小2の国語教材『たんぽぽのちえ』が、プロジェクトに必要な思考のいいトレーニングになる

小2のジージョの毎日の宿題に音読があります。国語の教科書でその時期に習っているものを音読するのですが、5月は『たんぽぽのちえ』でした。

春になるとたんぽぽの黄色いきれいな花がさきます。

二、三日たつと、その花はしぼんで、だんだんくろっぽい色にかわっていきます。 

そうして、たんぽぽの花のじくは、ぐったりとじめんにたおれてしまいます。

けれども、たんぽぽは、かれて しまったのではありません。花とじくを

しずかに 休ませて、たねに、たくさんのえいようをおくっているのです。

こうして、たんぽぽは、たねを どんどん太らせるのです。

やがて、花は すっかり かれて、―――


このように続いていく文章をずっと聞いていると、「・・・のです」「・・・からです」という目的や理由を表現する言葉や、「やがて」「2~3日経つと」といった順序や時間を表現する言葉が使われていることに気づきました。


たんぽぽのふるまいには理由・目的があって、それがまた次のふるまいの原因になっているんだなぁということを思ったわけですが、このとき、大人であってもこれができる人はそんなにいないと思いました。

私はプ譜をつかってプロジェクトの支援を行っていますが、自分のプロジェクトの進め方が整理できていない人は、この順序や理由を表現する言葉をうまく使うことができません。

たんぽぽのちえは目標から逆算して、目標の実現に必要な要素とその状態を定義し、その状態を実現するための具体的な行為・行動を創案したり取捨選択するプロジェクトに必要な思考のいい練習になるんじゃないか?
そう考えて、たんぽぽのちえをプ譜化してみることにしました。

教科書の文に沿ってプ譜にしていくと、いくつか「どうしてこんなことをするんだろう?」「この行為は何のために行っているんだろう?」と疑問に思うところが出てきます。

教科書をよく読んでもその理由がわからない歯抜けの部分がどうしても気になって、図書館に行ってたんぽぽの本や植物の種に関する本を読んだりネットで検索したりして調べてみました。

その結果できあがったのが下記のプ譜です。

「よく晴れて風のある日」のプ譜


しめり気の多い日や雨の日のプ譜


しめり気や雨の多い日の「あるべきではない」状態のプ譜

私自身はたんぽぽについて大して興味関心をもっていませんでしたが、たんぽぽのちえの構造に「わからない」部分があって、それが気になったことで他にも調べてみようと思って行動したことに、小さな、でも新鮮な驚きを感じました。

そして、このわからない部分がわかって、一つ一つの要素とその状態が、どう全体として機能しているのかがわかったとき、初めてたんぽぽのちえが「わかった」と思えたのです。

実際のプロジェクトでは様々な未知のことがあり、事前にはどうしてもわからないものごとがありますが、プロジェクトを進めていく過程で、少しずつ「わかる」範囲が増え、最終的に「わかる」ことができるんであろうと思いました。

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