「も」が書けるから、「し」も「じ」も書ける  ~子どもが工夫する文字の覚え方

インターネットには、何歳から文字を教える?といった悩みや、文字の教え方を解説するサイトがたくさんあります。ネットの有無にかかわらず、このテーマは多くの親が考えるものだと思います。

アーネ(現在4歳)にひらがなを教えよう、と意識したことはありませんでしたが、
求められれば読み聞かせていた絵本。
風呂場に貼っていたひらがなの五十音表シート。
遊び道具の一つだったひらがなカード。

アーネは上述のモノゴトとの関わりの中で、ひらがなが読めるようになり、知らぬ間にカタカナも読み出しております。
最初は「読み」からスタートし、次に「書き」に移ってきていますが、
これも、ひらがなを書かせようと意識したことはなく、せいぜい字を書いた経験といえば、保育園の連絡帳の朝食の欄を、いっしょにペンを持って書いた程度ではなかったでしょうか。

そんなアーネが見よう見まねの文字を書いていたある日、

「アーネは“も”がかけるから、“し” も “じ” も書けるんだよ」

と言いました。

アーネの名前には“も”が使われています。

自分の名前に使われているひらがな、というのはこの上ない関心事、覚えるモチベーションの高い文字でありましょう。

では、「どうして “も” が書けると、“し” も “じ” も書けるの?」とたずねてみると、

「“し” は “も” の “ちょんちょん(=)がないでしょ」

「“じ” は “し” に“てんてん″(濁音の点)がついてるでしょ。」

「だからだよ」

と答えました。



あぁ、そうやって字を覚えているのか。書けるようにしているのか・・・。


子どもの行為の裏側というか、工夫、方法を知ることができたことが、じわりじわりと効いてきて、驚き、というよりも深い感動をおぼえたのです。

多くの子どもがこのような覚え方をしているかも知れず、他にも、
「さちちゃん」という名前なら、“さ” と “ち” は反対、と覚える子どももいるだろうし、
「いしい」という苗字なら、“し” は “い” の右側の線が一本ない、と覚える子どももいるでしょう。


こうした子どもの認知の秘密や工夫を、私はもっともっと知りたい、と思うのですが、
ついついうっかりすると、娘の考えてること、していることを何でも知りたいヤマイになってしまいそうなので、このあたりはバランスを見て自制せねばならんと考えている次第であります。

以上、親バカが最前線からお伝えしました。


*子どものひらがな、文字修得についてはこちらをご覧下さい

4歳のひらがの書き方から学ぶ、作り手と使い手のメンタルモデルの乖離
幼児の文字習得方法について ~五十音順かテーマ別か?

このブログの人気の投稿

オラリティとリテラシー。~子どもが世界を知る二つの経路

著者が解説『プ譜』とは何か?概要とテンプレートを紹介します(動画あり)

高崎線の四人ボックス席で帰るプロジェクト 後編