子育ては、親にとって最高のプロジェクト。 ~マドレ・オホーツク主催『プロジェクトFamily~夫婦(チーム)で取り組む育児プロジェクト』


2018年11月3日に、マドレ・オホーツク主催の講演会、『プロジェクトFamily~夫婦(チーム)で取り組む育児プロジェクト』に吉田紫磨子さんとともにお呼び頂き、講演会&プ譜制作ワークショップを行いました。

光の速さでマドレオホーツクさんと吉田さんのブログでイベントの模様がアップされておりますので、概要はぜひこちらの記事をご覧下さい。

●紫磨子さん×前田さん。産後×プロジェクト。面白!!【11/3講演会開催報告】

●「夫婦(チーム)で取り組む育児プロジェクト」byマドレ・オホーツク

このブログでは、夫婦で育児というプロジェクトを進めていくための方法と考え方について、
実際に行った講演とワークショップを元にご紹介したいと思います。

講演会は第一部を吉田さんの「産後のリアル」と「育児は夫婦(チーム)で取り組むプロジェクト」についてのお話。第二部をプロジェクトを進めていくための「プ譜」制作ワークショップにあてました。

夫婦で育児というプロジェクトを進めるためのプ譜をつくる上で、吉田さんの講演内容が外せないため、メモ形式にして紹介します。


  • 産後ケアは3段階ある
    ・産褥期(産後2ヶ月)→リハビリ期(2~6ヶ月)→社会復帰準備期(7~12ヶ月)
    ・産褥期に必要なのは、産褥サポート&ケア(養生)。例えば、里帰りによる祖父母サポートなど血縁関係による援助。行政支援の産後ヘルパーなど。
    ・リハビリ期に必要なのは、心身のリハビリ、地域での仲間作りなど。
    ・社会復帰準備期に必要なのは、育児をしながら働く&生きるを考えることや、子どもの環境を整えること。
  • 産後ケアは女性が心身ともに回復し、元気に仕事復帰するためではなく、夫婦で健康に、育児というプロジェクトに取り組むためにある。
  • 産後の女性は、心身ともに普通の状態ではない。一方の男性は、体の変化が何もない。
  • だからこそ「正気でいられる」。この正気でいられることを利用して、男性は育児プロジェクトのマネージャーになろう。
  • (育休に二カ月入るのもいいが、里帰り・祖父母サポートや血縁関係による援助、民間サービス・行政・産後ドゥーラ・産褥入院への依頼・御礼など、産褥期養生のマネジメントを行った方がいい)
  • 男性による育児プロジェクトのマネジメントで重要なのは、妻の「孤育て」解消。
  • 夫婦で育児というプロジェクトに取り組むうえで、大事なポイントが二つ。
    ①夫婦で働き方の見直しを! 「臨月~産後1年は定時退社を!」
    ②夫婦で委ねる&感謝する 「周囲を頼る。2人で乗り切らない」
  • 育児は夫婦史上最大のプロジェクト。産後は育児プロジェクトのキックオフ!


こうしたお話を聞いてから、夫婦で育児というプロジェクトを進めるための「プ譜」制作ワークショップを行いました。

プ譜とはプロジェクト譜の略で、プロジェクトという未知のモノゴトを目標に向かって進めていくうえでの、目標と自分たちの条件とのツジツマが合っているかを構造化し、変化する自分や周囲の環境を適切に記録・共有するためのツールです。


プ譜についての詳しい解説こちらの記事(『プロジェクトはそもそも計画通りにいかないようにできている!?』宣伝会議アドタイ)をご覧下さい。

ワークショップでは、参加者のみなさんの育児生活の目標を定めて、その目標がどうなっていたら成功といえるのかという「勝利条件」。「勝利条件」を果たすために、自分やパートナーや周囲がどんな“あるべき状態”になっているかという「中間目的」。そして、中間目的を果たすための個々の活動(「施策」)をシートに書き込んでいきます。

ちなみに、今回の講演会に合わせて、この日限定のオリジナルデザインのプ譜フォーマットを制作しました。(ステキなイラストのおかげです!)



夫婦いずれか一人で参加した方は、「自分はこう進めたい」というものを。夫婦(カップル)で参加した方は、プロジェクトの目標は共通にして、互いの希望や考え方が食い違っていないかを白日の下にさらすため、勝利条件以下は互いに相談せず、書いて頂きました。

プ譜をつくる時に最も大事なのは、「勝利条件」と「中間目的」をどのように表現するかです。この表現次第で、プロジェクトの進め方がガラリと変わってきます。講演会用にマドレオホーツクのみなさんで事前にプ譜のサンプル(サンプ譜と言いますが、当日はウケませんでした)をつくって頂いたので、下図をご参照ください。

(拡大してご覧下さい)

この例は「子どものお弁当をつくる」というプロジェクトに対し、二つの勝利条件があります。
一つは「毎日(私が)つくることが苦にならない」。もう一つが「毎日(子どもが)食べることが楽しみになる」。それぞれの中間目的を拡大してご覧頂きたいのですが、同じ「弁当をつくる」であっても、勝利条件が異なると、そのためのあるべき状態である中間目的や施策が全然違うことがおわかり頂けるでしょうか?

中間目的も、それを数字で表現すると(例:予算500円でつくる等)考えつく施策が非常に常識的なもの(休日に大量に作り置きつくっておく。業務用スーパーで安く購入する等)になり、試作自体の種類も限られたものになりがちです。そんな時は、定量的な表現ではなく、定性的に言い換えることで、打てる手の種類が豊かになります。


話を講演会に戻します。
夫婦で育児というプロジェクトを進めていくにあたっても、当然勝利条件と中間目的をどう表現するかがキモになるわけですが、そのヒントは吉田さんの講演にありました。もう一度、上述のメモをご覧下さい。
「妻が孤育てにならない(孤独を感じない)」、「夫婦で委ねられるようになる」や「二人だけで乗り切ろうとしない」はは勝利条件にも中間目的にもなり得ます。これらの状態になるために、どのようなあるべき状態を目指すか、どんな施策を行うかを考えていきます。

この日のワークは、個々でプ譜をつくったあと、6名ほどのグループに分かれて共有をした後、特にご紹介したいと思った夫婦のプ譜を全体共有させて頂きました。どのようなプ譜がつくられたかは、公開が許可されればあらためてご紹介したいと思いますのでここでは割愛しますが、参加された方はもちろん、夫婦でつくってみたいと思われた方のために、いくつかアドバイスがあります。

男性は脳科学的に空間認知力が優れていると言われています。これは遠くの目標を定めて、目の前の作業をこなしていくことに資するものです。一方の女性は、目の前のモノゴトに対する観察力に秀で、鋭い直感を持っていると言われています。
この男女の脳の性質の違いに注目すれば、夫婦でプロジェクトの目標と勝利条件などを共有したうえで、男性がプ譜の全体像を描き、実際にプロジェクトが進み始めて以降、遭遇する事象や情報、想定外の出来事に対しては、女性の観察力や直感を大いに頼りにした方が良いと思われます。

男性は職場でロジカルシンキングやマネジメント研修などを身につけさせられる弊害で、いざ目標を定めようとすると融通のきかないガチガチの計画を定めがちです。しかし、プロジェクトにおいては、自分たちの心身の変化はもちろん、周囲の環境も変化します。それゆえに当初の計画に定めたようにプロジェクトは進みません。絶対に予定通りにはならないのです。そんな時、少しでも臨機応変に対処して、最終目標に近づけていけるよう、女性の力が必要になります。(もちろんその逆も。行き当たりばったりの直感ばかりに頼っていたら、プロジェクトが進みません)

プロジェクトの勝利条件は、そのフェーズ(産褥期という期間でも、職場復帰というタイミングでも)における「子育てのキャンペーンコピー」を決めるのに近いのではないかと思います。そのキャンペーンを実現するために、ぜひ夫婦・カップルでコミュニケーションを取り、力を合わせて頂きたいと思う次第であります。


今回の講演会はマドオホメンバーのみなさんに空港までお迎えに来て頂いてから、プチ観光、昼食、講演会、懇親会まで、ずーっと楽しく、良い緊張感をもって、楽しく過ごすことができました。みなさんの素晴らしい準備と雰囲気づくりなくして、この会の成功はありませんでした。懇親会でみなさんの酒量とスピードに追い付けず、途中離脱して風呂に入ったかどうかの記憶もないまま撃沈してしまったため、この場であらためて御礼申し上げます!




・・・最後に、私はこの講演会前、数日間にわたり妻と口をきかないケンカをしておりましたが、超苦手な飛行機から無事生還したことを口実に、後ろからそっ「ただいま」と抱きしめたことを報告致します。


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