プロジェクトの病を「問いかけ・対話」と「構造化」で予防・治療する「プロジェクト・クリニック」を開業しました。

プロジェクトの病

プロジェクトを立ち上げ進めていくうえで、私たちは実に多くの問題に見舞われます。

  • 上司やクライアントから漠然とした指示しかなく、どう形にしていいかわからない。
  • 上司やクライアントからやり直しを度々求められる。
  • メンバーに仕事を任せることができない。
  • メンバーが主体的に考え、行動してくれない。いちいち相談がくる。
  • 上司やメンバーが何を考えているのかよくわからない。
  • どの手段を選択していいのかわからない。何から手をつければいいかわからない。
  • タスクのスケジュールへの落とし込み方がわからない。
  • 追加作業、仕様変更や修正が相次ぐ。
  • 手段が目的化してしまう。
  • 今していることだけに注目・注力してしまう。

計画立案の問題、情報共有の問題、進行管理、品質・予算管理の問題等々。なんの問題もなくプロジェクトをゴールに導いたという人はいらっしゃらないでしょう

プロジェクトの病態関連図

問題には必ず原因があります。
しかしそれはただ一つの要素が原因になって発生するわけではなく、様々な要素が絡み合って発生しています。ある問題に直接影響を与える原因もあれば、遠くから間接的に、実は重要な影響を与えている原因もあります。ある問題が別の問題を強化してしまうこともあります。

私は、テーマも業界も規模も異なるプロジェクトの問題に遭遇し、見聞きしてきた経験を整理し、こうした問題と原因の関係を、『プロジェクトの病態関連図(別称:問題症候群マップ』という図にまとめました。


このマップの詳細および記載している「症候群」の詳しい説明は、こちらの記事でご覧いただけます。

そして、プロジェクトの病を予防し、対処していくための道具として、2017年にプロジェクト進行のための考え方とフレームワーク『プロジェクト譜(以下、プ譜)』を開発しました。


プ譜を用いたプロジェクトの研修やワークショップの活動をまとめた書籍を2018年に上梓して以来、5年にわたって上述の問題を予防し、解決するための支援を行ってきました。(※下図は、支援してきたプロジェクトの一例です)

「カウンセリング」と「コーチング」

多種多様なテーマ、規模も条件も異なるプロジェクトの支援を行ってきたなかで、これまで最も要望が多く支援効果の高かった、「カウンセリング」と「コーチング」という2種類の支援メニューを、「プロジェクト・クリニック」と称して提供開始します。

カウンセリングでは、以下のことをお約束します。
  • あいまいな指示や希望を、諸要素の関係性と全体像が見えるようにすること
  • プロジェクトにおける意思決定のための基準づくり
  • 何のために、何を、いつ、どれから、どの程度までやればよいか?がわかる具体的な計画に仕立てること
1回90分を合計2回のセッションに分けて行います。

コーチングでは、カウンセリングで立てた計画をもとに、以下のことを伴走しながら支援します。
  • 「実行した施策の記録と評価などのふりかえり」
  • 「発生する事象や想定外の出来事、状況や環境の変化に応じた仮説の更新と意思決定」
こちらは、1回60分にして希望する回数分行います。

使用する道具と技術

両方の支援メニューに共通する方法と道具があります。
それが「プ譜」と「対話・問いかけ」です。

「プ譜」は、プロジェクトの目標と所与のリソースや置かれている環境、及び目標に至るまでの仮説を表現するツールです。プロジェクトに関わる複数の要素間の関係性・構造を可視化し、全体像を把握することができます。また、実行した施策を評価・ふりかえり、意思決定のプロセスを記録することで、手戻りがないよう進めることができます。

「対話・問いかけ」は、プ譜をつくりあげるために用いるものです。私はみなさんの業界や取り組むプロジェクトのテーマに精通していません。そのため、「こうするべきです」と教えることができません。私の側には答えがありません。一方でみなさんもまたプロジェクトについてモヤモヤとしたものや制約を抱えています。そこで用いるのが「対話・問いかけ」です。

カウンセリングでは、これまでの支援経験から編み出した問いかけパターンを用い、みなさんと対話しながらプ譜を用いてその場で、リアルタイムに、プ譜をつくりあげていきます。これはいわばみなさんと私との共同作業です。
カウンセリングは2回に分けて行いますが(1回90分)、終了時にはそれまで曖昧模糊としてたプロジェクトの進め方のイメージが、具体的なプ譜に落とし込まれています。

コーチングでは、つくりあげたプ譜をもとに、実施した施策の記録や評価について問いかけ、対話し、必要があれば計画の修正、仮説の更新を行っていきます。これを行うことで、将棋の棋譜のようにプロジェクトの意思決定のプロセスが可視化され、メンバーへの共有もしやすくなります。

朝時間を有効に

プロジェクトクリニックの開業時間は平日朝7:00から9:30までです。すっきりした頭で、モーニングコーヒーを片手に、リラックスしてカウンセリングもコーチングも受けていただくことができると思います。
このカウンセリングとコーチングが、みなさんのプロジェクトの病の予防・治療に役立ちそうな期待を抱いていただけましたら、ぜひ下記のページより詳細内容をご覧ください。



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