母子手帳サミットに参加してきた

2012年7月7日に開催された「母子手帳サミット」に参加してきました。
ゲストスピーカーのトークや、参加者とのグループセッションを通じて、育児しづらいと言われる現代において、必要とされる母子手帳の姿についてあれこれ考えてみました。


■サミットに参加したキッカケ

このイベントを知ったのは、妻の妊娠が分かった時、そもそも母子手帳にはどんな役割があるのかを検索していた時に、「日本の母子手帳を変えよう」というプロジェクトを知ったのがそもそものキッカケでした。



このサイトには、「母子手帳に住んでいる街のお店のクーポンが欲しい」というアイデアや、「オンライン連携できるものが欲しい」など、これからの母子手帳にあったら嬉しい、素敵なアイデアが多数寄せられていました。
この活動のユニークさ、意義深さからサイトを知って以来、時折チェックしていた時に、「母子手帳の可能性を議論し、新しい母子手帳のカタチを考えるワークショップ」と題して、サミットの開催を知り、参加した次第です。


■かつて母子手帳は食糧配給のパスポートだった

母子手帳は、導入当時は「妊産婦手帳」と呼ばれ、妊産婦や乳児の高い死亡率の改善を目的に配布されていたそうで、戦時中これを所持していると、物資や食料が特別配給されていたそうです。


http://www.city.yamato.lg.jp/koucho/virtual/ihinbetu/ihin10/ninpu.htmより転載

乳児の死亡率が高かった時代や、子どもを成長させて兵隊にしなければならなかった時代において、母子手帳の役割はとても切実、明確、シンプルだったのですね。
ひるがえって、現代日本の乳児死亡率は世界第187位(下から数えて6番目)の低さであり、従来の母子手帳の役割は事実上終わっています。

では、現代日本の母子手帳に求められる役割とは何なのでしょうか?

サミットでは、この問いを考えるにあたり、母子に関わる様々な職業のゲストスピーカー11名からの「母子手帳の可能性」に関するトークを通じて、参加者全員で母子手帳の可能性について意見を交わす対話セッションが行われました。


■これからの時代に求められる母子手帳の役割とは?

トークや対話の詳しいまとめはこちらをご覧頂くとして、(→http://togetter.com/li/333905)ここでは、各スピーカーの皆さんが対話セッションで一般参加者と話したいテーマを紹介します。

*小笠原 舞 さん(まちの保育園保育士)
「どんな不安を取り除いたら、子育てがもっと楽しくなるか?」
*小澤 いぶき さん(児童精神科医)
「いろいろな気持ちを1人で抱え込まないために、時に自分の心と身体のケアをするために、
あったらよいと思うこと(場所、関り、サービス)はなんですか?」
*兼松 佳宏 さん(greenz.jp編集長/NPO法人グリーンズ理事)
「子育てコミュニティを育む、母子手帳の新コンテンツとは?」
*松本 理寿輝 さん(まちの保育園経営者)
「親子が健康でいるために、コミュニティはどうあるべきか?」
*みつい まみこ さん(ベビーマッサージ ママぞう。主催)
「ベビーマッサージが届かない層へのアプローチ~母子手帳の持つ可能性~」
*三木 智有 さん(NPO法人tadaima!代表)
「父親の「家事参加」「育児参加」がもたらす、家族へのよい影響はなんだろう?」
*吉岡 佑珠 さん(子育てアドバイザー)
「共働きが一般的になりつつあり、多様な価値観や生活事情をもつ家庭の中で育つ子どもたち。
どの家庭にも共通となる子育てのエッセンスや情報メニューが最善に提供できる方法について」
*渡辺 龍彦 さん(発達支援センターLeafジュニア施設長/「ことな」編集人) 
「一人で育児を抱え込まないために①本人ができること②周囲ができること」
*竹下 浩美 さん、永田 京子 さん(NPO法人マドレボニータ産後セルフケアインストラクター) 
「こどものいる夫婦は仲良くいるというのが理想です。しかし、肝心の「出産後」に夫婦関係がぎくしゃくするカップルが多い・・・。
夫婦関係が危機に陥りやすい「出産後」により協力的、協調的で、良好な夫婦関係を築くために
は何が必要でしょうか?」
*堀江 敦子 さん(スリール株式会社代表)
「自分らしく生きる」
*小菅 隆太 さん(日本愛妻家協会
「母子手帳、親子手帳を考えるうえで、必要な夫婦関係ってなんだろう」

これらのテーマをあらためて眺めて気づくのは、「夫婦関係」「1人で抱え込まない」「コミュニティ」「周囲ができること」「共働き」といった、これまで育児は母親が行うものとされてきた慣習、価値観に対するアンチテーゼの現われであると同時に、これらのキーワードに、これからの母子手帳に求められる役割が隠れているように思います。
(新しい母子手帳に加えたいアイデアや対話セッションの様子は、こちらのまとめの方がわかりやすいので、繰り返しですが、こちらをご覧下さい→http://togetter.com/li/333905



■これからの時代に求められる母子手帳の役割とは?

育児中の家庭それぞれに夫婦の働き方、サポートしてくれる親族、会社の有無、収入の多寡などによって、育児環境は異なることは自明ですが、その“異なりの幅”は母子手帳ができた当時と比べて格段に広いはずですから、それらのニーズに1冊の母子手帳が応えるというのは難しいでしょう。
そういう意味で、育児に役立つ情報や健康診断、予防接種に関する基本的な情報はそのままに、当日会場からも出ていた、「解決したい課題、知りたい情報別にカスタマイズできるような手帳」というスタイルは、一つの解かと思いました。
まぁ、そうしたカスタマイズが面倒な方には受け入れられないでしょうし(忙しく疲れているママに代わって、パパが担当しても良いですが、何が必要な情報かはよくよくヒアリングしておかないと悲惨なことに。。。)、容量が大きくなると持ち運びに不便なので、近々対応する予定というモバイル化はより一層求められてくるのではないでしょうか。

こうして新しい母子手帳に求められる機能、役割を考えていくと、それぞれに異なる育児課題を抱える人が、その課題解決に適したアナログ、デジタルツールを組み合わせて使っていくのが、これから暫くつづく姿かと思います。

今回のサミットで出ていた多様な意見のうち、私自身の育児生活(まだ8ヶ月ですが)を振り返って共感する(問題意識が共有できる)のは、
「育児生活において夫婦のコミュニケーションは必要不可欠である」ということです。

※育児生活において夫婦コミュニケーションが必要不可欠であると考える理由はこちらのブログをご覧下さい:
産後の夫婦のコミュニケーションについて
【実践を記録すること、物語ること、コミュニティをつくること】 実践研究会に行ってきた


この課題を解決するには、例えばLINEやFacebookなどのWebサービスや、育児日誌を夫婦で共有するのも一案かも知れません。
(ちなみに、わが家は妻がつけていた育児日誌のおかげでコミュニケーションが取れていました


でも、こうしたWebサービスは子育てに特化していませんね。。。。
なにか、この課題に特化したツールはないでしょうか?



・・・・・・・・・




・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・








・・・・・・・・・あ、コドモノガタリがあるじゃないですか!

はい、という訳で、
夫婦コミュニケーションの促進、子どもの物語の共有に最適なアプリ、

☆コドモノガタリのダウンロードはこちらからどうぞ!☆

※iPhoneアプリ『コドモノガタリ』は、2012年11月30日にサービス停止しました。ご愛用ありがとうございました。 
今後も「写真」「子育て」をテーマにしたサービス開発を行って参りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。



※せっかくコメントを頂いているようなのですが、bloggerの不具合で表示も返信もできないでおります。
もし、よろしければ、takaho@gmail.comやgoogle+にご感想、ご意見頂ければ幸いです。
(でも、メールじゃ気軽じゃないんスよね。。)

このブログの人気の投稿

子どもがよろこぶ「おはなし」の作り方

【著者解説動画有】『プ譜』とは何か?概要とテンプレートを紹介します。

高崎線の四人ボックス席で帰るプロジェクト 後編