考えのプロセスを消さない。あるいは、残す。

プ譜をつかったワークショップには、これから行うプロジェクトの仮想演習を行うものと、これまでのプロジェクトを振り返るものの大きく二種類があります。
後者のワークショップは、自分たちのプロジェクトを、プ譜をつくりながら振り返る(振り返りながらプ譜をつくる)のですが、このワークショップを経験した方からは、こんな感想をよくいただきます。

●プロジェクトを進めたいた当時、どういう思考で進めていたのかがわかる。
●業務の要素間の関係、思考の軌跡や変遷が時系列でわかる
●感覚的にやっていたことが、何のためにやっていたのかが整理できる

こうした感想=価値はわかっているものの、その価値を表現する語彙が少ないというか、もっとこの価値をうまく表現できないものかと考えていたときに、アーネ(7才)の宿題プリントを目にしました。

算数の問題文を読み、その式を書いて答えるというものでした。




アーネが答えとなる式を書いたノートを見ると、あれこれ考えた跡が残っているのがわかります。
あぁ、こうやって答えに辿り着いたのだなと。
これがわかるのと、わからないのとでは、もしアーネが問題につまづいていたとき、できること、支援できることに大きな差が出てきます。
ちなみに、フランスの小学校では、鉛筆と消しゴムを使わず、ボールペンを使った宿題やテストを行うことで、考えのプロセスを(強制的に)消さないようにするという取り組みがあるそうです。

これは大人からすればとても簡単な、ごくわずかな時間でできてしまう問題ですが、根本的には同じ問題でありましょう。
考えのプロセスがわからない。プロセスが残っていないがゆえに、うまく引き継げない、継承されないプロジェクトのなんと多いことか。
成功したプロジェクトは「私は最初からこうなると思っていました」という成功譚が残るばかり。
失敗したプロジェクトは原因もあやふや、終わりなき責任転嫁、責任探しで迷子になり、迷子になってりゃまだいいほうで、振り返りすらされないプロジェクトも多い。

そこで得られる教訓はいろいろあるのに、そのための記録がされず、意思決定のプロセスが残されない。
プ譜がこうした問題解決の一助になっていることを喜びつつ、今後は、こうした振り返りの方法やプロジェクトを進めるための合意形成の方法について、より実践的な方法をまとめていきます。

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