アウトプットとは何か?―技術書典に同人誌を出して気づいたこと

技術書典に同人誌を出しました。

書いたテーマは、私がもともと研修で扱っていた「プロジェクトにおける問いかけ方」について。

内容としては、すでにPowerPointの資料として形になっていたものでしたが、書籍という“別の形”にまとめてみたことで、考えたことが色々ありました。

今日はその体験から感じた、「アウトプットとは何か?」について、考えたことを整理してみたいと思います。


同人誌を出して考えた「体系化する」ということ

イベント当日、本を手に取ってくださった読者の方が、こんなことを言ってくれました。

「これは、ずっと自分も考えていたことなんだけど、こんなふうに体系的にはまとめていませんでした」

この一言が、すごく印象に残っています。

SNSへの短文投稿、ブログやポッドキャストなど、アウトプットにはいろんな種類がありますが、同人誌のように“書籍にまとめる”となると、情報の構成や補足、図解など、自然と“伝える/伝わる設計”が求められます。

私の場合は、研修で使っていたスライドがベースにあったので、「ある程度体系化されている」と思っていました。

ところが、いざそれを文章に書き起こしてみると、「この説明、ちょっと曖昧だったな」とか、「 この視点が抜けていたかも」といった、“ボロ”がいろいろ見えてきます。

話すときにはごまかせていたことが(ごまかしているつもりは毛頭ないのですが)、文章にすると浮き彫りになる。これは、アウトプットの形式によって思考の精度が問われ直されるということなのではないかと実感しました。


アウトプットにも「ハードル」と「得られるもの」の違いがある

あらためて考えてみると、アウトプットにはいろんな形式があります。

・ラジオ(ポッドキャスト)

・動画(YouTube)

・ブログ

・研修、セミナー

・書籍(同人誌、商業出版)


そして、それぞれにかかる労力の違いがあります。

・ラジオ(ポッドキャスト)→ 口で話す。

・動画(YouTube)→ 口で話す。映像や図などで説明する。

・ブログ→ 手で書く。文章内での構成を求められる。

・研修、セミナー→ 口で話し、図などで説明する。2時間や8時間など時間制約が強い。

・書籍(同人誌、商業出版)→ 手で書く。情報量がブログよりも多く、構成、編集が必要。同人誌はページ数が少なくても出せる。


アウトプットを「出すこと」から「再構築すること」へ

アウトプットの形式に良し悪しはなく、目的や好みに合ったものを選べばよいです。ただ、今回あらためて思ったのは、アウトプットは、「自分の中にあった情報の断片を再構成する作業」だということです。

その過程では「曖昧だった思考が言葉になる」「バラバラだった知識が構造になる」といったことが起きてきます。

私はこうした情報の断片を、他者が理解しやすいように再構成することが、「体系化する」ということと考えますが、この点では研修や書籍を出版する際に体系化の必要が出てきます。

同人誌は自分ですべてを決めることができます。編集者がつかない分、孤独な作業となります。クライアントがいない分、明確に要求される成果もありません。イベントに応募・当選しないかぎり〆切もないです。完全に自由です。

自分が日頃考えていたことをまとめたい。体系化したいと思いたったら、同人誌にチャレンジしてみることをお勧めしたいです。

その断片からどう体系化して書籍を書けばよいかについては、下記の記事を参照ください。

『初めての技術書典出展までの2ヶ月半 ~「書きたいのに書けない」から始める同人誌づくり記』

https://kodomonogatari.blogspot.com/2025/06/2.html

このブログの人気の投稿

子どもがよろこぶ「おはなし」の作り方

子どもの月齢に合わせた『離乳食 初めての旬カレンダー』

【著者解説動画有】『プ譜』とは何か?概要とテンプレートを紹介します。