1才の娘が「意味は違うんだけど、同じ音のジェスチャーを仮借して」意味を伝えた

1才3ヶ月になった私の娘は他の赤ちゃんに比べて発する言葉が少なく、同じ年頃の赤ちゃんがよく言葉を発しているのを聞くと、「うちの子は発達が遅いのかなぁ?」と少し不安になることがあります。
ところが、先日娘との散歩中にこうした不安を晴らしてくれる出来事があったので、記録することにしました。

■「わ~お!」という曲、知ってます?

ここ最近、娘がEテレ『いないいないばあっ!』の「わ~お!」という曲を気に入っています。

「わ~お!」の歌詞(抜粋)
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みんな みんな みんな みんな ピョーンピョン!
おいで おいで おいで おいで ピョーンピョン!
そーらそら おそらに わーお わーお わーお わーお!
みんなでね こんにちわーお!
「さいしょは、ゆび!」
ねぇねぇ ピピピ ピピピのピ
あちこち ピピピ ピピピのピ
みてみて どんぱ どどんぱどん
ぐるっと まわってー どんぴたっ!
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「わ~お!」では、「ピピピ」の部分で、お互いのお腹をツンツンと指でつっつく振り付けがあるのですが、娘はそのパートが大好きで、時にキャハキャハ笑いながら、時に真剣にフンフン言いながら、自分で自分のお腹をツンツンつっついています。


■ジェスチャーと意味が正しくなくても、意思は伝えることができる

ある日の休日、娘と散歩中に鳥が鳴いていたので、「鳥がピッピッて鳴いとんな~」と話しかけると、娘が自分のお腹をツンツンと指さすのです。

(写真はハトですが、イメージを伝えるため掲示します)

この娘の仕草を見て、私は中国に留学していた頃に学んだ事を思い出しました。

中国は日本と違い「かな」がなく、全て漢字でものを書きますが、まだ漢字の種類を多く知らない子供が、書くべき漢字を忘れてしまった、あるいはその漢字を知らない場合、その漢字と同じ音の漢字を代用します(※これを「仮借」と言います)。

どういう事か少し解説します。

例えば、子供という意味の「孩子」。
これは「ハイ・ズ(hai・zi)」と発音しますが、
この「孩(hai)」の字がわからない場合、
同じ「hai」の音の漢字(例:海、亥など)をアテて代用します。

この、

「間違っている(それそのものではない)とわかっているんだけど、音が一緒だから使う」

という方法がミソです。

ものの本を読むと、赤ちゃんのコミュニケーション能力を育む上で、赤ちゃんに話しかける時にジェスチャー(仕草)を伴うことが推奨されています。
(ノドが乾いたらコップで飲む仕草をする、というようなこと)

こうした方法は「ジェスチャーと意味が正しい」状態ですが、今回の娘の出来事は「ジェスチャーと意味が正しくない」、「音だけは共通している」状態です。
私は娘が後者の手段を取ったことから、子供の原始的な表現力を垣間見たようで、たいへん興味深く感じました。


■成長、発達の現象はスピードだけじゃなく現象も様々。

この事があって以降、娘が家の中や散歩中に鳥の鳴き声を聞くと、自分のお腹をツンツンするようになりました。

私の娘は同じ頃に生まれた友人知人の赤ちゃんに比べ、寝返りをほとんどせず、歩き始めるのも遅く、発する言葉とか音の種類が少なく、成長がゆっくりなのだと感じていました。

ただ今回の出来事を通じて、なんというか、娘が今持っている限りの手段で伝えたい事を表現しようとしたことが愛おしく、これも成長の一現象なのではないかと思ったのです。

これは親バカの限りをつくして勝手に考えている(思い込んでいる)事なので、そもそもこんな表現手段は赤ちゃんに備わっていない事と、娘がそんなことを自覚してやっていないい可能性が高い事を記しておきます。

以上、親バカが最前線からお伝えしました。

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