義母にどうやって保育園の登園タスクを伝えるか?
娘の朝食と保育園への登園は私の担当なのですが、先月一週間仕事で家を留守にする事になり、その間義母に来てもらって朝食と登園をお願いする事になりました。
この時、情報を他人に伝えることの難しさや表現手段について考えた事がありましたので、メモっておきたいと思います。
まず、登園した際の各準備を説明するために以下のような紙を書きました。
保育園の玄関とロックの開け方に始まり、クツ箱にクツを入れる時の注意点、教室入室後の連絡帳やオムツ袋の入れ場所から着替えセットの作り方まで、時間にすれば十数分で終わることを、紙に書いていくと実に長々としたものになります。
この紙を使い義母に説明したところ、一通り話し終えた後で、
「うんわかった。なんかあれば、先生に聞けばいいわよね」
と言われました。
実際、この長々とした紙で一気に説明され義母からすれば、見たことのない教室の様子、間取りについてうんぬん言われても、行ってみなくちゃ分からない、分かんなきゃ現場で聞けばいい、という心境でしたでしょう。
そこで考えたいのは、この登園時のタスクを他の手段を用いた時と比べて、それぞれどのような優位性があるのか?という事です。
よく、「写真や動画など映像はテキストの遥か100倍くらい伝わる力を持つ」といった話を見聞きしますが、かりに伝達力が高いのだとしても、ソリューションとしては利用目的や解決したい課題、及びそれを視聴する時の環境によって最適であるとは限りません。
確かに、今回書いた登園時のタスクはテキスト(と稚拙なイラスト)よりも、画像(静止画)つきで説明した方が義母にはわかりやすかったでしょう。
また動画であれば、タスクの手順や関連する物の距離感などがより伝わったに違いありません。
一方で、義母がこの情報を必要とする現場環境を鑑みた場合、「入室して連絡帳を所定の位置に置いた後、次に行うタスクを確認したい時」に動画は最適とはいえません。冒頭から再生して自分の知りたいシーンにまで早送りをする必要があります。
その点、テキスト(又は画像つきテキスト)であれば動画よりも早く自分が知りたいシーンにたどり着けることでしょう。
これは新聞や雑誌などを見て実感することですが、一覧性という点においてテキストと画像、イラストを高い編集性をもってレイアウトされたモノは大変優れています。
(※但しこれは今回のメモ紙に限っての話で、数十数百ページもあるマニュアルであれば話はまた異なります。また、上記のような課題を動画や写真メインのアルバムソリューション等ではタグやキーワードを使って検索を容易にしようと試みていますが、ここではどうした試みについては一旦置きます)
このように、現場で迅速にその情報を知りたい時にはテキスト(及び画像)が。
事前にその情報を知りたい時には動画(及び画像)が機能するように思います。
次に、視聴者の閲覧コストと負荷について。
登園準備のタスクメモを読んでいくのは、ただ読むだけではなくその情景を想像しながら読み進めるという点で、読み手に時間消費と負荷を与えますが、動画であれば読み手は流れる動画に任せて見ていけば良い分、かかる負荷はテキストに比べて高くありません。
よく編集された動画であれば更に手際よく見ることができるでしょう。
制作コストについては圧倒的にテキストが安上がりです。
動画については今回の登園準備をただカメラを回したものをアウトプットしていては視聴体験が冗長になるため、アウトプットの前に編集作業を入れる必要が(テキストや写真以上に)あり、このため最も大きなコストを払わねばなりません。
このように、情報の伝達手段は大きく以下の観点から考えて選定していく必要があると考えます。
(書いてみると、当たり前な気がしますが一応。。)
A.視聴環境
(現場で見るのか事前に見るのか。時間的余裕の有無。視聴端末など)
B.視聴者の閲覧コスト
C.制作コスト
と、ここまで書いてきましたが、新聞や雑誌ではテキストと画像が。テレビでは動画がユーザーの視聴環境や制作コストからそれぞれ最適な情報伝達手段として採用されてきたといっていいと思いますが、Webの世界ではソフトウェアとハードウェアの進化、スマートフォン等の新端末の登場によって、テキストも高解像度の画像も映像も見られるようになってきた中、今なお紙やテレビのような最適解が出ていないように思います。
この何でもできるWebという世界において、いち早くユーザーのコンテンツ視聴の文脈づくりや体験価値の提供に取り組むことが、コンテンツホルダーはもちろん、プラットフォーマー、各種メディアの勝ちぬけに大きく寄与する気がします
情報編集、表現手段に関する他エントリーはこちらもどうぞ:
*『街のシズル ~文章と映像表現の優劣について』
この時、情報を他人に伝えることの難しさや表現手段について考えた事がありましたので、メモっておきたいと思います。
まず、登園した際の各準備を説明するために以下のような紙を書きました。
他に、「今朝の体温記入」をするタスクを書き忘れた。。 |
保育園の玄関とロックの開け方に始まり、クツ箱にクツを入れる時の注意点、教室入室後の連絡帳やオムツ袋の入れ場所から着替えセットの作り方まで、時間にすれば十数分で終わることを、紙に書いていくと実に長々としたものになります。
この紙を使い義母に説明したところ、一通り話し終えた後で、
「うんわかった。なんかあれば、先生に聞けばいいわよね」
と言われました。
実際、この長々とした紙で一気に説明され義母からすれば、見たことのない教室の様子、間取りについてうんぬん言われても、行ってみなくちゃ分からない、分かんなきゃ現場で聞けばいい、という心境でしたでしょう。
そこで考えたいのは、この登園時のタスクを他の手段を用いた時と比べて、それぞれどのような優位性があるのか?という事です。
よく、「写真や動画など映像はテキストの遥か100倍くらい伝わる力を持つ」といった話を見聞きしますが、かりに伝達力が高いのだとしても、ソリューションとしては利用目的や解決したい課題、及びそれを視聴する時の環境によって最適であるとは限りません。
確かに、今回書いた登園時のタスクはテキスト(と稚拙なイラスト)よりも、画像(静止画)つきで説明した方が義母にはわかりやすかったでしょう。
また動画であれば、タスクの手順や関連する物の距離感などがより伝わったに違いありません。
一方で、義母がこの情報を必要とする現場環境を鑑みた場合、「入室して連絡帳を所定の位置に置いた後、次に行うタスクを確認したい時」に動画は最適とはいえません。冒頭から再生して自分の知りたいシーンにまで早送りをする必要があります。
その点、テキスト(又は画像つきテキスト)であれば動画よりも早く自分が知りたいシーンにたどり着けることでしょう。
これは新聞や雑誌などを見て実感することですが、一覧性という点においてテキストと画像、イラストを高い編集性をもってレイアウトされたモノは大変優れています。
(※但しこれは今回のメモ紙に限っての話で、数十数百ページもあるマニュアルであれば話はまた異なります。また、上記のような課題を動画や写真メインのアルバムソリューション等ではタグやキーワードを使って検索を容易にしようと試みていますが、ここではどうした試みについては一旦置きます)
このように、現場で迅速にその情報を知りたい時にはテキスト(及び画像)が。
事前にその情報を知りたい時には動画(及び画像)が機能するように思います。
次に、視聴者の閲覧コストと負荷について。
登園準備のタスクメモを読んでいくのは、ただ読むだけではなくその情景を想像しながら読み進めるという点で、読み手に時間消費と負荷を与えますが、動画であれば読み手は流れる動画に任せて見ていけば良い分、かかる負荷はテキストに比べて高くありません。
よく編集された動画であれば更に手際よく見ることができるでしょう。
制作コストについては圧倒的にテキストが安上がりです。
動画については今回の登園準備をただカメラを回したものをアウトプットしていては視聴体験が冗長になるため、アウトプットの前に編集作業を入れる必要が(テキストや写真以上に)あり、このため最も大きなコストを払わねばなりません。
このように、情報の伝達手段は大きく以下の観点から考えて選定していく必要があると考えます。
(書いてみると、当たり前な気がしますが一応。。)
A.視聴環境
(現場で見るのか事前に見るのか。時間的余裕の有無。視聴端末など)
B.視聴者の閲覧コスト
C.制作コスト
と、ここまで書いてきましたが、新聞や雑誌ではテキストと画像が。テレビでは動画がユーザーの視聴環境や制作コストからそれぞれ最適な情報伝達手段として採用されてきたといっていいと思いますが、Webの世界ではソフトウェアとハードウェアの進化、スマートフォン等の新端末の登場によって、テキストも高解像度の画像も映像も見られるようになってきた中、今なお紙やテレビのような最適解が出ていないように思います。
この何でもできるWebという世界において、いち早くユーザーのコンテンツ視聴の文脈づくりや体験価値の提供に取り組むことが、コンテンツホルダーはもちろん、プラットフォーマー、各種メディアの勝ちぬけに大きく寄与する気がします
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*『街のシズル ~文章と映像表現の優劣について』