2021/06/20

あの日、どうやったらキャッシュカードのドブ落ちを回避できたのか?

人は何かを失って初めて、自分の意思決定を振り返る。

「あのとき、こうしていれば」

「なんで、あんな選択をしたのか?」

そんな反省を行うのは、ほとんどの場合、失敗した後だ。うまくいったときに振り返ることはほとんどない。

失敗する前に、「未来でこんなこが起きるから、その選択はしないでおこう」とか、起こり得るリスクを想定して意思決定を慎重に行うということは、その経験がなければ不可能に近いのだ。

ところで私は先日、アーネとジージョの二人を連れて遊びに出かけた公園で、キャッシュカードをドブに落としてしまった。

5月の末、その日埼玉県北部は真夏日でずいぶん暑かった。公園でサッカーをしていたアーネがのどの渇きを訴え、私は財布から千円札を手渡し、公園のすぐ傍にある自販機で飲み物を買ってくるようアーネに言った。財布には小銭がなかった。私の財布の小銭入れはほとんどスペースがないせいもあって、普段は極力カード払いにして小銭を持たないようにしている。

アーネが自販機に向かおうとしたとき、ジージョが自分も行くと言い出した。アーネは4年生で、一人で行かせても不安はないが、ジージョと一緒となると不安が残る。ジージョがだだをこねるのも嫌なので、結局私がジージョの手を引き、三人で自販機に向かった。

JRやメトロ駅構内の自販機と違い、私の暮らす街の自販機はICカードに対応していない。ところが、その自販機はICカード対応していた。前述したように、私は小銭を持ちたくないので、アーネに渡した千円札を財布に戻し、Suicaで飲み物を買った。このとき、財布からカード類がこぼれ落ち、メインバンクのキャッシュカード1枚だけが、きれいにスッとドブに落ちていったのだ。

前置きというか経緯が長くなってしまった。このキャッシュカードのドブ落下事件には、4つの分岐点があった。図を拡大してご覧頂きたい。


そもそも、公園に行くときに水筒を持っていくチャンスがあった。それを「重いから」と私が持っていかなかったのだった。
アーネが自販機にいくとき、千円札ではなく、財布を渡していれば、ドブ落ちを回避できたかもしれない。
ジージョが自分も自販機に行くというのを、他の遊びで釣って、行かせなくするという選択肢もあったが、それを私が面倒がった。
自販機でSuicaが使えるとわかっても、アーネに渡した千円札を使えば、小銭はポケットに突っ込んで、財布をポケットから出すことがなかったかも知れない。
なのに私はこの分岐点でことごとく間違った意思決定をしてしまったのだ。


悩ましいのは、意思決定はそのときの状況だけではなく、過去の経験の積み重ねやポリシー、価値観などが影響を及ぼすということだ。
私にはこの日に至る「過去」の間に、ドブ落ちを回避するチャンスがあった。
財布からカード類がこぼれる経験を何度かしていて、財布を買い換えるという機会があったのに、それをしなかった。小銭を持ちたくないというポリシーがなければ、(それは遡れば財布を買い換えていれば)問題は起きなかったかも知れない。


そもそも公園に行かないという選択肢がなくもなかった。

未来を予測することは難しい。間違いのない意思決定をし続けることも難しい。

しかし苦い経験をした私は、今後公園に限らず、子どもと外出する際は必ず水筒を持っていくことだろう。ひょっとしたら財布を買い換えるかもしれない。

経験とは、皆が失敗につける名前のことだ。

2021/05/25

娘二人の成長とともにあった自転車が盗まれた

平成から令和に変わり、婚姻届けや契約書など、多くの人がワクワクとした、新鮮な気持ちで新しい元号を綴ったであろうその年。私は自転車の盗難届に、記念すべき初めての「令和」を書いた。

2011年生まれのアーネが2歳になったとき。東京都杉並区成田東のサイクルステーションワタナベで、私はブリヂストン アンジェリーノ AG26-3 M.ジュエルブラウンを購入した。

店内には電動タイプと通常タイプのアンジェリーノが肩を並べていたが、今もそんなに余裕があるわけではないが、さらに余裕のなかった当時、妻のそこはかとない「電動がいいな・・・」オーラを感じながらも通常タイプを購入した。

これまでベビーカーでの遠出はJR阿佐ヶ谷駅までだったが、アンジェリーノ購入後はモンゴル帝国が馬にまたがり長駆ヨーロッパに進出したかの如く、一気に行動範囲が拡大した。


寿司が好きな私とアーネは、リーズナブルな回転寿司を求め、近郊の回転寿司チェーンにまで遠征したり、妻の職場のある隣の区に迎えに行ったりした。

ジージョが生まれ、埼玉県に引っ越した後も、妻が毎週土曜勤務でワンオペ育児のなか、前にジージョ、後ろにアーネを乗せ、近所の公園を全制覇し、慣れぬ土地での暮らしに馴染むことに一生懸命だった。

運転免許はあっても20年近くハンドルを握っていない私にとって、アンジェリーノは私の愛車であり、娘二人の想い出に欠かせないものだった。

その愛車が、2019年に駅の駐輪場で盗まれた。今こうして「盗まれた」と書いているときも、当時の怒りを思い出して耳の奥がキーンとなる。

駅近くに乗り捨てられていないか、あちこち探し回ったが見つかることなく、自転車なしの生活は考えられないため、量販店で最も安い子ども乗せ自転車を買った。

残念ながらその新車は、アンジェリーノのようにサドルがふっかふかではなかった。長時間乗ると尻が痛くなる。

新車はスタンドをかけるときに「よっこらしょ」と口に出さなければいけないほどの力を要する。その点アンジェリーノは軽々とスタンドを立てることができるのだ。

新車の前方の子どもを乗せる椅子の足の置き場がせまく、ジージョは足を窮屈そうにしていた。アンジェリーノは足の置き場を調節するようにできているのだ。

新車にはなんの罪もないが、ことあるごとにアンジェリーノと比べてしまう自分がいた。

一年経ち、covid-19の影響で在宅勤務になり、運動のため近所のマックに徒歩15分かけて歩いて行く道すがら、記憶の片隅にあったジュエルブラウンの機体を、とある一軒家の庭先で見つけた。

見まごうことなくアンジェリーノである。

盗難届を出したときに調べた自転車登録シールさえ見ることができれば、すぐにでも交番に駆け込むのだが、それには距離が遠すぎる。その家には車が二台あり、一台残っていればその家に住む誰かが残っている可能性があり、うかつに庭先に足を踏み入れることはできない。確証はまだないのだ。

すぐ目の前にアンジェリーノがあるというのに手を出せない状況に歯噛みする日々が続いた2021年。散歩ついでに寄った公園で仕事をしていた私のスマホを見知らぬ電話番号が揺らした。

警察署からだった。

その日の昼、自宅に市内循環と称してお巡りさんが自宅に来て、最近車の盗難などがあるので気をつけてくださいと言われたのが脳裏に浮かび、何かよくないことが起こったのかと緊張して話を聞くと、アンジェリーノが見つかったと言う。

「今、自宅の前に持ってきたので受け取ってほしい」と言われたが、あいにくビデオMTGがあってすぐに帰れなかったので、妻に受け取ってもらった。

家に帰ると、忘れもしないアンジェリーノの姿がそこにあった。

妻とジージョが早速洗ってくれていた。

アーネを乗せていた後部座席は留め具のネジが破壊され、取り外されていた。

妻が聞いた警察の話によると、自転車は乗られていた形跡があるが、犯人が引っ越した後にアパートの駐輪場の奥に押し込まれていて、大屋さんもそのまま放置していたとのことだった。

見つかった喜びと後部座席の破壊への怒りと、もう一台の自転車の扱いをどうしようと色々な感情や想いが交錯するなか、妻が笑顔でこう言った。

「お巡りさんが、二年間見つからないで乗り回された形跡もあるけどパンク一つしていない。さすがブリヂストンって何回も言ってたよ」





2021/05/08

ハンデや我慢をせず、ルールを変えて遊びを楽しむ

 わが家にはアーネ(2011年生まれ)とジージョ(2015年生まれ)の2人の娘がいます。

4才年が離れていると一緒に遊んでもやるのが難しいゲームや役割が出てきます。

たとえば漢字で書かれている読み札を読むカルタ。

私、妻、アーネ、ジージョの4人で遊ぶとき、一人が読み手になります。ジージョが読み手になりたがりますが、ジージョはまだ漢字を読むことができません。そんなときは取り手の私か妻がが一緒に読みます。でもそうすると、私と妻と競争したいアーネはつまらなくなります。誰かが我慢をしなくちゃならない。

我慢やハンデというのは彼我の実力や経験、身体能力に差がある時に生まれるものですが、あまり楽しいものではありません。

あるとき読み手になりたいジージョが「ジージョは漢字を読めないからひらがなだけ読む」と言いました。
わが家で流行っているのは「ととカルタ」というもので、下の写真のような読み札です。


ジージョは、タチウオだと「●の● ぎんの●でたち●ぎ」。ホウボウだと「●なのに●がある おなかがすいたとホウボウ●く」と読みます。
読んでいくうちに答えが示される魚もあれば、「せいりゅうそだち」と聞けば「鮎かカジカか?」と特徴を示すキーワードから連想・推測して札を取ります。

最初は「まぁしょうがないか」と思って始めた「ひらがなだけ読むカルタ」に「推測」という要素、別種の難しさが加わって、つならないどころかいっぺんに楽しくなったのです。
一度聞いてわからないと「もう一回読んで」とリクエストし、とにかく札を読みたいジージョも満足します。

もう一つエピソードを紹介します。

わが家には国旗カードがあります。あるときジージョがおもちゃ箱から引っ張り出してきて、「ジージョがみせるからパパ当てて」と言いました。国旗カードは表に国旗のデザイン。裏に国名が書いてあります。40年以上生きてくればマイナーな国はともかく、だいたい答えられるものです。私からするとつまらない遊びです。

つまらそうにしている私を見たからか、ジージョが「もうみないであてて」と無茶ぶりをしてきました。「いやそんなん無理やん」と思った瞬間に閃いて、国旗は見せないで、国旗の特徴をジージョが口にして、それをヒントに私が推測して当てるというルールにしたのです。

そうするとこれがけっこう難しい。


右上のフランス国旗をどう読み上げるかというと、「あお、しろ、あかはな~んだ?」となります。国旗が見えない私にはフランス、ロシア、オランダあたりが浮かびます。「あれ?オランダは青じゃなくて水色だったけな?」と自分の記憶に自信がなくなる。かと思うと、「いやいやチェコもあるで・・・」と候補がまた生まれてくる。
一発で当てられないので、配色以外の特徴を教えてもらいます。国旗にはいろいろな要素があります。「ひだりから、あお、しろ・・・」と配色の順番や位置がきたら、すぐわかってしまうものもあれば、メキシコやアルゼンチンのように「色+象徴(アイコン)」というものがあります。「みずいろとしろとおひさま」と言われると、アルゼンチンが浮かびつつ、ウルグアイもそんなんじゃなかったか?と迷いが生まれます。

この遊び方は子どもが対象の特徴を様々な要素から言葉にして説明するいい機会にもなりそうですし、「知っている」側の大人が、おぼろげな記憶を頼りに、答えに辿り着くための「良い質問」をする訓練にもなりそうです。

我慢をする。ハンデをつけるということではなく、何かルールを変える。ルールの構造のある部分を変える・組み換えることで、遊びが楽しくなる。そんなことがあるものだと感じました。

余談ですが、そんな体験をしたころ、「ゆるスポーツ」を考案されている澤田智洋さんが『マイノリティデザイン』という書籍を出されていることを知りました。考え方としてはまさにこれだなぁと感じました。


2021/03/05

【動画で解説】PBLを進めるための知識と方法

 2021年3月5日から教育新聞でPBLをテーマにした全20回の連載が始まります。


前半10回は私が執筆し、後半10回は一緒に小中高校のPBL支援を行っている、学びの道の池田哲哉さんが執筆します。

前半は下記のラインナップで記事を書きました。


  1. Projectとは何か?(3/5公開)
  2. Projectの性質、失敗の構造(3/9公開)
  3. Projectのライフサイクル(3/13公開)
  4. Projectの誕生期に行うこととよく起こる問題①(3/17公開)
  5. Projectの誕生期に行うこととよく起こる問題②(3/21公開)
  6. Projectの成長期に行うこととよく起こる問題①(3/28公開)
  7. Projectの成長期に行うこととよく起こる問題②(3/31公開)
  8. PBLを進めるためのプ譜(4/4公開)
  9. 仮説を立てながら合意形成する方法(4/10公開)
  10. 教師が書くプ譜と児童生徒が書くプ譜(4/15公開)


PBLを進める上で知っておいてほしいプロジェクトの性質。それに伴って教師と児童生徒に求められるマインドセット。

プロジェクトを誕生期、成長期、円熟期に分け、そこで行っておくべきことと、よく起こる問題を未然に防いだり対処したりする方法。

児童生徒の仮説立案能力を育て、実行と振り返りを促す仕掛け。

児童生徒が自ら目標を立て評価を行い、教師も児童生徒の評価を行いやすくする「プ譜」の活用方法。

複数のメンバーでチームをつくり、互いの期待・思惑を調整して合意形成をする方法。

教師のティーチングポートフォリオやルーブリックとしても、児童生徒のプロジェクトポートフォリオとしても使える「プ譜」の活用方法など、限られた時間と資源で、曖昧で漠然としたプロジェクトの見通しを立てて進めていくための知識と方法をお伝えしていきます。

各回1,000字までという制約があり、お伝えしたいことをまとめきれない筆力不足を補うために解説用動画も制作しました。記事の公開に合わせて動画も公開していきます。動画はYouTubeにアップしていますが、このブログにも10回分の動画を埋め込んでおきます。よろしければご覧ください。


第1回 Projectとは何か?


第2回 Projectの性質、失敗の構造


第3回 Projectのライフサイクル


第4回 Projectの誕生期に行うこととよく起こる問題①


第5回 Projectの誕生期に行うこととよく起こる問題②


第6回 Projectの成長期に行うこととよく起こる問題①


第7回 Projectの成長期に行うこととよく起こる問題②


第8回 PBLを進めるためのプ譜


第9回 仮説を立てながら合意形成する方法


第10回 教師が書くプ譜と児童生徒が書くプ譜


2021/03/03

プロジェクトの問いを見つけて、より良い進め方を考える

 2020年5月から2021年1月まで、公益社団法人日本フィランソロピー協会主催の寄付教育プログラム、「Charity Movie Project(※以下CMP)」の進行を支援していました。同協会ではこれまで中高生を対象に街頭募金を主な手段として寄付教育を行ってきました。しかし、2020年度はコロナの影響で街頭に立って寄付を募るという活動を行うことが難しくなりました。そこで考え出された案が、街頭に立つ代わりにコロナ禍で奮闘するNPOを応援する動画を制作し、その動画をオンラインで配信して寄付を募るというものでした。動画は中高生が主体となり、取材も制作も広報活動も行い、大人はそれをサポートするという役割でした。

このプロジェクトは大きく「動画を制作する」フェイズと、制作した動画を配信して「寄付を募る」フェイズに分かれます。この記事では後者のフェイズで得た発見についてご紹介します。

寄付を募るためには、制作した動画をCMPのWebサイトで配信し、その動画を視聴してもらい、サイトに設置する募金ボタンをクリックしてもらう必要があります。

動画を配信する場所(媒体)と、募金システムという機能・道具はあります。しかし、それをどのように活用して、オンラインで募金することにつなげるか?が中高生にはよくわかりません。それがわからなければどんな募金・広報活動を行えばいいかもわかりません。

そこで、既に寄付の実績のある、寄付の成功事例である街頭募金が、どういう構造なのかをプ譜で表現してみることにした。それが下の図です。



目標はオンラインであっても街頭であっても同じです。街頭で募金箱を持っている学生を想像し、或いはどこかで見たであろう街頭募金の様子を思い出し、

「どうなっていたら道行く人が募金箱にお金を入れているか?」

を考えます。それが目標の上にある「勝利条件」です。

ここでは「道を歩く人の目や耳に引っかかる情報を届けて足を止めてもらい、その場でお金を財布から出してくれている」としました。

次に、その勝利条件を実現するためのあるべき状態「中間目的」を表現していきます。

  • 募金をしてくれそうな人が多く集まる場所に立っている
  • 歩く人が足を止めるような演出ができている
  • 共感してもらうことができている
  • すぐに募金ができるようになっている
  • 募金をしたことの満足感を募金してくれた人が得ている

これらの状態を実現するために行うことが施策です。

施策を行うための資源・制約になるのが「廟算八要素」です。(これについて詳しく話すのは本筋ではないので先に進めます)

募金に成功している街頭募金の構造を表現することで、関わる要素がどのようになっていたら良いか?がわかります。

個々の施策はオンラインと募金で使えるものと使えないものがあります。この場合は使えないものの方が多いでしょう。参考になるのは勝利条件と中間目的です。

例えば、「募金をしてくれそうな人が多く集まる場所に立っている」という中間目的を見て、

「オンラインの場合、募金をしてくれそうな人が多く集まる場所はどこだろう?」

「多く集まる場所に動画を配信するにはどうすればいいだろう?」という施策を考えることができるようになります。

成功事例を真似ることは一つの手段ですが、真似るべきは具体的な施策ではなく、往々にして語られていない“あるべき状態”です。

このようにして街頭募金のプ譜を参考に、オンライン募金のプ譜を考えていきました。


(これについて詳しく話すのも本筋ではないの先に進めます。一つみなさんにお伝えする価値のあることとしては、自分が取り組むプロジェクトの参考になるプロジェクトがあれば、それのプ譜を書いてみるということです)

オンライン募金のプ譜を中高生たちと考えていたとき、ふと頭に浮かんだのが、

「人は何に寄付しているんだろう?」

ということでした。

オンライン募金では、NPOが取り組んでいることの社会的な価値を、わかりやすくエモーショナルに視聴者に届ける構成をつくり、視聴者の感情に訴えかけるような映像・画像選びをすることに苦心してきました。

ただ、街頭募金で道行く人々に呼び掛けているとき、動画のように詳しい情報を届けていないじゃないか、ということに思い至ったのです。

もし、道行く人々が募金活動の背景にある情報を詳しく聞くことをせず募金しているとしたら、人は何に対して募金をするんでしょう?

何が原因となって寄付という結果につながるのか?

人は何に対して寄付をするのか?

という問いは、オンライン募金プロジェクトの進め方を考えるうえで非常に重要です。

この問いからオンライン募金プロジェクトの進め方を考えることができれば、より良い結果になっていたかも知れませんが、残念ながらこのプロジェクトに残された時間は少なく、プロジェクトの進め方を考えなおすことはできませんでした。

私がまだわからないのは、プロジェクトに取り組むうえでの本質的な問いはプ譜において「獲得目標」を問い風(ふう)に言い換えれば良いのか、獲得目標とは別のものなのか?ということです。

このような本質的な問いは、プロジェクトに取り組む前に思いつけないのか、やっているうちにしか思いつけないのか、ということです。

今回のプロジェクトのように、参考とするプロジェクトの構造を明らかにするなかで思いつけるのか、それなしに思いつけるのかということです。

一人で考えだせるのか、関わる人々と対話しているうちに出てくるのかということです。

プ譜には既に一通りの書き方の手順がありますが、今回プロジェクトの「問い」というものを発見して、あらためてこれをどう組み込めば、良いプロジェクトの進め方ができるのかを考えなければいけないようです。


2021/03/02

なんで「ゴールを決める」目標の勝利条件が「コミュニケーションが取れている」なの?~勝利条件を導出するトレーニング

知人に頭脳明晰で切れ味鋭い問題分析としなやかなファシリテーションを得意とするコンサルタントがいます。

彼にはサッカーをやっている小学3年生の息子がいて、クラブチームではフォワードをやっているのだそうです。得点を決めるのが仕事のポジションです。

そんなコンサル&フォワード親子が、「ゴールを決める」という獲得目標でプ譜を書いたと教えてくれました。



プ譜では獲得目標に対して、「それが成功したと言える判断基準や評価指標」となる勝利条件を設定します。基準や指標という言葉では表現しづらいときは、獲得目標が実現されようとしているとき、「自分や関係するヒト・モノ・コトにどんな兆候や変化が現れてきているか?」ということを表現します。

「ゴールを決める」という獲得目標を実現するために、みなさんはどんな勝利条件を思い浮かべるでしょうか?

私などは、どんな体勢でもゴールを決められるよう、利き足だけでなくもう一方の足やヘディングを強化する、といったことを考えました。勝利条件として表現するなら、さしずめ「ゴールのバリエーションが増えている」でしょうか。

ところが出てきた答えは「チームのみんなとコミュニケーションがしっかり取れている」でした。

私は当時小学2年生だったアーネと、「ゴールを決める」という目標の勝利条件が、どうして「チームのみんなとコミュニケーションがしっかり取れている」なんだろう?ということを考えてみることにしました。

アーネはコミュニケーションという言葉に馴染みがなかったので、「チームメイトとよく話し合って、お互いの考えがよくわかっていること」と説明しました。

アーネはサッカーの詳しいルールを知りませんが、こう推論しました。

  1. サッカーは相手のゴールにボールを入れたら点が入る(ゴールが決まる)
  2. 自分の陣地から相手の陣地へボールを運び、相手のゴールにボールを入れなければならない。
  3. ボールはチームのメンバーがボールを蹴って、パスして運ぶ
  4. このとき、「わたしはここにいくから、このへんにパスしてね」ということがチームメイトに伝わっていなければならない
  5. だから、コミュニケーションが取れている必要があるんじゃないの?

プ譜でプロジェクトを表現するとき、まだ明らかにできていないのが勝利条件の導き出し方です。プロジェクトの量をこなせば(経験を積めば)出せるようになるのか、一人よりも複数人で出しあうと良い表現になるのか、ハッキリとしたことがわかっていません。

ただ、他者の勝利条件を見て、その勝利条件にした理由を推論することは、勝利条件を導出するいいトレーニングになるのではないかと感じました。


2020/07/02

お手伝いの意義はどこにあるのか?

アーネが3年生になってから家の手伝いを一つすることになりました。
洗濯物を取り込む、たたむといったお手伝い候補がいくつかありましたが、アーネは風呂掃除と風呂をくむことをしています。

わが家の風呂は蓋が二つに分かれていて、風呂上がりに蓋をし、毎朝僕が選択をするときに蓋を開けて残り湯を使って洗濯をします。



二枚ある蓋のうち、1枚は蓋をかけておく場所に置くのですが、一晩蓋をしていたので水蒸気で蓋の内側に水滴が残ります。