ワークショップの進行をスムーズにする“モジュール”的考えについて

一昨年あたりから、初めてワークショップというものを知り、いくつかのワークショップに参加してきましたが、ついに自らワークショップを企画する事になりました。
本ブログではワークショップの企画過程で感じた、ワークショップの「企画内容そのもの」、ではなく、その「進め方」について、「あったら便利なモジュール」についての考えをまとめたものです。


■ワークショップの内容と進行

今回、私が企画したワークショップは、以下のような概要です。


タイトル:
スマホショッピング時代の“衝動買い”を作り出す。TVショッピング風動画撮影ワークショップ

目的:
スマホシフトが進む中、スマホでのEC事業を促進させるため、テレビショッピングを範に取り、ユーザーに衝動買いを促すための、スマホ最適化された動画の構成と撮影方法を学ぶ

内容:
・60分のテレビショッピング番組を、60秒に圧縮する構成を学ぶ
・動画化価値が高くなる撮影方法を学ぶ
・上記2点を実際にその場で実践(撮影&完成まで)する

対象:EC(イーコマース)を行っている事業会社やネットショップ担当者
定員:20名


上記の内容については、担当講師に制作オーダーを出していたので、私が考えなければいけないのは企画内容そのものではなく、メーンとなる内容につなぎ、メーンとなる内容が終了した後の「進行」にあたる部分でした。

ここでいう「進行」とは以下のようなものが該当します。

  • 受付の仕方
  • 参加者の自己紹介のさせ方
  • 本内容に移る時のモニター画面の切り替え方、タイミング
  • グループの分け方
  • グループリーダーの決めさせ方
  • ディスカッションの仕方
  • 質疑応答の仕方
  • アンケートの貰い方 など

例えが適当か自信がありませんが、ゴールを決めるための2本前のパスというか、ワークショップを進めるために必要なねじ、パーツのようなものです。


グループの分け方、と一言でいうと、

「いくつかテーブルの島を作って、そこに早い者勝ちで座らせればいいんじゃないの?」
「盛り上がるように男女バランスよく配置すればいいんじゃないの?」
「同じ会社で応募した人は散らした方がいいんじゃないの?」

と安易に考えてしまえるのですが、ワークショップの内容によっては、このグループの分け方がその後のワークに影響を与えることもあり、迷わず行けよ、行けばわかるさ、という具合にはいきません。

例えば、昨年参加した安斎勇樹先生の『ワークショップデザイン入門講座』というワークショップでは、ワークショップという扱う対象が幅広いものに、多様なプロフィールと目的をお持ちの方々が集まり、且つここでは各グループが自らワークショップを作るというプログラムであったため、できるだけその目的意識や探究テーマを同じくする人が同グループになるように、以下のようなグループの分け方を行いました。


これは教室を四象限にし、興味関心のあるテーマのエリアに移動させてグループを作るという方法です。
私はワークショップをビジネス用途で活用したいと考えていたため、「商品開発、都市計画」グループのエリアに移動しましたが、こうしたグループ分けを行わず、私がワークショップを生涯教育や芸術教育に活かしたい人と同じグループになっていたら、その後のグループワークがうまくいっていなかったのではないでしょうか。

また、グループディスカッションについても、ともすれば声の大きい人がその場を独占してしまいがちなものも、質問でも意見でも発話する時は必ずクッションやボールなど何がしかの物を持つこと。
というルールを設けるだけで、ディスカッションの偏りを防ぐことができます。


■ワークショップの内容、条件に合わせて最適なモジュールを組み合わせよう

で、今回のワークショップを企画するにあたり、どのようなグループの作り方が適当か?どのような質疑応答方法が適当か?どうすれば参加者の満足度が上がるか?滞りなくプログラムが進むか?といった事を考えれば考えるほど、どういった方法が最適なのかがわからなくなり、困ってしまいました。

ですが、上述の通り、グループの分け方一つとっても多分色々な方法が存在するであろう事から、そうした進行に関わる個々の「やり方」を最小単位のモジュールと捉え、コレクションし、ワークショップの企画内容や参加人数、所要時間などの条件によって最適な「やり方」モジュールを組み合わせることができれば、早く、適切にワークショッププログラムをつくることができるのではないかと思いました。


ワークショップでは、実践を積み重ねることでしか個々のモジュールの実効性はわからないため、上述したワークショッププログラムの作り方には数多くの事例が公開、共有されることが必要ですが、多分そっちの方が効率はいいので、Web世界のオープンソースにならって、ワークショップのオープンモジュール的なものができあがればいいですね。



■余談だが
モジュールの考え方を、プレゼンや子供へのおはなしに活かせるんじゃないか?という話も書いています。よろしければご覧ください。
『今晩からできる。寝かしつけのおはなしの作り方』
『ベンチャー企業のためのプレゼン構築術』

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