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非技術畑のおっさんが技術書典に行った話

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技術はいかに記述できるか? プロジェクトの研修や講座を依頼されるようになってから一貫して持ち続けている「問い」があります。 それは、「技術はいかに記述できるか?」というものです。 研修も講座も時間が限られていて、そこでインプットできる量とアウトプットしてもらう量には限界があります。 参加者の皆さんの中には、その技術についての概念や知識を知ることができればそれでいい、という方もいらっしゃいますが、一方でのっぴきならない問題を抱えながら、実際にその技術を習得して、自分の仕事に活かしたい、仕事の問題解決に活かしたいという方もいます。 こうした(後者の)方々が研修や講座の時間外、つまり私が傍にいない状況で、技術習得の自学・独学を支援するにはどのようにすればいいのか? この問題意識が、「他者がその技術を習得できるようにするために、技術をいかに記述できるか?」という問い ——煎じ詰めれば、「技術はいかに記述できるか?」という問いにつながっているわけです。 2024年11月3日に開催された技術書典17は、上述の問いのヒントあるいは答えの例を探すことを目的に訪れたのでした。

よいプロジェクトとは何か?

「よいプロジェクト」の一義的な基準はない。 Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)を高い水準で満たしているのが「よいプロジェクト」と言えるかもしれないが、それはプロジェクトで成したいことそのものの基準ではない。 プ譜の世界観でいえば、「よいプロジェクト」かどうかは、勝利条件をどのように実現したか?で決まる。

コスパ最高の問題解決スキル「問い返し」を、図書館のレファレンスで疑似体験する

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自社製品を使用する顧客、あるいは導入を検討している見込客から、「御社の製品でこんなことできますか?」「こんな機能はありますか?」と、製品にはない機能について質問や要望がきたとき、みなさんはどう答えているでしょうか? まだない機能なので「できません」「ありません」と答えているでしょうか?それとも、もしみなさんが営業ならその機能を開発することで契約が取れる(カスタマーサクセスならその機能によって解約を防げる)ことを期待し、開発チームに機能開発を依頼されているでしょうか? 一問一答、即応することで失うもの 相手からの質問や要望に対しそのまま回答・対応する、ということは、どんな仕事であってもよくあることです。 このような対応に大きな問題があるというわけではありません。ただ、相手の質問や要望に対し、一問一答したり即応したりすることで、相手が望んでいた機能とはズレたものをつくってしまったり、相手が望んでいたとおりにつくったハズなのに、まったく使われなかったとか成果をもたらさなかったということがあります。 せっかく労力と時間をつぎこんで開発した機能が望んだ結果につながらないのは非常にもったいないことであり、リソースの無駄遣いと言われても仕方ありません。

あまりに多様な用途に使える「プ譜」とは何か。

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プ譜を開発したときには想像もしなかったような使われ方をして頂く一方、自分もその用途を広げていく活動を行うなかで、「結局プ譜ってなんなの?」と聞かれたとき、いろいろな答え方をしてきました。 下記のリストはその代表的なものです。  対象や規模を問わず、モノゴトのシステムを表現する道具。  プロジェクトの目標と所与のリソースや置かれている環境、及び目標に至るまでの仮説を表現する道具。  プロジェクトに関わる複数の要素間の関係性・構造を可視化し、全体像を把握する道具。  プロジェクトの言語化と構造化の道具。  プロジェクトを「わかる」ための道具。  プロジェクトの生きた文書。動態保存の道具。  実行の結果を振り返り、意思決定のプロセスを記録して、プロジェクトを俯瞰的に眺めながら進めるための道具。  ふりかえり、記録、評価の道具。  プロジェクトを進めるためのフレームワーク、プラクティスの一種。  プロジェクトのポートフォリオ。  プロジェクトの伝達の道具であり、思考操作の道具。  合意形成の道具。  プロジェクトに関わる人々との対話の道具。わかりあうための文書。  人々が自分の望んでいることについて共通の理解を伝え合う道具。  上記のことを学習コストと認知負荷を低くして行えるようにするための道具。  学習コストの低い表記法。  プロジェクトを進めるためのメンタルモデル。 メンバー間で共有されるメンタルモデル。  抽象的になりすぎない概念モデル。  プロジェクトに参加しやすくする道具。  暗黙知を形式知化しやすくする道具。  プロジェクトを進めるためのフレームワーク、プラクティスの一種。   また、プ譜は道具であり、その道具をよりよく使用するためのルール(遠位と近位、入れ子構造など)や補助ツール(問いかけリストなど)もあります。 上述した「プ譜とは」リストは今後も増えていく気がしており、それについてはScrapboxに常時追記していきます。 Scrapboxの「プ譜」とは何か

8歳児と学ぶ、期待するアウトプットを得るための指示の出し方

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ジージョ(小3)がクラスで流行っている「人のイラストを一体書いて、それとは別に書いた服や靴などのイラストを重ねる」遊びをするための、イラストを書いていました。(この遊び、なんて言うんでしょう?平面着せ替え?)

発注者のあいまいな要望を、受注者はどのようにヒアリング・解釈して成果物を出すのか?

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 2024年5月14日に小樽市総合博物館がXに投稿したエピソードが目に留まりました。 当館では資料を抱えて学校に出前授業をすることも多いのですが、先日非常に難易度の高いリクエストがありました。「小学校3年生から6年生まで全員で12名に、遺跡の話をしてほしい」という内容で、しかもこの学校は国指定史跡忍路環状列石のすぐそば、6年生は埋文センターの講義を受けています→ pic.twitter.com/alpYYA7xep — 小樽市総合博物館(公式) (@OtaruMuseum) May 13, 2024 この先の記事を読む前に、一連の投稿のツリーをすべて見てほしいのですが、要旨は、 学校から出された「小学校3年生から6年生まで全員で12名に、遺跡の話をしてほしい」という要望に対し、「地層について学ぶケーキを特注して授業を行った」 というものです。 地層ケーキという素敵なアイデアの創造に目を奪われてしまいますが、プロジェクトに関わる方々が注目すべきポイントは、 発注者と受注者間のコミュニケーショ ンです。 投稿されていた文章を引用して、詳しい注目ポイントを見ていきましょう。

何を板書して、何をノートに書くべきなのか?

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ジージョ(2年生)が「学校なんてやだ」「学校なんて行きたくない」と言い出した。 行きたくない理由は色々あって、そのうちの一つが「先生の板書のスピードについていけない。書いてあることを全部ノートに書き写せない」というものだった。先生側の視点に立てば、「視写が遅い」ということになるだろうか。 先生が黒板に書いた授業の要点なりなんなりを、ジージョは一生懸命、ていねいに、4Bの濃い鉛筆で書き留めていく。ちょうど同じ時期に取り組んでいた硬筆展の影響かわからないが、ていねいに書こうとするほど追いつけなくなる。