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はじめての技術書典で感じたこと、考えたこと──5本の記事で振り返る「書く」「伝える」の実践記

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 2025年6月1日に開催された技術書典18に、 『プロジェクトのための「問いかけ」の技術』 という同人誌を書いて出展しました。 初めての同人誌執筆かつオフライン参加だったのですが、その振り返りの一環として、執筆から印刷、頒布までに実践したことの記録や、同人誌を書くことから考えたことなどを5つの記事に書きました。 5つの記事は、同人誌を初めて書くという方、自分の知識を体系化したいと考えている方、同人誌イベントに初出展するといった方々に向けて書いています。 気になる記事があればぜひご覧ください。 まずは執筆篇。 「書きたいものはあるけど書き始められない」「どのような構成にすればいいかわからない」といった不安や悩みをお持ちの方向けの記事です。ページ数や表紙デザインの決め方についても言及しています。 初めての技術書典出展までの2ヶ月半 ~「書きたいのに書けない」から始める同人誌づくり記 個人的なおすすめポイントは、「著者向け目次を “プ譜” で作成する方法」です。 執筆する際に目次から始める方は多いと思うのですが、目次というのは完成品の外観であり、外観だけわかっても家は建たないように、書籍づくりにも設計図が必要です。 プ譜はその設計図になるものです。 目次だけを先につくると、「内容の順番」しか見えず、「何を書けば十分か」が曖昧になります。プ譜は「書くべき内容の“必要性”」を明らかにしてくれるため、迷わず・足さず・削らずに書けるようになります。 その効用の詳細は、ぜひ記事でお確かめください。 続いては「設営、頒布篇」です。 ブースで足を止めていただく仕掛けとチラシを活用して、「見本誌を手に取る」→「購入いただく」という販促パターンなど、効果のあった工夫について書きました(おかげさまで100冊完売しました)。 技術書典振り返り:設営、頒布篇 こちらの記事は、お子さんの社会勉強に関心のある方に。 売り子として連れ出した娘が見せた、勇気ある、機転のきいた振る舞いを目の当たりにして、感心して嬉しくなった親バカの記録です。 技術書典振り返り:小4娘の振る舞いに感心した話 こちらの記事は、仕事や日常生活のなかでインプットしたことのアウトプットについて考えている方へ。 アウトプットとは何か?―技術書典に同人誌を出して気づいたこと アウトプットにはテキスト、音声、映像のフォーマ...

技術をいかに記述するか?~2つの記述スタイル

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こんにちは。技術書典18で 『プロジェクトのための「問いかけの技術」』 を出展した前田考歩です。 この本は、プロジェクトの現場に潜む“もやもや”や“すれ違い”に向き合い、対話によって構造を立ち上げるための実践的な思考技術をまとめたものです。 けれど、書き終えたあとに気づいたことがあります。 「これは、“問いかけを教える”だけでなく、“技術をどう教えるか”そのものを試みた記述だったのではないか?」 つまり、「問いかけの技術」を教えるための本であると同時に、技術をどう記述すれば伝わるのか。習得できるのかを体現した、“技術記述のメタ教材”でもあるのではないか?と。 今日はその気づきを、技術を教えたい人・書きたい人に向けて綴ってみようと思います。

アウトプットとは何か?―技術書典に同人誌を出して気づいたこと

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技術書典に同人誌を出しました。 書いたテーマは、私がもともと研修で扱っていた「プロジェクトにおける問いかけ方」について。 内容としては、すでにPowerPointの資料として形になっていたものでしたが、書籍という“別の形”にまとめてみたことで、考えたことが色々ありました。 今日はその体験から感じた、「アウトプットとは何か?」について、考えたことを整理してみたいと思います。

技術書典振り返り:小4娘の振る舞いに感心した話

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 初の技術書典は、小4のジージョといっしょにお店に立ちました。 中2のアーネとはコロナになる前、年に数回 「なんで?ワークショップ」 という子どもの「なんで?」をテーマにしたイベントや、地域の子どもたちが地域の魅力を動画で発信する 動画制作ワークショップ などに連れ出していました。 しかし、コロナ後はそうした機会は一切なくなり、ジージョにそうした大勢の他者と触れ合う機会を提供できていませんでした。 今回の技術書典がそうした機会になればと思い、ジージョを連れ出したのです。もちろん無理矢理にではなく、ジージョの「行きたい」という意思があってのことです。 店頭では以下のように役割分担しようとジージョと話していました。 ・書籍の説明や決済、お金のやり取りは私。 ・買って下さった書籍を手渡しするのはジージョ。 人足がまばらな頃は上記の分業でやれていたのですが、徐々に店頭に足を止めてくださる人が増え、私がある方の応対をしていて他の方まで手が回らなかったとき、ジージョが 「見本誌をどうぞ!」 とその方に手渡してくれたのです。 さらに人が増え、明らかに書籍を購入してくれようとしている方がいるのに、私が別の方の応対をしていたとき、ジージョが 「かんたん後払い」 のQRコードが記載されたポップを手にして、その方に「どうぞ」とそっと差し出していたのです。 「かんたん後払い」 とは、技術書典運営事務局が提供する公式の決済方法です。 購入者は専用アプリを使ってQRコードを読み、オフライン開催後にまとめて支払いできます。 支払時はAmazon Pay、PayPal、Stripeなどで払えます。(技術書典公式ブログより) 私はこれらのジージョの一連の振る舞いにいたく感心しました。嬉しくも思いました。 ともすれば、気後れしてじっとしている可能性もあるなか、なぜこのように振舞えたのかはわかりません。ジージョには「ありがとう」と伝えただけで、その理由を聞くこともしていません。 ただ私は仕事をしている人間として、予め定められた分業の範囲外のことは黙して行わないような人にはなるまいと思ったのです。(もちろん、その仕事の内容によりますが) なかなか売れない時間が続いたときは「売れないね…」とつぶやいたり、「あと何冊ある?」と数えたりしていましたが、30冊を切ったころから持参したホワイトボードに残りの...

技術書典振り返り:設営、頒布篇

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技術書典執筆篇( 『初めての技術書典出展までの2ヶ月半 ~「書きたいのに書けない」から始める同人誌づくり記』 )に続き、ブースの設営と頒布についても記録しておこうと思います。 技術書典は全員同じ条件ですね。長机一台とパイプ椅子二却、決済用のQRコードをプリントしてくださっている「お品書き」がついてきます。お品書きを用意してくださっているのが、そもそも神です。 さらに初出展者にはテーブルクロスなどが入った 「完全手ぶらセット」 を無料提供してくださり、本当にありがたいです。 https://techbookfest.zendesk.com/hc/ja/articles/31287768689421- これらのスターターキットに加え、自分で用意したポップスタンドやポスターなどを用い、以下のようにブースを設えました。 頒布した書籍は1種類のみで100冊。 書名が『プロジェクトのための「問いかけの技術」』だったので、クレイトン・クリステンセン教授の格言「イノベ―ションの失敗はたいてい、重要な質問をしなかったことがそもそもの原因であり、答えが不正確だったことではない。」をプリントしたものをポップスタンドで掲示。少なくとも2名、店頭にきてくださった方が「そりゃそうだ」と口にしていました。 店頭正面には 「プロジェクトの病態関連図」 をA1サイズで出力して貼り出しました。 これはプロジェクトが失敗する種々の要因のつながりを可視化したものですが、これも足を止めてくださる効果を期待しての仕掛けでした。 見本誌用のブックスタンドを2台。あとは下図のチラシを両面刷りで用意しました。 この病態関連図は期待した通り、多くの方が足を止めてくださったのですが、遠くから見ても字が小さいので見づらかろうと思い、「お手元でも見ていただけます!」と、上のチラシを手渡していました。 そうすると、そのまま見本誌を手に取ってくださって、その後お買い上げいただくことが何度もあり、「ポスターを見る」→「チラシを手に取る」→「見本誌を見る」→「購入する」という、購入までのパターンが意図せずできあがったのです。 結果的に100部は完売。ご購入いただいた皆様、誠にありがとうございます。 運営の皆様にも心より感謝いたします。

初めての技術書典出展までの2ヶ月半 ~「書きたいのに書けない」から始める同人誌づくり記

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技術書典に出かけたのは、「いかに技術を記述するか?」という長年の問いのヒントを見つけるためでした。 しかし一度(ひとたび)その雰囲気に触れた瞬間、「自分も出てみたい!」と思ってしまったのです。 (このときの経験は、 『非技術畑のオヂが技術書典に行った話』 に書きました) https://kodomonogatari.blogspot.com/2024/11/blog-post.html たまたま自分が「プロジェクトのための問いかけ方」をテーマにした研修コンテンツを持っていたので、これを「問いかけの技術」として執筆しなおせば、出展のための書籍はつくれると思ったのです。 そんなことから技術書展18にえいやっと申し込み、運良く当選し、執筆と印刷の準備を始めました。 結果として、2ヶ月ちょっとで本が完成し、無事に技術書典の会場に立つことができました。が、そこに至るまでの道のりは、いくつもの“つまずき”と“わからなさ”に満ちていました。 本記事は、そんな私が、編集者もデザイナーもいない中で、どのように構成を決め、原稿を書き、ページを整え、印刷所に入稿し、無事に1冊の本を完成させたのかを記録したものです。 同人誌を書いてみたいけど「どうすればいいのか全然わからない……」という方にとって、ひとつの道筋としてご参考になればうれしく思います。

今日もハズレ酒を飲み干すおじさんが、ChatGPTで“俺専用利き酒師”を召喚した件

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  こんにちは。 日本酒が好きすぎるのに、選ぶたびに微妙にハズしてるおじさんです。 「おいしそう!」と手に取ったはずなのに、なぜか毎回ズレる 私が好きな日本酒の味はわかりやすいです。 ほのかな甘みとキリッとした酸味 スパークリングほどじゃない、微炭酸 …なんですけどね。 なかなか出会えないんですよ。これだ!ってやつに。 ラベルには書いてない。値札の紹介文も信用できない。 大体、日本酒のラベルって「純米吟醸」とか「山田錦」とか書いてあるだけで、肝心の味については書いてくれないじゃないですか。 スーパーだと値札の横に「華やかで軽やか」みたいな 抽象的な一言メモ があって、 「いや、軽やかって……どのくらい!?」と毎回ひとりツッコミ。 店員さんに聞いても、 「さあ…飲んだことないんで…」と苦笑いされて終わることも。 結局スマホでレビュー検索…でも720mlの博打 で、結局スマホで銘柄名を検索して、レビューを5つくらい読むわけです。 でも情報はバラバラ、主観もまちまち。 時間かかるし、買い物終わる頃にはもうビール飲みたくなってる。 そして勇気を出して四合瓶を買う。 → 飲む。 → 「…うん、ちょっと違った…(720mlあるのに…)」 → 完飲までの3日間が、やや切ない。 飲んだ酒を◎○△✕で自己採点していた このままではいかんと思い、こつこつ日本酒採点メモをつけ始めました。 ◎ → また絶対飲みたい ○ → まあアリ △ → 次はたぶん買わない ✕ → ごめん、どうにも合わない… これを続けているうちに、 「どうやら自分は“酸と甘のバランス+自然な微炭酸”が好きらしい」 ということが判明しました。 そして私は、ChatGPTに「利き酒師」をやらせることにした そんなある日、ふと思ったんです。 これ、ChatGPTに好みを覚えさせたら、自分好みのお酒かどうか判定してくれるんじゃ…? で、試しに作ってみたんです。GPTsという機能を使って。 そうしたらできました。 “俺専用の利き酒師GPT”が。 名前を入れるだけで、評価してくれる こちらです: 自分好み日本酒GPT https://chatgpt.com/g/g-681e9ca4398c819196d244a9a08b810c-zi-fen-hao-miri-ben-jiu-gpt 銘柄名を入れると...