プロジェクトの「わからないところがわかる」ようになるための道具

アーネが様々なことに「なんで?」と言うようになってきた頃、「なんで“なんで?”と問えるのか?」を知りたくて色々な本を読みました。そのときに読んだ本の中に、佐伯胖先生の『学びの構造』がありました。

同書は昭和50年に刊行された本ですが、初めて読んだのが2016年。2023年になって読み返していたとき、1回目に読んだときには引っかかっていなかった部分がありました。

以下、引用です。

「わかる」という場合、それは単に意味との対応がつく(「網目の結び目」との対応がつく)だけではなく、その「未知なる部分」(網目の「空白部分」)もわかるわけであり、その意味で「わかる」とは「わからないところがわかる」ことである。

この一文に引っかかったのは、ちょうどこの時期、私が小2のジージョの国語教材『たんぽぽのちえ』で、まさに上述のような体験をしていたからです(小2の国語教材『たんぽぽのちえ』が、プロジェクトに必要な思考のいいトレーニングになる)。

 もう一つ、引用します。

「わからない」のは、意味のネットワークの明らかになっていない空白があること。その空白が問い、疑問、仮説、予想を生み出す。

私はプ譜というプロジェクトの仮説を可視化・構造化するフレームワークを開発しましたが、プ譜はまさにプロジェクトの意味のネットワークを表現するものです。プロジェクトの全体像がわかり、空白、未知、「x」の部分が視覚的にわかるものです。

プロジェクトは必ず未知の要素をはらみます。

まったく想定外の未知もあれば、「こういうことが必要かもしれないけど、具体的なところまではわからない」という未知もあります。

プロジェクトでは、そうした未知=空白があることをいったん認め、仮説を実行売ることでプロジェクトの対象に問いかけ、ふりかえりの中でその空白を埋めていきます。

プロジェクトマネージャーの言うことをメンバーがわからない。クライアントの言うことがわからないのは、空白部分があり、意味との対応がついていないからです。

ここが埋まれば、相手の言っていること、考えていることがわかるようになります。

この意味で、プ譜はプロジェクトのことが「わかる」ための道具。プロジェクトの「わからないところがわかる」ようになるための道具であると言えると思いました。



2016年当時はプ譜を開発しておらず、子どもの認知的な興味から読んだ本でしたが、自分に変化が起きた後に読むと、また新しい発見があるものです。

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