なぜ幼児は歌をたくさん覚えられるのだろう?

娘が2歳になる前後から、保育園で流れ一緒に歌ったのであろう歌や、Eテレで流れる歌などをよく覚えるようになりました。

「それ、よく覚えたなぁ!」

と感心するくらい、一二度聞いただけで覚えたり、歌を通じて新しい言葉を習得したりしているのです。

娘の耳や脳みそがどうなってこんなに覚えるのか、まったく分かりません。

娘、天才だな。。

と、親バカモードに入る前に思い出したのが「口承文化」です。


「口承」とは、歌いついだり、語りついだりして、口から口へと伝えていく情報を伝えるための手法。

有史以来、古代ギリシアの詩人ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』、稗田阿礼が暗誦し、太安万侶によって記されたとされる『古事記』など、口承によって文字化された歴史がある一方、文字を持たない民族が歌や舞で自分たちの歴史や文化を今に伝えています。

私は中国留学時代に歴史や生活文化を専攻しており、中国各地の少数民族の暮らしぶりを見学して旅した事がありますが、特にウイグル族や中国西南地方の多くの少数民族に、歌や舞による口承文化の跡を垣間見る機会がありました。

こんな感じで祭事を中心に歌や踊りで神話や民話を語る。

この口承を、単に教科書を読むように一字一句覚えていくのは至難でありますが、ここにメロディやリズム、フシ等乗ってくると覚えやすくなります。
(英語学習でリズムを身につけると覚えやすいという体験などは、その表れの一端ではないでしょうか。⇒参考:『英語習得に役立つリズム感と言葉の意外な関係』


まさに娘の歌を覚えたり、歌を通じた言葉の習得したりしていく姿に、古代人が音楽や舞踊などをよりしろに自分たちの神話や物語を覚え、伝えていった歴史を垣間見るのです。

歌をよく覚える要因に音楽やリズムが言葉を覚えやすくさせる効果がある一方、
幼児が文字を習得していない、つまり文字が存在しないことによって、脳みそや耳が音声言語の受容に優れているという点も考えられるので、こうした要素が相互に影響し合っているのでしょう。

以上、親バカが現場からお伝えしました。


■余談だが。。

かれこれ20数年前になるが、父が小林克也のアメリ缶を全巻購入して英語学習に勤しんでいたことがあったが、英語習得の役に立ったのだろうか・・・?

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