コドモノガタリを作った理由

2012年1月17日に株式会社コドモノガタリを設立し、3月にiPhoneアプリ『コドモノガタリ』をリリースします。
こちらのブログでは、アプリを作った理由、機能紹介の他、育児に関する事などについて書いていきます。


■キッカケは妻の妊娠と、友人知人からのベビーグッズのプレゼント

2011年2月に妻が妊娠し、安定期に入った頃から、友人、親戚がベビー服、ベビーバスや抱っこひもなどの赤ちゃんグッズを贈ってくれたり貸してくれたりするようになりました。


この頃、私は会社を退職し起業準備をしていたのですが、退職金がわりの資金が会社から支払われなくなり、家計のやり繰りについて思案している時期でしたので、
これらの贈り物に心底感謝するとともに、
「贈ってくれた人が喜んでくれるお礼をしたい」
 そして、
「生まれてくる我が子に、多くの人が誕生を祝福してくれた記憶を残したい」
と思いました。

まず、贈り物をしてくれた人にはお返し(内祝い)はもちろんのこと、贈ってくれた道具、玩具、絵本などのおかげで、いかに楽しく、便利に使っているかという様子を知らせることで、
贈ってくれた人に「贈った甲斐」を感じてもらえれば、ほっこり温かい喜びにつながるのではないかと考えました。

ただ一方で、贈ってくれたものを長く、大事に使いたいと思っても、ベビーグッズは服でも玩具でも、使える期間がとても短い。
そのため、モノそのものの耐久期間やお気に入りの度合いに関わらず、子どもが大きくなって使えなくなった時、捨てるか、物置にしまい込むか、売るかしなければならないことを想うと、とてもやりきれませんでした。
(※写真のグッズは頂き物、貸して頂いた物の一部です。後ろのベビーベッドも借り物w)


そこで、捨てるにせよ売るにせよ、自分の手を離れる時に、そのモノをどう使ったかという思い出をモノに記憶して、いつでも見返せるようにしておけば、
「たくさん使ったよね」という“使った甲斐”を感じ、モノに感謝し、贈ってくれた人に感謝し、納得・満足して、スパッと手放すことができるのではないかと考えたのです。


■モノの記憶(メモリー)が、かけがえのない物語(ストーリー)をつくる

この思いつきは、頭の中ですぐさま形になりました。

「誰から、どんなモノを頂き、どう使ったかという事を、写真と文章で記録する。」

そうすることによって、贈ってくれたモノを使っている様子を友人、親類に見てもらうことができ、
それぞれのモノを大切に使ったモノの思い出アルバムとしても、子どもの育児日記、成長の記録としても残すことができる。

これは後日談ですが、娘が生まれ自宅に戻ってきて以降、
娘がいくら抱っこしても火の玉を噴き出す勢いで泣き続ける時、
私の仕事の都合でうまく妻をサポートできない時、
お互いがうまく休めない時、
その時々に、とても心細くなりました。

私も妻も初めての子育てで、共に実家が近くにないため、新米士官(妻)と二等兵(私)のたった二人で戦場に放り込まれたような気分で、誕生の喜びにじんわりひたることのないまま、右往左往しながら毎日を過ごしていました。

そんな時、私たちを支えてくれたのが、友人たちから頂いた、ベビー服やおもちゃなどの「モノ」だったのです。



お風呂あがりの娘に服を着せる時。
散歩にでかけるために抱っこひもを身に着ける時。
娘をあやそうとおもちゃを手に取った時。

贈ってくれた人の顔が思い浮かんで、ほんの一瞬ですがホッとし、
「○○さんの赤ちゃんも、これで泣き止んだのかなぁ」と、大変な思いをしていうのは自分達だけではないことに少しなぐさめられたり、「僕たち孤独じゃないんだ」と感じたりして、
あらためて支えてくれている人、気にかけてくれている人がいることに感謝しました。

モノにやどる気持ち、モノと共に過ごす経験は、私たち家族と遠くの友人、親類をつなげてくれる。

この体験がコドモノガタリのコンセプトである、
「モノの記憶(メモリー)が、かけがえのない物語(ストーリー)をつくる」というメッセージになりました。


■娘のために考えたアイデアで仕事ができるという幸せ

コドモノガタリは、もともとサービスとして世に出す意図はありませんでした。
(ちなみに、起業準備していたのはコドモノガタリ以外のいくつかのWebサービスで、お蔵入り、休眠しました。。。)
既存のWebサービスでは上記の機能を完全に表現することができなかったため、後にコドモノガタリのUI、UXディレクターになる、Webデザイナーの東廣俊に相談することにしたのです。
コドモノガタリのアイデアを東は面白く聞いてくれ、(彼はシステムエンジニアとしての能力もあるため)WordPressなど既存サービスの組み合わせで作ることができないか考えてみると言ってくれました。

その後、サービスのアイデアを煮詰めていくうちに、私がコドモノガタリで実現したい世界観や解決したい課題が、より多くの人々に共通し、課題を解決できるが故にその課題に関わる人々、企業から課題解決の対価を頂けるビジネスモデルが見えてきました。
それから私はサービスの事業計画書をつくり、いくつかのビジネスコンテストに参加し、幸いにもコドモノガタリで実現したい世界観に共感してくれた事業会社が見つかり、2012年1月17日に株式会社コドモノガタリを設立し、3月にアプリをリリースします。


このアプリでつむがれるモノガタリが、世の中の子育て中の家族、
そして家族と友人、知人、親戚とのきずなをつくるツールになれるよう、
このアプリのアイデアと、事業としてチャレンジする機会を与えてくれた妻、娘、友人に感謝しながら、コドモノガタリに取り組んで参ります。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

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