なんで「ゴールを決める」目標の勝利条件が「コミュニケーションが取れている」なの?~勝利条件を導出するトレーニング

知人に頭脳明晰で切れ味鋭い問題分析としなやかなファシリテーションを得意とするコンサルタントがいます。

彼にはサッカーをやっている小学3年生の息子がいて、クラブチームではフォワードをやっているのだそうです。得点を決めるのが仕事のポジションです。

そんなコンサル&フォワード親子が、「ゴールを決める」という獲得目標でプ譜を書いたと教えてくれました。



プ譜では獲得目標に対して、「それが成功したと言える判断基準や評価指標」となる勝利条件を設定します。基準や指標という言葉では表現しづらいときは、獲得目標が実現されようとしているとき、「自分や関係するヒト・モノ・コトにどんな兆候や変化が現れてきているか?」ということを表現します。

「ゴールを決める」という獲得目標を実現するために、みなさんはどんな勝利条件を思い浮かべるでしょうか?

私などは、どんな体勢でもゴールを決められるよう、利き足だけでなくもう一方の足やヘディングを強化する、といったことを考えました。勝利条件として表現するなら、さしずめ「ゴールのバリエーションが増えている」でしょうか。

ところが出てきた答えは「チームのみんなとコミュニケーションがしっかり取れている」でした。

私は当時小学2年生だったアーネと、「ゴールを決める」という目標の勝利条件が、どうして「チームのみんなとコミュニケーションがしっかり取れている」なんだろう?ということを考えてみることにしました。

アーネはコミュニケーションという言葉に馴染みがなかったので、「チームメイトとよく話し合って、お互いの考えがよくわかっていること」と説明しました。

アーネはサッカーの詳しいルールを知りませんが、こう推論しました。

  1. サッカーは相手のゴールにボールを入れたら点が入る(ゴールが決まる)
  2. 自分の陣地から相手の陣地へボールを運び、相手のゴールにボールを入れなければならない。
  3. ボールはチームのメンバーがボールを蹴って、パスして運ぶ
  4. このとき、「わたしはここにいくから、このへんにパスしてね」ということがチームメイトに伝わっていなければならない
  5. だから、コミュニケーションが取れている必要があるんじゃないの?

プ譜でプロジェクトを表現するとき、まだ明らかにできていないのが勝利条件の導き出し方です。プロジェクトの量をこなせば(経験を積めば)出せるようになるのか、一人よりも複数人で出しあうと良い表現になるのか、ハッキリとしたことがわかっていません。

ただ、他者の勝利条件を見て、その勝利条件にした理由を推論することは、勝利条件を導出するいいトレーニングになるのではないかと感じました。


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