字の「音」で概念を表現する〜マスクは“じ”でつくれるんだよ
どういうことかと聞いてみると、
マは、ママの「ま」。
スは、すしの「す」。
クは、かきくけこの「く」。
注目したいのは、「“じ”でつくる」という言い方が、マスクの不織布やゴムといった素材でできているという意味と同じように、マスクという一つの概念が、一つ一つの文字で“つくる”ことができる、と捉えている原始的な感覚です。
マスクという概念と音が先にあって、それは字で表現することができるという感覚は、大人になると文字が先にあるかのような感覚を持ちますが、そうではないことを子どもは教えてくれます。
子どもからすれば、なんでこの白くて口を覆う物体が「マスク」という名前なのかが疑問でしょうが、大人に「マスクだから」と教えられ、覚えていきます。
私が「マスク」という言葉を、何歳の頃のアーネに教えたかまったく記憶がありませんが、初めてマスクという音を聞いた時、文字とセットでは伝わっていなかったのだと思うのです。
耳から入った音が(最初は耳に限らず、さわったりなめたりする触感も入口になりますが)、口から声となって出て、文字となって書き表わされていく過程を、一人で体現して見せてくれるアーネから、声・耳(オラリティ)の文化の大事さをあらためて実感します。
子どもの幼児期のオラリティは「言いまつがい」などになって現れ、大人を微笑ませてくれますが、最後に思わず笑ってしまったオラリティエピソードをご紹介したいと思います。
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朝、しりとりをしていて、「ま」でつまづく4歳娘。
私「(ママゴトセットの「マ」ナイタ、おもちゃの「マ」イク、「マ」ンガなど、アーネが昨夜片づけず、散らかしっぱなしの荒れた部屋をこれみよがしにぐる~っと見渡して)・・・お部屋の周りをよぉぉぉぉおおおく、見てごらん?」
娘「・・・・・・・・・まほう?」
私「せ、、、せいかいっ!」
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