なれくずす ~不足と連想が創り出す子どものコトバ


「つい最近できたと思っていた行為が、少し時間が経ってできなくなっていること」を、
みなさんは何と表現しているでしょうか?

アーネがエスカレーターに乗れるようになったのは5歳になる前くらいだったと思いますが、
小学校に上がる少し前、ショッピングモールのエスカレーターに乗ろうとして、
タイミングをうまくつかめず、二三度チャレンジして乗ることができました。

そうしてエスカレーターに乗った時、

「なれくずしちゃったみたい」

と言いました。

概念とは、皆が漠然と気づいていながら、
適当な言葉がなくてうまく使いこなせずにいることに対して、言葉を与えていくもの。


と、何かの書籍に書いてあったことをメモっていたのですが、アーネが自分の持つコトバの中から、その行為や出来事にふさわしいコトバをつくり出す様を目の当たりにして、心が震えました。

同じような経験をアーネが4歳の時にもしていて、その時は、「エヘンエヘンとして、ペーしておいで」と大人(私)が言ったコトバを、アーネは「うそせき」と表現しました。
(参考 「うそせき」~不足と連想から生まれる子どものことば

このとき私は、親からすれば不足に映る子どもの限られた語彙が、子どもの持つ連想(アナロジー)力と、固定概念のなさによって、こうした新語を産むのではないかと考えました。

そして、これこそがprimitiveな形で発現した、イノベーションなのではないかと、親バカを承知で心底思っているのです。

あれから二年経ち、アーネは色々なことを見聞きし、思考の蛎殻のようなものがついてきたかも知れませんが、引き続きこうしたprimitiveな力を大事にしていきたいと思った次第であります。

以上、最前線から親バカがお伝えしました。

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