「なんで?」を育む10個以上の視点(ただいま整理中)

2018年7月に「なんで?プロジェクト」を立ち上げ、その後、富士フイルム、埼玉県庁、docomoショップなどで、なんで?ワークショップを開催してきました。ワークショップのプログラムについては、こちらのページをご覧頂くとして、



このプログラムで最も強調したいのは、子どもが口にする「なんで?」に対して、

「親・大人はけして教え込む必要はなく、なんで?を面白がり、一緒にわからなくなればいい」

ということです。表現を変えると、

「子どもと大人といっしょに、なんで?を育てよう」

と言えると思います。


口にすると簡単ですが、参加した子どもの親御さんから、

「どう面白がればいいかわからない」「わからなくなるのって難しい」

という声が寄せられます。

そのヒントは、なんで?ワークショップ中に仕込み、アウトプット(成果物)として持ち帰られるようにしてあります。

ワークショップでは、一人の子どもが出した「なんで?」写真に対し、グループの子どもが、その写真を見て、自分が感じた「なんで?」をどんどん書き込んでいきます。



一番最初に「なんで?◯◯◯◯◯◯なの?」と書いた本人とは異なる視点で、色々な「なんで?」がシートに書き込まれてくるというわけです。


このシートは自宅に持ち帰って頂いているので、このシートに現れている異なる視点の「なんで?」が参考になるのですが、ゴールデンウイークを機に、これらの多様な視点をいくつかのカテゴリーに分類してみました。

ここでは、実際にアーネ(7歳)が出した、「なんでホテルの窓にはシャッターがないの?」を例に取り、なんで?を育てる視点をご紹介します。

●逆転
2つの事象の順番を入れ替えてみる。原因と結果を入れ替えてみる。入力と出力を入れ替えてみる
「なんで家の窓にはシャッターがあるんだろう?」

●加算
対象に何かを足してみる。足りている状態を考える
「シャッターがあるとどうなるのかな?」

●減算
対象から何かを除いてみる。足りていない状態を考える
「シャッターがないとどうなるのかな?」

●交換
AならばB(A→B)を、BならAでは成り立たないから?と考えてみる
「なんでシャッターじゃないといけないんだろう?」

●周辺
対象の周辺のものに視点を移してみる
「なんで網戸はあるんだろう?なんでカーテンはあるんだろう?」

●拡大、縮小
部分的に拡大、縮小してみたらどうなるか?
「ホテルの窓より小さいところに、シャッターはあるのかな?」
「ホテルの窓より大きいところに、シャッターはあるのかな?」

●比較
異なるケースを考えてみる
「なんで縦に開けるのと、横に開けるのがあるの?」
「縦と横で、開けてみて何がちがうかな?」

●写像
ある形でできたことが別の形でもできるのではないかと考えたり、そのうち側でも起きるのではないかと考えること。
「なんで地下鉄には窓がなくてシャッターがあるの?」


これらは「ホテルの窓のシャッター」を対象にした場合の視点ですが、この他にも、「直列、並列(AをやってからBが直列。AとBを同時にやるのが並列)」という視点や、「乗算(一緒にやってみたらどうなるか?」という視点もあります。

これらの視点は、畑村洋太郎先生の「思考演算」を範に取っており、「なんで?」を育てるための視点としての整理はまだ不十分です。他にもアリストテレスの四原因説もうまく取りこめるのではないかと考えています。


こうした視点を持っておくと、自分自身もまた楽しく、なんで?を面白がることができるように感じます。お子さんが「なんで?」と口にすることがあったら、ぜひお試しください。

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