擬人化して理解する方法について ~4才娘の浮力の気づき

アーネが4才の頃、夏祭りで買った金魚が入っていた袋を風呂場に持ち込んで遊んだことがありました。
最初は、ただのお湯を袋に入れて遊び、その後に温泉の素を入れて変化したお湯の色を袋に入れるのを楽しむということをしていたのですが、たまたまお湯の入った袋を風呂の水面に置いた時、

「あれ?しずんでかない。みずがもってくれているのかな? 」

とつぶやき、

「みずにはそんなパワーがあるのかな?」

と口にしたのです。


我々はよくモノゴトの原理を理解してそのイメージをつかんだり、本質をわかろうとする時に、メタファーという方法を使います。
擬人化はメタファーの一種ですが、天変地異を「神の怒り」や、自然現象を「妖怪の仕業」というように、当時は説明しがたい現象を、人々は昔から擬人化して理解しようとしてきました。
新しい仮説を理解しようとしている科学者でも、抽象的な現象を身体的な表現に置き換えて説明することがあるそうです。
アーネが口にした「もってくれている」という擬人化表現は、そうした人間が対象に近づき、よりよく(或いはどうにか)理解しようとする、心の動きの新芽のようなものでありましょう。

なぜ擬人化がモノゴトの理解を助けるかというと、どうもミラーニューロンが関係しているらしく、人間の脳みそには自分と似たように振る舞うものを目ざとく見付ける機能があり、「自分と似たようなもの」についての理解がとても強いのだそうです。

このあたりの解明は、その手の研究発表を待つとして、こうした脳のはたらきを活用すれば、子どもに長さの概念や言葉の使用方法などを擬人化して、理解しやすくする手助けができるのではないかと思うのです。

長さの概念の場合は、「ミリくん」と「センチちゃん」と「キロがみさま(神様)」が。
量の概念では「みつどん(密度)」や「そくどん(速度)」が。
論理的な言葉の使い方であれば、「だからちゃん」と「なんでちゃん」が。

以前、娘が会話の始めに「だからぁ」と口にするのが愉快ではないという記事を書きましたが(参考 『4歳娘の「だからぁ」にイラッとします』)、それを説明する時に、

「だからちゃんは一人でいるとふきげんです」

とか、

「なんでちゃんとだからちゃんはなかよしです」

といった表現に置き換えることで、子どもの理解が進むかも知れません。

もちろん、安易な擬人化にはその本質をゆがめてしまう可能性もありますから、使用方法には要注意ですが。

以上、親バカが最前線からお伝えしました。

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