリ(『これからのキロクソリューションについて考える ~キロク学会のメモより 』)でも書いたのですが、 これからのキロクサービスにおいては、“「記録」と「発信」の行為をできるだけ一つの行為に近づけていく” ことが求めらられるのではないかと考えています。
一つにするのは難しくても、1の行為で1.5の作業は進むといった具合に、できるだけ楽ができるように。(※ここでの「発信」は上図の「公開、共有」にあたります)
一方で、キロクの工程を呼吸のように、情報を吸って(記録し)吐く(発信する)ことができれば、皆さんのキロクの悩みを解消することができるのではないでしょうか。
これら、1の行為で1.5の作業を進めるのにも、吸って吐くようにキロクするのにも、フォーマット(テンプレでも呼び名はどちらでも)は有効なソリューションになりそうです。
このフォーマットの使い勝手の良さ、気持ちよさ、アウトプット時のビジュアルの美しさを制するものが、今後のキロクサービスを制するのではないでしょうか。
■余談だが
今回のイベント参加者には、様々な業界や職業の方々がいて、本稿では触れなかった「ひたすらに何事かを記録することが好き」という、いわゆる記録魔な人もいたことだろう。
今担当している業務やプロジェクトによってキロクに関する悩みは異なってくるので、キロク学会にはいずれ分科会のようなテーマ別の活動が求められてくる気がした。
よろしければ、こちらのキロクに関するエントリーもご覧下さい。
*『アクティブシニアと地方新聞のためのキロクサービス』
*『これからのキロクソリューションについて考える ~キロク学会のメモより』
*『記憶は他者と共有して豊かになる。 ~兄弟別 好きな母親の料理ランキング』
*『親バカパパがッ! ジョジョで! 考えるゥゥゥ!! スマホ時代の写真の残し方』
*『「PHOTO! FUN! ZINE! 」に行って、子供の写真の残し方を考えてみた。』