Project Editing

プロジェクトという言葉が使われる世界は実に様々です。
企業がシステムやゲームを開発したり、建物やプラントを製造したり、新規事業を企画したりするとき。
政府がオリンピックなどのようなスポーツイベントや政策を運営、施行しようとするとき。
そして、私たち一人一人が、経験したことのない何かに取り組もうとするとき。
そうした何かに取り組もうとしたとき、予め「こうすればよい」という手順は手法がわからなかったり、示されていなかったりするものはすべからく「プロジェクト」になります。

手順や手法が明らかになっていて、それに則れば目的を遂行できるものは、プロジェクトではなく、ルーティンです。
ルーティン=既知ではない、未知なものに取り組む行為を、私はすべからく「プロジェクト」と呼んでいいと考えています。
そうした意味でプロジェクトをとらえると、プロジェクトとは自分自身のキャリア形成や、家庭生活、しいては人生そのものもでもあります。

社会はテクノロジーの進化によって変革をもたらされ、その度、人びとはまだ取り組んだことのないプロジェクトに挑んできました。
そして、今の時代を生きる私たちもまた、インターネットやAIなどの進化によって、これまで築いてきたビジネスモデル、社会制度や慣習が通じない世のなかで、何らかのプロジェクトに取り組もうとしています。

しかし、そうしたプロジェクトの多くは失敗します。

プロジェクトというものが、そもそも未知な要素を多分に含むものであること。
未知ゆえに情報や準備が不足していること。
変化する内外の環境や条件に、適切に対処しきれないこと。
そうした情報を適切にプロジェクトメンバーと共有していないこと。
プロジェクトを与えられたままにし、自らのプロジェクトにできていないこと。

失敗の要因はいくつもありますが、こうした失敗要因を取り除き、プロジェクトを進めていくための力や態度は、ビジネスマンにとしても、一人の人間としても、子どもであっても、有益であると考えます。

プロジェクトを進めていくための力には、色々あります。

プロジェクトの目的や進め方を取捨選択し、判断・決定する力。
プロジェクトの見通しをたて、必要な時間や準備をイメージできる力。
その内容を関与者にわかりやすく伝え、腹落ちしてもらう力。
文字や言葉だけに頼らず、可視化など異なる方式で表現する力。
遭遇した事象が想定外のものであっても、それを客観的にとらえる力。
遭遇した事象や新たな情報を、自分自身や環境などと関連付けていく力。
直面した問題を自分が有利なように表現したり、問題の性質を変形する力。

こうした力は、従来のロジカルシンキング的な、未知を事前につぶしたり、問題をリニアに解決しようとする考え方、手法だけでは育むことができません。

私は、十数年のプロジェクトマネジメント経験から、このプロジェクトを進めていくための方法や態度を、「プロジェクト・エディティング」としてまとめてきました。
そして、プロジェクトを進めていくためのツール「プロジェクト譜(通称「プ譜」)」を考案し、情報通信、金融、保険、製薬、EC、webメディア、出版社、システム開発、デザイン、建築、まちづくり、飲食、行政、介護、高校など、様々な分野のプロジェクトマネージャーやリーダーにワークショップを提供しています。

そうした提言や活動は、著書『予定通り進まないプロジェクトの進め方』という本にまとめています。


プロジェクト・エディティングの手法はいまなお研磨している最中でありますが、もしこうした考え方・手法に興味関心を持って頂けるようでしたら、我々の勉強会にご参加下さい。

勉強会などのイベント情報は下記のページ下部よりご覧頂けます。
https://www.amazon.co.jp/-/e/B004LTC8WY

このブログの人気の投稿

オラリティとリテラシー。~子どもが世界を知る二つの経路

著者が解説『プ譜』とは何か?概要とテンプレートを紹介します(動画あり)

高崎線の四人ボックス席で帰るプロジェクト 後編