励ますより前に観察せよ

アーネに倣ってジージョも年長からピアノを習い始めました。1~2回目のレッスンの後、音符の符頭を書いてくるという宿題が出されました。ジージョは買ったばかりのペンケースからピンピンの鉛筆を取り出し、はりきって符頭を書こうとします。

最初の数個は符頭を書くための点線があって、それをなぞれはちゃんと書けます。でもそのあとは点線がなく、ガイドなしで書かなければなりません。これだとジージョが脳みそで思い描いたようにうまく書けないようで、「できない~」「うまくかけない~」と何度もくじけ、泣いていました。

楽譜に書いているようにきれいに書かなくて大丈夫。これはそれが目的ではない。楽譜と仲良しになるための練習。ベートーベンでも音符はうまく書けてない、とスマホで直筆の楽譜を見せたりして励ましますが、ジージョの気持ちはなかなか穏やかになりません。

自分が思ったようになのか、お手本のようになのかわかりませんが、そんなにキッチリできないことがイヤで泣くほどのものなのか私にはわからず、小学校にあがってひらがな一つ、数字一つとってもこんなことになったらどうなってしまうことやら...と思い自室に引きこもってしまいました。

この日は妻がその後もつきあってくれて、最後は「できたー!」というジージョの声が階下から聞こえてきました。

次のレッスンでも符頭を書く宿題が出されましたが、前回は五線譜の線と線の間の空白に書くものだったのが、今回は線の上に書くものでした。上下にはみ出さないように書けばいいものと違い、線の上に書くもののほうが難しそうです。「これはまた泣いちゃうかなぁ」と憂鬱になりかけていたら、たまたまジージョの傍でピアノを弾いていたアーネが何やら話をしていました。


ジージョは「こう?」「どう?」とアーネに書きながら聞き、アーネは「これはいい」「これはヘタ」と話します。そうしたやり取りを続けてジージョは一度もくじけず泣きもせず、音符の宿題を終えました。

アーネにどんなアドバイスをしたのか聞くと、「ジージョは上から書いている。下から書いた方がうまく書ける」というようなことを答えました。
私はそんな書き方のコツがあるとは知らず、後で検索してみると符頭は以下のようなところから書くとうまく書けるようで、下から書くとうまく書けるというのはアーネの我流なのかも知れません。


ただ、その知識の正否より私が反省したのは、私がジージョがうまくかけないとくじけ泣いていることにだけとらわれて、「少々書けなくても大丈夫」と気持ちだけで励まそうとしていたのに対し、アーネはジージョが符頭を書く様子を観察して、その書き方のアドバイスを送っていたということです。
音符くらいでとか、こんなことで泣くなよという自分の気持ち・視点だけでジージョに相対していた自分を、本当に恥じたのでした。

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