イベントモジュール研究会 Vol1レポート

2019年4月3日にPeatixさんと新しい取り組みとして、イベントモジュール研究会を開催しました。



いきなりですが、当日の様子がわかるダイジェストレポート動画を制作しましたので、ご覧ください。




近年、企業が見込客の獲得、育成、顧客とのリレーション構築などを目的にイベントやセミナー開催を行うことが増えてきました。イベントを設計する際、担当者がこれまで参加・体験したものをベースに考えますが、それが必ずしも自分の目的に適したやり方であるとは限りません。

例えば、質疑応答タイム。

「質問がある人はいませんか?」と会場に投げかけて、こんなシーンに直面しないでしょうか?


例えば、懇親会タイム。


一人、壁の花になってしまっていないでしょうか?

これは、参加者からすれば、不満、残念、後悔、遺恨、憤慨といった感情や行動につながってしまう可能性があります。
一方、主催者からすれば、損失、逸機、失墜といったことにつながりかねません。

そこで、主催者にとっては、目的に適ったイベントを、誰でも設計できるようになる(そのための参照物をつくる)ことを。
参加者にとっては、そうしたイベントに参加することで、得られる体験、知識を質の高いものにすることを目指し、本研究会を企画しました。

一度しか出会っていないのに提案を受け入れてくださった、Peatix藤田さんに感謝です。
この場を借りて、あらためて御礼申し上げます。


では、イベントモジュールとは何かを解説していきましょう。

まず、イベントは大小のモジュールに分けられる、と考えます。


イベントは概ね、受付、自己紹介、登壇者講演、ディスカッション、質疑応答、懇親会といったふうに、大まかな流れがあります。こうした流れの単位を「フェーズ」(もしくは大モジュール)と呼びます。


各フェーズには、目的に適した「やり方・方法」があります。このやり方のことを「(小)モジュール」と呼びます。


例として登壇者紹介フェーズでは、「登壇者を拍手で迎える」というモジュールもあれば、「聴講者が花道をつくって、そこを登壇者が通る」というモジュールもあります。モジュールそれぞれに、目的・状況に適した機能・効能があります。

こうしたモジュール群をカード形式で記述します。



モジュールに記述する要素としては下記のようなものがあります。


  • 名称
  • キャッチコピー
  • イメージ写真
  • 効果、機能
  • 使用するフェーズ
  • おおよその所要時間
  • 仕様に適した規模(人数)
  • ルール(やり方)
  • ツール
  • 採集地と年月日
  • 発案者と年月日


大モジュールはデッキのようなもので表現しようと考えていますが、こうしてつくった大小のモジュールを、イベントの目的に応じて組み合わせることで、簡単に、目的を叶えるイベントを設計できる―、と考えています。



一つ、モジュール及びその記述例を紹介しましょう。

質疑応答フェーズやディスカッションフェーズで使用する「MVQ」というモジュールがあります。
(参照『MVQのすすめ ~参加者満足度を上げる質問タイムの新システム』

これをモジュールのカードに記述すると、下記のようになります。


第1回研究会のテーマは「懇親会を盛り上げるモジュール」でしたので、Peatix藤田さんからパックマンルールについて説明頂きながら、デモンストレーションとして私がその場でモジュールとして記述しました。


こうしていくつかの例を提示した後、参加頂いたみなさんにグループに分かれて懇親会を盛り上げるモジュールを出し合って頂きました。



一つ一つのモジュールはあらためてきれいにして出しますので、こんな感じでつくっていくんだなという雰囲気だけ、まずはお感じください。
(うまく並べられなくてごめんなさい)
















なんか、すごくないですか?

どこにもこうした情報を参照するものがないだけで、一人一人のみなさんがこうしたモジュールを持っています。こうしたモジュールが色々なイベントに、それを運営している人の中に存在している。

それを採集し、分類し、索引をつくっていくことで、誰でもイベント設計時に参照できるデータベースと共通言語をつくっていく。これがイベントモジュール研究会が目指している姿です。


では、このプロジェクトをどのように進めるかということについても説明します。



この図は、プロジェクトの在り方・進め方を可視・構造化するフレームワークで「プ譜」というものです。

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「誰でも目的に適ったイベントを設計できるようになる」ようになるためには、以下の「あるべき状態」をつくりあげる必要があります。

  • 設計のための方法論ができている
  • 参照物(データベース)ができている
  • ユーザーわかりやすく再現できている


個々の「あるべき状態」を果たすために、モジュール採集のルールとツールをつくることや、再現性を高めるための動画制作といった施策(行動)が考えられます。

私の中にあるイメージとしては、日本民俗学の父、柳田国男が各地の郷土史家から土地土地の民俗情報を葉書で投書してもらい、それを雑誌にまとめていったという手法があります。



研究会に参加してくださるみなさんが、ご自身が参加したイベントでモジュールを採集したり、ご自身が開催するイベントでモジュールを試してみたりすることで、採集と実践を行っていく。
その報告を研究会で共有いただき、吟味・練磨してデータ化し、世に発表していくという流れを想定しています。

当日の研究会の懇親会では、紹介したパックマンルールをつかって懇親会を行い、再現性を高めるための動画制作も合わせて行いました。(ご出演いただいた皆様、ご協力に感謝いたします)

 

動画はすべて3ステップでまとめて、テキストでの説明だけではイメージできない振る舞いなどを補完したいと考えています。

こんな感じでイベントモジュールの採集、データ化を行いつつ、ある程度数がたまってきたら、下図のようにカード化してゲームのように楽しみながらイベント設計できるようにしたいと考えています。

もし、ご興味を持って頂けるようでしたら、私のFacebookページにメッセージください。


最後に、この日のケータリングを提供してくださった「kokopellicar」さんの紹介動画も。



次回いつやるか決めていないんですが、ときどき「#イベントモジュール」をチェックくださいませ。

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