玉ねぎがきつい ~子どもの「代用」する力

わが家にはアーネ(7才)とジージョ(3才)の二人の愛娘がいます。

先日、ジージョといっしょに料理をしました。玉ねぎを切るとき目にしみないよう、水中メガネの着用を勧めると、「これもなくちゃならん」と、水泳帽もセットでかぶります。


この日は、最初にチンゲン菜を。次にニンジンを。三つ目に切ったのが玉ねぎでした。

ジージョは子ども用の包丁を使って玉ねぎを切っていったのですが、このとき、

「たまねぎがきつい・・・!」

と口にしました。

これは玉ねぎが何層にもつらなって、チンゲン菜やニンジンのようにはやさしく切れないことをジージョなりに表現した言葉だと思いますが、大人だったら「たまねぎがきつい」なんていう表現はしません。

きついという言葉は、洗濯物をきつくしぼるとかいうように、力を強く入れる意味に使います。
服がきつい、というように、窮屈な感じを表現することにも使います。

きついという言葉は、包丁がスッと入らない状態を言い表すための言葉ではないということを、ジージョは知りませんが、でも、ニュアンスはとてもよくわかります。

ジージョは家庭や保育園生活の色々なシーンで言葉を獲得しているのでしょうが、今の自分の状態を、正しいか間違っているかはわからないが、ありあわせの、今の手持ちの言葉で表現しようとする姿に、ハッとさせられ、じんわり感動します。

私はプロジェクトマネジメントを生業としていますが、プロジェクトをやっていると、「あれが足りないこれが欲しい」ということがままあって、「あれがなかったからできないのだ」という言い訳をアチコチで耳にします。
そんなとき、ジージョやアーネが見せた、あり合わせの素材でもって表現する力を思い出します。

アーネの「うそせき」「なれくずす」といったイノベーティブな言葉の表現を思い出しながら、親バカが最前線からお伝えしました。


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