これからのキロクソリューションについて考える ~キロク学会のメモより

2014年3月末に開催されたキロク学会に参加して以降、私が今関わっている仕事や考えている事に「キロク」という新しい視座を得ることができました。
本稿ではキロク学会のメモから幾つかのサービス企画のアイデアをまとめたいと思います。


まず、キロク学会に関するちゃんとしたまとめは以下の記事を読んで頂くとして。

『キロク学会 #00 キックオフ!〜記録×アーカイブ×コミュニケーションの可能性をシェアしよう〜』
『キロク学会キックオフ、開催しました! とてもざっくりしたレポートと、よくあるご質問と、仲間募集のお知らせ。』


私のキロク学会における大事なポイントは、

「現代において記録のハードルは下がったが、アウトプットのハードルはまだ高い」

という1点に集約されます。

アウトプットのハードルが高いために、私たちはワークショップに参加したまとめをブログにできなかったり、写真をプリントしなかったり、イケてる履歴書を作れなかったり、企業サイトの実績ページの更新が遅れたりするのではないでしょうか。

この「アウトプット」を「記録したものを発信する」と定義した上でドリルダウンすると、「作業的ハードル」、「心理的ハードル」、「編集的ハードル」に分ける事ができます。

以下、順を追って整理します。


1.作業的ハードル

セミナーやワークショップに参加するといつも感じるのですが、資料配布が投影されるだけで配布されなかったり、資料が存在しない場合(トークセッション等)、もともと私は遅筆なため大事と感じたスピーカーの発言や自分のメモを記録しきる事ができません。
(まぁ要領が悪いという事です)


2.心理的ハードル

セミナーやワークショップに参加した後、ブログにしたいと思うのですが、上記作業的ハードルから大事なポイントをメモし忘れていたり、そもそもメモしたものが正しかったか(スピーカーの発言を曲解していないか)といった事が気になると、途端に書くことを躊躇してしまいます。


3.編集的ハードル

私は毎月両親のために娘の成長をまとめたフォトブックを作っているのですが、スマホから写真をPCに移したり、一からレイアウトを考えたり文章を書いたりする作業がなかなか大変で、いつもウンウン頭を捻りながら2~3時間かけています。



■「記録」と「発信」の行為を一つの行為に近づける

これらのハードルを下げることでアウトプット=発信する行為はラクで楽しいものになるはず。
では、これらのハードルを下げるアイデアをいくつか考えてみましょう。

作業と編集ハードルについては「記録」と「発信」の行為をできるだけ一つの行為に近づけていくという事が考えられます。

一つ変な例を上げますが、次の動画をご覧ください。



これはヤマハ発動機株式会社が6月10日から発売される電動アシスト車椅子「JWスウィング」です。
電動車椅子の特徴は、
「人の力と機械の力の合力で仕事をする仕組み」にあると言えますが、インターフェイスとしては人の動きそのものが入力であり、人はその動きのまま出力結果を身体で感じことができます。

この入力と出力の行為と距離が近ければ近いほど、人が車椅子を操作することが楽になる訳で、同じようなことが「記録」と「発信」についても言えると思います。

娘のフォトブック作成でいえば、娘をスマホで撮影するのと同時に、自動的にフォトブックがレイアウトされていくようになればどれほど楽でしょうか。
既定のページ数やレイアウトパターンに写真を当て嵌めて、不要な写真データを削除していくという編集方法が考えられます。
(フジフィルムのイヤーブックはこれとは似て異なるアプローチを取っていますね)

写真プリント(フォトブック作成)の行為を例にとれば、以下のように各工程をできるだけイコール(一回)の行為に近づけることがポイントになります。

・フィルムカメラ
 撮る⇒記録する⇒プリントする(⇒編集する=アルバム)

・デジカメ、スマホ
 撮る=記録する⇒プリントする(⇒編集する=アルバム)

・フォトブック
 撮る=記録する⇒編集する⇒プリントする(フォトブック)

・理想
 撮る=記録する=編集する=プリントする

なんというか、食べて排泄するとか、息を吸ったら吐くとか、そのくらい意識をしない、自然な行為に近づけていくことが理想かなぁと思います。


■ユーザーを「記録」作業から解放する

次に、セミナーやワークショップでの体験から感じる心理的ハードルについて言及します。
本ブログを始めて以降、何度かワークショップ等に参加してその感想をアップしたいと思うのですが、冒頭述べたとおりスピーカーの発言内容が正しかったか自信がなかったり、大事な写真を撮り忘れたりすると、アップするのに躊躇してしまい、そのままズルズルと日の目を見ないことがちょいちょいあります。
こうした悩みに対し、企業側がオフィシャルな記録素材として資料や講演録などを作成し、配布、公開してあげればよいと思うのです。
この記録作業を代行してあげる事で、参加者はより相手の話を集中して聞くことができるようになり、より良い体験を得る事ができるのではないでしょうか。
現状、多くの企業セミナーやワークショップは開催準備や告知集客、当日の運営で力尽き、記録、公開する所まで手が回っていないように感じます。

記録作業の代行という意味では、フォトクリエイト社のようにスポーツイベントにカメラマンを派遣して、イケてる自分の運動している写真を撮影してもらい後で購入するというビジネスが成り立っているので、こうした企業セミナーでも記録の代行サービスは成り立つように考えますが、どうでしょうか?


■「発信」を前提とした「記録」のハードルを下げる。或いはスタイルを創る。

ここまで「記録」と「発信」のハードルについて考えてみましたが、最後に現状の整理をしておきたいと思います。

デジカメやスマホの登場で記録のハードルは大きく下がりました。
(正確に言うと、制限を気にせず記録できるようになった)

一方でブログの登場で発信のハードルも下がりましたが、それでも尚発信までのハードルは高く存在しています。

そこで今後は、「発信を前提とした記録のハードルを下げる」ことが求められるのではないでしょうか。

企業にとっては代行サービスとして。
個人にとってはリテラシーやスキルとして。


企業セミナーを例に取れば、記録代行サービスにはただデータを記録すること以外に、アウトプットしやすくするための用紙を作って提供するという工夫も考えられます。

個人のリテラシーに関して言うと、私のブログの多くは着想から数か月を経てアップするものが多いため、途中の考察段階から“考察中”としてアップしてしまい、少しずつまとめていくという半公開スタイルを取っても良いのではないかと思います。またそうしたスタイルを許容する、それを楽しめる環境を作ることができるように思います。

mediumというブログサービスには、草稿を仲間でシェアし、校正・加筆修正する仕組みがあり、仲間からミススペルを指摘してもらったり、わかりやすい文章にするためのヒントをもらったりする事ができるようです。
私のブログ等はごく限られた友人知人や育児クラスタしか見ておりませんので、自分が書きたい話題について意見交換しながら書き上げていくというスタイルがあって良いように思います。



このように記録と発信のハードルを下げるためのリテラシー習得や代行サービスを提供する事が、今後ますます進むデジタル社会におけるユーザーの課題解決になり、ビジネスチャンスにつながる事は間違いないでしょう。

本稿はこれで終了しますが、今後はより具体的なキロクソリューションについて考えていきたいと思います。



■余談だが。

ここ数年の自分の生活を振り返ってみると、アーカイブしたものを愛でる時間的余裕がないように感じる。
愛でるってのは贅沢だなぁ。。

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