家事の未来をデザインするワークショップに行って来た

2014年2月7日にロフトワークの『未来をデザインするvol.2【アイデアソン】ぼくらの家事はココまで変わる!』に参加してきました。

娘が生まれてから、育児生活の中で様々な家事の課題に直面し、その都度その解決方法を考えたり、実際にモノやアプリやWebサービスを企画開発したり、妻と小さなケンカを繰り返したり、「僕は人並み以上にやってるゼッ」と悶々としたりしてきました。
今回のイベントでは、過去の経験や分析ではない、「デザイン思考」というアプローチでイノベーションを起こすプロセスを体験できるとの事で、今後の育児生活における課題解決、ソリューション企画のヒントが得るべく、その考え方、手法についてメモしておきたいと思います。



■イノベーティブなアイデアを生むためのヒント

アイデアソン開始の前に、ロフトワークの“イノベーションメーカー”棚橋 弘季さんによるイノベーティブなアイデアを生むためのヒントが紹介されました(※以下抜粋)。



  • 既存の枠組みの外で考える(現在の延長ではない)
  • 多様な人と会話する
  • 「WHAT?」ではなく「WHY?」で考える


これに加えて、今回のアイデアソンでは、
「家事の悩みは家電の悩みではない」
「いつから家電を使う事が家事になったのか?」
という“枠組みの外で考える”投げかけを棚橋さんから受けました。


このくだりで印象的だったのは、「WHAT?」ではなく「WHY?」で考えられた事例として、「システムキッチン」の原型が19世紀の終わりに黒人の使役からの解放を目的に生まれたという事です。

考案者であるビーチャー姉妹は、家事労働のための設備を使いやすくすれば、家事の時間、費用、労力が節約でき、サーバント=家族ではない黒人を使役せずに済むと考え、システムキッチンの原型を考えたのだそうです。
(ちなみに、ビーチャー姉妹の妹、ハリエット・ビーチャー・ストウは黒人奴隷解放の小説『アンクルトムの小屋』の作者)

これが噂のライブレコーディングか。。


■アイデアソンの手法


アイデアソンの流れは以下の通り:

① ワールドカフェ 
「生活のこだわりから未来の家事を考える」

ここでは、一組5~6名のテーブルを1回ごとにシャッフルし、三回に分けてアイデア交換、議論を重ねました。
各回のテーマは順番に、

1「生活の中でこだわっている事は?」
2「そのこだわりを実現できていない理由は?」
3「生活の中で大事にしている事は?」


② アイデアスケッチ 
「人々の生活のこだわりを満足させる未来の家事サービス・商品案をスケッチ」

四回目のテーブルシャッフル時にアイデアを紙に落とし、テーブルのメンバー間で最も良いと思うアイデアに(シールで)一人一票を投じます。


③ 起業に向けて 未来の家事サービスをつくる
「家事サービス・商品のアイデアを事業化する案を考える」

その後、テーブル毎に選ばれた一案を全体発表。
その中から自分が実現させたい、応援したい案の発表者の元に集い、更にサービス化のための深掘りを行います。
ここでは模造紙に「サービスを届けたいターゲット」、「商品のキャッチコピー」、「このサービスを提供する事でターゲットのどんな課題が解決され、暮らしがどう変わるか?」といった事を、イラストを使う等して書き込んでいきます。


④ 発表
社長にプレゼンするつもりで発表。

このパートではあまり意識されていなかったようですが、社長プレゼンなので自分が提案するサービス企画がどのように自社のビジネスモデルに貢献するのか、といった事を考えるのは、枠組みの外で考えた一見突飛なアイデアを具現化するトレーニングになると思いました。


発表された案は6~7案ほどありましたが(正確な数忘れた)のうち、家電系が2案しかなく、その他は断捨離アプリ、シニアと若者の家事マッチング、家事のログ取り、家事のオリンピックを開催するといったサービス系の案でした。
(※これについては本稿の最後でまとめます)



■イノベーティブな育児サービスを考えてみよう

各案の詳しい内容等はロフトワークのブログ等でまとめられると思うので、ここから先は私の課題に落とし込んで、上記のアイデアを実践してみたいと思います。
(※その前に、育児を狭く定義すると、「授乳」「オムツ替え」「沐浴」「離乳食作り」といった項目が上がりますが、私はこれらを広義の家事と捉えて今回のイベントに参加した事を補足しておきます)


1「生活の中でこだわっている事は?」

二つあります。
娘(2歳)の登園と朝食の世話が私の主な育児家事だが、最近パンにマーガリンをぬったり、使った食器を洗いたがったりするので、できるだけ自分でやらせてあげたいと思う事。
もう一つは、できるだけマルチタスクで家事をこなしたい事。
(娘が食べている隙に大人の食器を洗っておくとか、連絡帳を書いておくといった事)


2「そのこだわりを実現できていない理由は?」

起きる時間が遅かったり、「あれヤダ、これヤダ」と言って食べるのに時間がかかったりしていると、イライラしてしまい自分でやってしまう精神的余裕のなさ。

ひどい時は私がやった事に対して泣く娘に怒ってしまって自己嫌悪。
ついでに、「パパだっこーだっこー」と、やけに今日は手がかかると思って、「今食器洗ってるから待っててね」「・・・待っててって言ってるでしょ!」と怒ってしまい、根負けして抱っこすると発熱していて更に自己嫌悪するという、負のスパイラルにはまる事がありました。


3「生活の中で大事にしている事は?」

※このパートのテーマが不確か。1とどう違うのかメモし忘れてしまいました。
ただ、大事にしている点では、「親子間のコミュニケーション」が該当すると思います。

ぶっちゃけ、「娘が自分で家事(食器洗いや掃除や食事の準備)をすると、よく食べるし、機嫌が良くなるから」という理由なのですが。。


4「人々の生活のこだわりを満足させる未来の家事サービス・商品案をスケッチ」

上記3つの自問自答を経て、私の「忙しくても親子間のコミュニケーションを保ちたい」というこだわりを満足させるサービス・商品として、以下の案を考えてみました。

ポイントは娘が自分で何かをやりたいというモノゴトは、たいてい後片付けや掃除が必要なので、そこを無くすという点です。


A.娘が自分で食器を洗っても掃除をしなくて済む台所(流し台)
B.娘が自分でおにぎりを作ったりパンにマーガリンをぬっても米粒やパンくずを掃除しなくて済む机
C.娘が自分でおにぎりを作ったりパンにマーガリンをぬっても米粒やパンくずが出ない食材
D.娘が自分でおにぎりを作ったりパンにマーガリンをぬっても米粒やパンくずが出ない食器


この他にこだわりを実現するための補助的サービスも考えてみました。

E.娘の体温が起きた瞬間するわかるベッド、もしくは枕
F.娘が機嫌よく起きられる時間を感知してベルが鳴る目覚まし時計
G.皿と一体化した娘用のテーブルチェア




・・・ぜんぜんイノベーティブじゃねぇぇ。

そもそも、一人アイデアソンをやってもアイデアはそんな出てこなくて、多様な人々と交流するプロセスこそが大事なので、これは一度「育児×家事」テーマで、パパママ知人とアイデアソンをやってみる方が良さそうです。。


あと、考えていて思うのは、パンくずや米粒を落とし放題な机や食器ができたとしても、それが落とし放題では「落とさないように食べる工夫」を娘がやらず、親も教えずになってしまうだろうから、サービスのさじ加減が難しいし、だったらそんなサービスなくてえーやん、という事。

めんどくさいコンシューマーだな、自分。



■家電、家事の未来を考えるのに必要なこと。

一人アイデアソンは失敗に終わりましたが、今回のイベントを通じて得た学び、気づきを羅列しておきます。


1.(棚橋さんの投げかけはあったものの)、現代の家事において家電に対するユーザーの望み(不満)はもうそんなにないのかなぁ。


2.今後の家電はしばらく「+」と「-」、そしてその両方を合わせた3つの方向性で模索しながら進んでいくだろうなぁ。
 「+」はセンサー技術等を活用したデジタル系の付加価値をつけていくモノ。
 「-」は機能を削り落として道具として極度に機能特化するモノ。
 「+」と「-」を合わせたものとして、デザインで提案していくモノ(Amadana的なものをイメージ)。


3.家事を考えると、家づくりや精神的な事まで総合的に考えないといけないんだなぁ。
 ライフハック的なものでも、技術的なことだけでも全然解決しない。


4.結局ユーザーののっぴきならない事情や課題から生まれる意識、怒り、志みたいなものからイノベーティブなアイデアは生まれるのかなぁ。
 システムキッチンの誕生話を聞いてそう思った。
 なので、これからの社会、家庭、労働環境等を鑑みて「育児中の共働き家庭の幸せな暮らしはこうあるべきだ。こうあって欲しい」と願う所からもう一度考えてみようと思った。



イベント参加から2週間以上経ってもうまく消化できず、グダグダな内容になってしまいましたが、また少しずつ切り出したり整理したりして、この学びをまとめていきたいと思います。



■余談だが、、、

これまで私が育児生活で遭遇した課題解決のために作ったサービス、モノを下記にまとめておきます。

(1)探しづらい自治体の保育園情報を検索しやすくしたい
『杉並区保育園検索マップを企画、公開しました。』

(2)面倒な魚の離乳食作りを便利にしつつ、質も追及したい
『離乳食の食材モニターさんを募集しています。』

(3)育児中の夫婦のコミュニケーションを促進したい
『コドモノガタリを作った理由』

(4)赤ちゃんとのお出かけで、マグマグを出し入れするのがメンドクサイ
『哺乳瓶ガンボルダー製作レポ』

(5)増え続ける子供の写真、動画整理をスマートにしたい
『操作がスイスイ気持ちいい。子供の写真整理&編集アプリ『スクスクロール』

(6)餅は飽きたので、別の素材で「一升餅」を作りたい
『一升餅ならぬ、一升チーズを作ろう!』

(7)寝かしつけをビクビク体験から、ハッピー体験にしたい
『寝かしつけを幸せな体験に変えるタオルケット』

(8)子供の成長、発達に合わせて食べていい旬の食材を知りたい
『子どもの発達に応じて食べていい旬の食材がわかる、離乳食カレンダーアプリを作りました。』

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