「夫婦の会話」と「子供の語彙習得」について

子供ができてから夫婦の会話が減ったなーと思うのですが、それって夫婦仲はもちろん、子供の言語習得面でもよろしくないなーと思うことがあったのでメモしておきたいと思います。


今度、魚の離乳食材通販サービス「mogcook」の仕事を期間限定で行なうため、一週間家を留守にすることになりました。そうなると娘の朝食作り、登園などを妻にお願いせねばなりません。保育園入園後、今日まで登園は私の担当であり、また早朝勤務の多い妻にそれらの仕事を頼むにはうまく話を運ばなければなりません。そこで夕食時に以下のような会話をしました。

今日の夕食がとても美味しいこと、娘と休日にしっかり遊んできたこと、mogcookの申込状況が好調であることを伝え、

「それでさぁ、そうだんがあるんだけど・・・」

と肝心の話を切り出そうとすると、

「さとうせんせい?」

と、これまで黙々と大好物のさつまいも煮を食べていた娘が、自分が通う園の保育士の名前を挙げて私たちの会話に入ってきたのです。

娘にとっては、自分が持っている語彙の中にある(自身との関係が深い)「さとうせんせい」という固有名詞(単語)が、私の発した「それでさぁ、そうだんがあるんだけど・・・」の「さぁ、そう」の部分を拾って結びついたのでしょう。

この事は「幼児の言葉の発達、語彙の習得」と「夫婦コミュニケーション」を考えるにあたって示唆的です。
ちょっと図を書いてみました。


子供が三回食になり、少しずつ会話が成立するようになってくると、食卓がややもすると子供を中心とするコミュニケーションだけになってしまいます(わが家はそうでした)。

「おいしい?」

「それ何味?」

「餃子、おいしいなぁ」

「ほうれん草も食べないとだめよ」

こんな事ばかり話しているような気がします。
(キレイに食べられる訳でもありませんから、世話も焼かねばなりません)

そうすると、夫婦間の会話はあまりなく、夫も妻も、まず子供とコミュニケーションを取ろうとするため、子供がわかる範囲の言葉しか使いません。


一方、夫婦の会話がデフォルトである場合、子供がわからない、まだ知らない言葉、表現などを使って会話をします。当然ながら子供はそれを理解できませんが、今回の出来事のように両親の会話なの中に、自分の知っているワードが引っかかることがあれば、子供から大人の会話に入ってこようとするのではないでしょうか。

子供を軸とした会話の場合、子供が言葉や表現の幅を拡げていく機会は乏しく、夫婦を軸とした会話の場合の方が、多くの内容はわからなかったとしても、上記のように自分のアンテナが引っかかる事を一つの契機として、で新しい言葉、表現を覚えていくのではないかと思います。

でもって、そうやって自分に会話を引き寄せていく子供の姿を見て、夫婦が顔を見合わせたり、目くばせしたりすると、なんというか幸せな気持ちになると思うのです。


■夫婦の会話が軸でも、子供はそんなに寂しくない

私の両親は小学校教員をしていたのですが、思い返せば、毎日の夕食時には授業の事、学校の事等についてよく二人で話をしていました。

「よくわからん話を長々とするなー。」

くらいの感想は持っていたと思うのですが、それによって放っておかれて寂しいといった感情は持ちませんでした。
私や弟はその話の内容が全て理解できるはずもありませんでしたが、わかったような顔をしてうなずいたり、何か自分にも話せるようなことがあると、二人の会話に割り込んでいった記憶があります。(その後、どんな会話がなされたかまでは覚えていません)
そこでの両親の話を通じて二人の教育観や価値観をなんとなしに知ったり、言葉の表現等を覚えていったことだろうと思います。


「子供 夫婦 会話」で検索すると、子供が居ながら夫婦の会話がないことに悩んでいる人が多いようですが、今日の仕事のこと、今日の料理のこと、週末の予定のこと、登園、お迎えの時の子供の様子の話でも何でも良いので、子供軸ではなく、夫婦軸で話してみることをお勧めします。

以上、最前線から親バカがお伝えしました。



■余談だが
最近、娘が夜おなしく寝ない。そこで、妻が娘を寝かしつける際に私も寝室に行って、電気を落として今日の出来事などを妻と話すようにした。
すると娘が騒がずに寝ていく気がする。気がするのは、私も寝落ちしているからだ・・・


よろしければ、こちらの「子供の言葉の発達」に関する記事もご覧ください:
『大真面目で親バカな、娘のコミュニケーション力に関する考察。』
『子供は何歳からダジャレ言えるの?』
『2歳児の接続詞から考える雑談力』
『なぜ幼児は歌をたくさん覚えられるのだろう?』

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