プ譜ノートをつくってみる
書籍刊行から間もなく二年。
プ譜をつかったワークショップの体験者数は2,000名を超え、書籍の刊行部数も重版をかさねて14,000部になりました。ワークショップ体験者のなかには、会社のプロジェクトで使いたいので、プ譜のデータを希望される方がおり、また、「プ譜」で検索すると、「プ譜、フレームワーク」「プ譜、フォーマット」というワードが関連検索キーワードで出てきます。
プ譜は本人がつくりやすい方法で、パワーポイント、GoogleSlideといったデジタルツールでも、ノートや裏紙にでも書けばいいと考えていましたが、プ譜をつくることに最適化したツールをつくってもいいのではないかと考えるようになりました。
そこで、まず取り組んでみたのが、「プ譜ノート」です。
この記事では、ある目的を果たすために最適化したプロダクトをつくるための懊悩と楽しさをお伝えします。
●プ譜を書くための要件
自分のプロジェクトを、紙・デジタルを問わず、プ譜に記述するフェーズは大きく3つあります。
プ譜ノートの仕様を考えるにあたって、当初もっとも大きな問題ととらえていたのが、プ譜の「更新」です。(※上述の第三局面以降の処理)
パワーポイントなどであれば、第一局面のシートをコピーし、ペーストしたものを第二局面として使用し、そこに事象や情報を書き込んでいけば済みます。紙の場合も、コピーすればいいわけですが、一々複合機の前に移動してコピーするのはめんどくさい。
そこで、試してみたのがカーボンコピー紙を使用することです。
二穴ファイル、プ譜のシート、カーボンコピー紙を用意し、プ譜とプ譜の間にカーボンコピー紙を挟みます。
パンチで穴をあけて、
ファイリングッドプリキュア。
このシートを第一局面とし、サンプルとして「プ譜ノートをつくる」ことを獲得目標にしてプ譜を書いてみます。
第一局面とカーボンコピー紙をめくると、第二局面として“自動的”に、下のシートに第一局面で書いたものがコピーされます。
そうして、第一局面で実行した結果のフィードバック、獲得した情報や事象を吹き出しで書き込んでいきます。
筆圧が弱いと、しっかりコピーされないことがわかります。ペン先以外の部分に力を入れてしまうと、下図のように薄黒くこすれた跡がついてしまうこともわかります。
他にも、第三局面以降をこの方法で更新していこうとすると、それ以前に記述した内容が残り続けていくので(局面が古いものほど薄くはなりますが)、見にくくなってしまいます。
「更新」と「見やすさ」という点を考えると、紙よりデジタルの方が適していそうです。
ここまでは実際にこうして手を動かす前になんとなくわかっていたことですが、やはり実際に目で見て体感してみた方がいい。何より、プ譜ノートをつくるうえで重要な気づきを得ることができました。
それは、「紙がプ譜を書く制約になってしまっているのではないか?」ということです。
私は、プ譜を書くうえで、「最初から腹落ちする勝利条件は書けない」、(それに伴って)「理路整然としたきれいなプ譜は書けない」ので、頭の中で思いついたことがあったら、どんどん書く。書き直すことを奨励しています。
ただ、「どんどん書く」「書き直す」うえで、例えばワークショップの最中にプ譜のシートを一枚しか渡されていないと、鉛筆やフリクションであれば消せるものの、普通のペンだと書き直しができない。書けるスぺースがなくなってしまいます。
「書き直し」が気軽にできないとなると、「どんどん書く」というわけにはいかない。
なので、別途白紙を渡して、そこにあれこれ書いてみて、清書するタイミングでプ譜を渡すという方法が考えられます。
もう一つ、プロジェクトを進める上で、初期段階ではなるだけ豊かな選択肢を出すことが重要です。しかし、第一局面のプ譜を書き始めるとき、どのくらいの中間目的や施策を出せるかは書いてみないとわかりません。表現を換えると、どのくらいのスペースが埋まるかがわからない。
それはつまり、どのくらいの文字サイズで書けばいいかがわからないということです。
文字が大きければ書き直せばいいのですが、私もそれはめんどくさい。
「どんどん書こう」ということが、こうした些細に見える原因からなかなかできない。
このように考えていくと、紙という空間的な制限から思考と書くという行為を解き放つ必要があります。
たとえば、勝利条件付箋、中間目的付箋、施策付箋いうものをつかい、ここにどんどん書いていく。これなら書き直しの必要がありません。書いた付箋をあれこれ組み合わせ、新しい勝利条件や中間目的を思いついたら、新しい付箋に書く。
そして、最終的にこれならうまく進められそうだと腹落ちする勝利条件、中間目的、施策付箋の組み合わせを「台紙」に貼る。
これを清書するのか、撮影してGoogle Driveの画像テキスト起こし機能を使ってどうこうするかはまだ考えていませんが、「どんどん書けない問題」は解決しそうです。
ここで大きくプ譜ノートづくりに話を戻すと、ノートという仕様がいいのか、バインダーとリフィルとして分けたほうがいいのか、子どものラクガキ帳のような紙質の低いもので、心理的にも金銭的のも書き捨てる抵抗のないものにするかといった考えが浮かびましたが、カーボンコピー紙を使う場合、領収書のように一枚一枚挟んでいくのか。少数にして都度挟むようにするのか、その場合一枚の用紙でどこまで耐久性があるのかとか、予算もなにも考えず、とりあえずアイデアを形にしてみたものの状態なので、ここは盟友後藤洋平さんと相談して、またあらためてどうしていくか決めたいと思います。
後藤さん、以上中間報告でした。
プ譜をつかったワークショップの体験者数は2,000名を超え、書籍の刊行部数も重版をかさねて14,000部になりました。ワークショップ体験者のなかには、会社のプロジェクトで使いたいので、プ譜のデータを希望される方がおり、また、「プ譜」で検索すると、「プ譜、フレームワーク」「プ譜、フォーマット」というワードが関連検索キーワードで出てきます。
プ譜は本人がつくりやすい方法で、パワーポイント、GoogleSlideといったデジタルツールでも、ノートや裏紙にでも書けばいいと考えていましたが、プ譜をつくることに最適化したツールをつくってもいいのではないかと考えるようになりました。
そこで、まず取り組んでみたのが、「プ譜ノート」です。
この記事では、ある目的を果たすために最適化したプロダクトをつくるための懊悩と楽しさをお伝えします。
●プ譜を書くための要件
自分のプロジェクトを、紙・デジタルを問わず、プ譜に記述するフェーズは大きく3つあります。
- 第一局面 プロジェクトを進めるための仮説を記述
- 第二局面 第一局面の仮説を実行して遭遇した事象や獲得した情報の書き込み
- 第三局面 第二局面の事象や情報を元に、仮説を更新(プランを変更)
プ譜ノートの仕様を考えるにあたって、当初もっとも大きな問題ととらえていたのが、プ譜の「更新」です。(※上述の第三局面以降の処理)
パワーポイントなどであれば、第一局面のシートをコピーし、ペーストしたものを第二局面として使用し、そこに事象や情報を書き込んでいけば済みます。紙の場合も、コピーすればいいわけですが、一々複合機の前に移動してコピーするのはめんどくさい。
そこで、試してみたのがカーボンコピー紙を使用することです。
二穴ファイル、プ譜のシート、カーボンコピー紙を用意し、プ譜とプ譜の間にカーボンコピー紙を挟みます。
パンチで穴をあけて、
ファイリングッドプリキュア。
このシートを第一局面とし、サンプルとして「プ譜ノートをつくる」ことを獲得目標にしてプ譜を書いてみます。
第一局面とカーボンコピー紙をめくると、第二局面として“自動的”に、下のシートに第一局面で書いたものがコピーされます。
そうして、第一局面で実行した結果のフィードバック、獲得した情報や事象を吹き出しで書き込んでいきます。
筆圧が弱いと、しっかりコピーされないことがわかります。ペン先以外の部分に力を入れてしまうと、下図のように薄黒くこすれた跡がついてしまうこともわかります。
他にも、第三局面以降をこの方法で更新していこうとすると、それ以前に記述した内容が残り続けていくので(局面が古いものほど薄くはなりますが)、見にくくなってしまいます。
「更新」と「見やすさ」という点を考えると、紙よりデジタルの方が適していそうです。
ここまでは実際にこうして手を動かす前になんとなくわかっていたことですが、やはり実際に目で見て体感してみた方がいい。何より、プ譜ノートをつくるうえで重要な気づきを得ることができました。
それは、「紙がプ譜を書く制約になってしまっているのではないか?」ということです。
私は、プ譜を書くうえで、「最初から腹落ちする勝利条件は書けない」、(それに伴って)「理路整然としたきれいなプ譜は書けない」ので、頭の中で思いついたことがあったら、どんどん書く。書き直すことを奨励しています。
ただ、「どんどん書く」「書き直す」うえで、例えばワークショップの最中にプ譜のシートを一枚しか渡されていないと、鉛筆やフリクションであれば消せるものの、普通のペンだと書き直しができない。書けるスぺースがなくなってしまいます。
「書き直し」が気軽にできないとなると、「どんどん書く」というわけにはいかない。
なので、別途白紙を渡して、そこにあれこれ書いてみて、清書するタイミングでプ譜を渡すという方法が考えられます。
もう一つ、プロジェクトを進める上で、初期段階ではなるだけ豊かな選択肢を出すことが重要です。しかし、第一局面のプ譜を書き始めるとき、どのくらいの中間目的や施策を出せるかは書いてみないとわかりません。表現を換えると、どのくらいのスペースが埋まるかがわからない。
それはつまり、どのくらいの文字サイズで書けばいいかがわからないということです。
文字が大きければ書き直せばいいのですが、私もそれはめんどくさい。
「どんどん書こう」ということが、こうした些細に見える原因からなかなかできない。
このように考えていくと、紙という空間的な制限から思考と書くという行為を解き放つ必要があります。
たとえば、勝利条件付箋、中間目的付箋、施策付箋いうものをつかい、ここにどんどん書いていく。これなら書き直しの必要がありません。書いた付箋をあれこれ組み合わせ、新しい勝利条件や中間目的を思いついたら、新しい付箋に書く。
そして、最終的にこれならうまく進められそうだと腹落ちする勝利条件、中間目的、施策付箋の組み合わせを「台紙」に貼る。
これを清書するのか、撮影してGoogle Driveの画像テキスト起こし機能を使ってどうこうするかはまだ考えていませんが、「どんどん書けない問題」は解決しそうです。
ここで大きくプ譜ノートづくりに話を戻すと、ノートという仕様がいいのか、バインダーとリフィルとして分けたほうがいいのか、子どものラクガキ帳のような紙質の低いもので、心理的にも金銭的のも書き捨てる抵抗のないものにするかといった考えが浮かびましたが、カーボンコピー紙を使う場合、領収書のように一枚一枚挟んでいくのか。少数にして都度挟むようにするのか、その場合一枚の用紙でどこまで耐久性があるのかとか、予算もなにも考えず、とりあえずアイデアを形にしてみたものの状態なので、ここは盟友後藤洋平さんと相談して、またあらためてどうしていくか決めたいと思います。
後藤さん、以上中間報告でした。