予定通り進まないコミュニティマーケティングの進め方 vol.1
2018年6月11日に、ドコモ・イノベーションビレッジで、「コミュニティマーケティングを始めたい人のプロジェクト勉強会」を開催しました。
ゲスト講師は、クアッドスペース株式会社代表の前田裕司さん。
まだコミュニティという言葉が注目を集めていなかった2014年から取り組みを始め、「ビール女子」など数々の成功例を残しておられる方です。
今回の勉強会は、大きく二つの内容で行いました。
前半は、前田さんからコミュニティマーケティングの歴史や概念、目的別のKPIなどの講義。
後半は、拙著『予定通り進まないプロジェクトの進め方』で提唱している『プ譜』を使い、これから取り組む・今進めているコミュニティマーケティングのプロジェクトを可視化するワークを行いました。
前田さんの講義内容は、近々スライドシェア等で共有される予定ですので、ここでは、前田さんがケーススタディとして書いて下さった、コミュニティマーケティングに取り組むにあたってのプ譜をご紹介します。
プ譜とは、姿かたちのないプロジェクトの可視化ツールです。
下記のようなフォーマットに従い、プロジェクトの目標、勝利条件、所与のリソースなどを記述し、プロジェクトの大事な局面ごとにアップデートし、プロジェクトのプロセスを記録し、メンバーと共有していくことで、コミュニケーションの齟齬や施策と目的のズレの修正(ツジツマを合わせること)を行いやすくしています。(プ譜についての詳しい解説は、こちらの記事をご覧下さい)
ケーススタディを紹介する前に、今回の勉強会では、コミュニティマーケティングに取り組みにあたっての「6つの目的別グループ」をつくりました。
目的別に色分けしたネームシールを貼って頂き、所定のエリアに座って頂きます。
今回のケーススタディはこれらの目的のうち、「カスタマーサポート/サクセス」を対象に書いて頂きました。
以下、ケーススタディ用の架空の会社のプロジェクト概要です。
(これは、プ譜ではプロジェクトの所与のリソース「廟算8要素」に該当するものです)
●母体としている企業とその背景
・株式会社 TAMESERU
・大手電機メーカーの社内ベンチャーとして新会社設立化
・サプスクリプション型レンタル家電サービスを準備中
・3ヶ月後にリリース予定
●メンバー/人材
・大手電機メーカーからの出向者が中心
・社長、営業2人、マーケターが専業
・ディレクター、アートディレクター、エンジニア、デザイナーが兼業
●プロジェクトマネージャー(あなた)の立場
・最近、外部から招聘されたばかり。
・サービスの目標とリリース期限 (3ヶ月後) は決まっている。
●製品
・サプスクリプション型レンタル家電サービス
・消費者向けで検討中
●クオリティ、製品の特徴
・月額 5,980円 で家電商品1つをレンタルできる
・新商品を中心に揃えている
・気に入ればレンタル商品の買取も可能
・アフターサービスも手厚い
●ビジネスモデル
・月額レンタル代 (5,980円)
●業務実績
・まだ製品が世に出ていないので、当然ながらありません。
●競合
・中小規模のレンタル業者
・賃貸会社の家具・家電レンタルサービス
●プロジェクトの目標
・初年度売上 5,000万円
う~ん、実際にありそうな、なまなましい感じがいいですね!
この前提に立って、書いて頂いたプロジェクトの第一局面(プロジェクトマネージャーのあなたがジョインする前の状況)がこちらです。
次に、実際にプロジェクトにジョインしてみたら、こんな状況になっていたという第二局面がこちら。
リリース3カ月前だというのに、デザインも仕様も決まっていないという恐ろしい状況。
このままではマズイと、第三局面ではいくつかの施策をやめたり、KPIを修正したりします。一度立てた施策を止めることを人はやりたがりませんが、このような切羽詰まった状況では選択肢は絞り込まざるを得ません。
その一方、この局面でプロジェクトマネージャーのあなたは、コミュニティマーケティングに取り組むことを決めます。
その後も想定外の事象が続き、KPIの下方修正が続きますが、コミュニティを運営することによるカスタマサポートのコスト削減や、LTV向上などが担保されるといった効果を発揮します。
(これはあくまでケーススタディとしてわかりやすくつくって頂いているものなので、実際はもっと細かな調整が行われているはずです)
ワークでは、このケーススタディを参考に、参加者のみなさんのコミュニティマーケティングプロジェクトの最新局面を書いて頂きました。(まだ始めていない方は、これから取り組みたいと考えるプロジェクトの第一局面を記述)
そして、コミュニティに取り組む目的が同じ方同士で、自分のプ譜を紹介しあう「感想戦」を行って頂き、他者視点で自分のプロジェクトの構造に齟齬がないかといったことや、ツジツマが合っているかといったことを共有しあって頂きました。
ここでみなさんがお書きになったプ譜を紹介することはできませんが、書かれていた内容を拝見しての所感を下記にまとめます。
この勉強会で書いて頂いたプ譜は、あくまである局面でしかなく、この後実際にプロジェクトを進めていく中で、想定外の事象に遭遇したり、内外の状況の変化でプロジェクトが好転したり暗転したりします。そうした変化・プロセスを適切に記述し、メンバーと共有しあい、書かれている内容を解釈し、勝利条件を更新していくことで、プロジェクトを停滞・炎上させず、進めていくことができます。
その詳しい方法を書くと長くなってしまうので、よろしければ拙著をご購入頂き、第4章からのプ譜についての解説やケーススタディをご参考頂ければ幸いです。
あと、昨日の勉強会に参加された方で、プ譜の共有を希望する方は、下記アドレスまでお書きになったプ譜を真俯瞰で撮影してお送り下さい!
takaho78@gmail.com
ゲスト講師は、クアッドスペース株式会社代表の前田裕司さん。
まだコミュニティという言葉が注目を集めていなかった2014年から取り組みを始め、「ビール女子」など数々の成功例を残しておられる方です。
今回の勉強会は、大きく二つの内容で行いました。
前半は、前田さんからコミュニティマーケティングの歴史や概念、目的別のKPIなどの講義。
後半は、拙著『予定通り進まないプロジェクトの進め方』で提唱している『プ譜』を使い、これから取り組む・今進めているコミュニティマーケティングのプロジェクトを可視化するワークを行いました。
前田さんの講義内容は、近々スライドシェア等で共有される予定ですので、ここでは、前田さんがケーススタディとして書いて下さった、コミュニティマーケティングに取り組むにあたってのプ譜をご紹介します。
プ譜とは、姿かたちのないプロジェクトの可視化ツールです。
下記のようなフォーマットに従い、プロジェクトの目標、勝利条件、所与のリソースなどを記述し、プロジェクトの大事な局面ごとにアップデートし、プロジェクトのプロセスを記録し、メンバーと共有していくことで、コミュニケーションの齟齬や施策と目的のズレの修正(ツジツマを合わせること)を行いやすくしています。(プ譜についての詳しい解説は、こちらの記事をご覧下さい)
ケーススタディを紹介する前に、今回の勉強会では、コミュニティマーケティングに取り組みにあたっての「6つの目的別グループ」をつくりました。
目的別に色分けしたネームシールを貼って頂き、所定のエリアに座って頂きます。
今回のケーススタディはこれらの目的のうち、「カスタマーサポート/サクセス」を対象に書いて頂きました。
以下、ケーススタディ用の架空の会社のプロジェクト概要です。
(これは、プ譜ではプロジェクトの所与のリソース「廟算8要素」に該当するものです)
●母体としている企業とその背景
・株式会社 TAMESERU
・大手電機メーカーの社内ベンチャーとして新会社設立化
・サプスクリプション型レンタル家電サービスを準備中
・3ヶ月後にリリース予定
●メンバー/人材
・大手電機メーカーからの出向者が中心
・社長、営業2人、マーケターが専業
・ディレクター、アートディレクター、エンジニア、デザイナーが兼業
●プロジェクトマネージャー(あなた)の立場
・最近、外部から招聘されたばかり。
・サービスの目標とリリース期限 (3ヶ月後) は決まっている。
●製品
・サプスクリプション型レンタル家電サービス
・消費者向けで検討中
●クオリティ、製品の特徴
・月額 5,980円 で家電商品1つをレンタルできる
・新商品を中心に揃えている
・気に入ればレンタル商品の買取も可能
・アフターサービスも手厚い
●ビジネスモデル
・月額レンタル代 (5,980円)
●業務実績
・まだ製品が世に出ていないので、当然ながらありません。
●競合
・中小規模のレンタル業者
・賃貸会社の家具・家電レンタルサービス
●プロジェクトの目標
・初年度売上 5,000万円
う~ん、実際にありそうな、なまなましい感じがいいですね!
この前提に立って、書いて頂いたプロジェクトの第一局面(プロジェクトマネージャーのあなたがジョインする前の状況)がこちらです。
※画像クリックして、拡大してご覧下さい |
次に、実際にプロジェクトにジョインしてみたら、こんな状況になっていたという第二局面がこちら。
リリース3カ月前だというのに、デザインも仕様も決まっていないという恐ろしい状況。
このままではマズイと、第三局面ではいくつかの施策をやめたり、KPIを修正したりします。一度立てた施策を止めることを人はやりたがりませんが、このような切羽詰まった状況では選択肢は絞り込まざるを得ません。
その一方、この局面でプロジェクトマネージャーのあなたは、コミュニティマーケティングに取り組むことを決めます。
その後も想定外の事象が続き、KPIの下方修正が続きますが、コミュニティを運営することによるカスタマサポートのコスト削減や、LTV向上などが担保されるといった効果を発揮します。
(これはあくまでケーススタディとしてわかりやすくつくって頂いているものなので、実際はもっと細かな調整が行われているはずです)
ワークでは、このケーススタディを参考に、参加者のみなさんのコミュニティマーケティングプロジェクトの最新局面を書いて頂きました。(まだ始めていない方は、これから取り組みたいと考えるプロジェクトの第一局面を記述)
そして、コミュニティに取り組む目的が同じ方同士で、自分のプ譜を紹介しあう「感想戦」を行って頂き、他者視点で自分のプロジェクトの構造に齟齬がないかといったことや、ツジツマが合っているかといったことを共有しあって頂きました。
ここでみなさんがお書きになったプ譜を紹介することはできませんが、書かれていた内容を拝見しての所感を下記にまとめます。
- 一つのサービスの売上向上、グロースを獲得目標(プロジェクトのゴール)とするプ譜を書く人が大半だった。
- つまり、コミュニティをあくまでマーケティング手段の一つとしてプ譜を書いている人が多かったということ。
- プ譜は粒度を粗くも細かくも書くことができ、目標と手段が入れ子構造になっている。
- なので、コミュニティの采井や活性化を獲得目標にするプ譜を書くこともできるのだが、そういうプ譜を書いた人が少なかった。
- コミュニティの運営を専業とする方(例えば、コミュマネ)が少なかったのだろうか。
(※ここは属性を取っていないのでわからない) - プロジェクトマネージャーやマーケッターとして、コミュニティに取り組もうという方が多かったのかも知れない。
- コミュニティの活性化やコミュニティ運営を通じたNSPxx%アップといったものを獲得目標に据えたプ譜を書くと、より具体的なコミュニティに取り組む上での知見、作法、振る舞い、アイデアを得られると思う。
- 例えば、「顧客コミュニティ」もあれば、「見込客コミュニティ」もあるし、自社の事業やサービスが対象とする「テーマや社会課題などについての
- 広範なコミュニティ」など、一口にコミュニティといっても種類は様々。
- そうした種類の異なるコミュニティのプ譜から、学ぶことのできるものがたくさんあるハズ。
- 次回は、そうしたプ譜を書ける会にしたい。
この勉強会で書いて頂いたプ譜は、あくまである局面でしかなく、この後実際にプロジェクトを進めていく中で、想定外の事象に遭遇したり、内外の状況の変化でプロジェクトが好転したり暗転したりします。そうした変化・プロセスを適切に記述し、メンバーと共有しあい、書かれている内容を解釈し、勝利条件を更新していくことで、プロジェクトを停滞・炎上させず、進めていくことができます。
その詳しい方法を書くと長くなってしまうので、よろしければ拙著をご購入頂き、第4章からのプ譜についての解説やケーススタディをご参考頂ければ幸いです。
あと、昨日の勉強会に参加された方で、プ譜の共有を希望する方は、下記アドレスまでお書きになったプ譜を真俯瞰で撮影してお送り下さい!
takaho78@gmail.com