ベンチャー企業のためのプレゼン構築術

先日、「MorningPitch(モーニングピッチ)」というベンチャー企業と大企業の事業提携を生み出すことを目的としたプレゼンイベントに参加しました(私は登壇してません)。
このイベントに登壇するための資料作成やプレゼン練習の体験から、効率的な資料作成とプレゼン内容の構築について考えてみました。
これからプレゼンしなきゃいけないんだよ、というベンチャー企業の皆さんの参考になれば嬉しいです。



■異なる持ち時間に合わせてプレゼンを考えるのは非効率。

ベンチャー企業やスタートアップ企業(以下ベンチャー企業)には様々な場所でユーザー獲得、投資や事業提携を目的としたプレゼンに参加する機会があります。
こうしたイベントで登壇者に与えられる時間は一定ではありません。
俗にいう「エレベーターピッチ」は30秒。
サムライベンチャーサミットの「サムライシャウト」は3分。
「MorningPitch」は4分。
IVSの「Launch Pad」は6分。
10分というような長い時間を与えられるイベントもあるようです。

こうした異なる持ち時間に応じて毎度プレゼンを組み立てていくのは、イベントの開催趣旨やオーディエンスが異なればプレゼン内容を調整していく必要があることと合わせてたいへん非効率です。

そこで、持ち時間に左右されず、効率的にプレゼンを構築していく方法として提唱したいのが以下の3点です。

1.話したい内容をモジュール化する。
2.最も短い持ち時間のプレゼンを最初に構築して優先順位を作る。
3.プレゼンの核から持ち時間に合わせてモジュール化した内容を付け足していく。


以下、今回MorningPitchに参加した体験と絡めて解説していきます。


■プレゼンで話したい内容をモジュール化する。

今回、私が関わっている事業がこのようなプレゼンイベントに参加するのは初めての事でした。
これまでは興味を持ってくれた企業に対し、1時間程度の打合せの中で、会社紹介や過去実績、プロダクト(サービス)紹介、他社比較、料金体系、サービス導入によるメリットなどをたっぷりと話してきたのです。
しかし、一般的なプレゼンイベントでは1時間もの長さを与えられることはありません。

MorningPitchは1社あたり4分の持ち時間なので、これまで贅沢な時間の中で話してきた内容を見直し、切ったり圧縮したりする作業を行わなければなりませんでした。

で、この話す内容と話す時間を、「多いものから少なく。長いものから短く」していくという作業はなかなか難しいです。

「これを話すと印象が良くなるんじゃないか」とか、
「これも必要なんじゃないか」という未練がつきまといます。
つい欲張ってしまう言ってもいい。
この取捨選択にかける時間は無駄なので、「あれはいる。これはいらない」という明確な判断基準、優先順位を設けた方が良いです。

そこでまず、プレゼンで話すべき、話したい内容をモジュール化してみましょう。



プレゼンイベントの趣旨やオーディエンスによって伝えるべき内容は異なると思いますが、概ね上記のような内容が考えられます。
(分類は適当です)

モジュール化したら、それに該当するプレゼン用のスライドを作ります。
この時のポイントは、そのスライドについて話す秒数を把握しておくことです。




こうして秒数を把握できれば、あとはプレゼンイベントの持ち時間に合わせてモジュール(スライド)を組み立てていくだけ。
MorningPitchは4分だったので、以下のように組み立てていくと、、、



おぉ、4分未満で収まるぜ。

こうして組み合わせた後に、実際にプレゼンをする際、スライド間の流れを円滑にするための「つなぎの言葉」を挟めば完成です。



■モジュールの核を作って優先順位を作ろう。

このモジュール化を行った後にプレゼンを組み立てる際に大切なのは、最も短い持ち時間のプレゼンを最初に構築して「プレゼンの核」を作っておくことです。

最も短い時間、といってもエレベーターピッチのような30秒という機会はなかなかないでしょうから、まずは1~2分を目安にしておくと良いと思います。
最も短い時間で伝えるべきは最も伝えたい内容ですから、モジュール優先順位をつけることになります。
そうする事でモジュールの取捨選択が容易になり、イベントの持ち時間が異なろうともプレゼン内容の構築が楽になります。

これはテレビCMでも同じで、一つのCMに15秒版、30秒版、60秒版、90秒版などが存在しますが、CM制作会社の方に聞いた話では、CM構成を考える際は90秒版から考えるのではなく、15秒版から考えるそうです。

その理由として、15秒で最も伝えたいことを先に考えておくと、30秒にした場合、その最も伝えたい内容を”かみくだいて表現する”ことができます。
更に60秒版を作るとなれば、2番目に伝えたいことを。秒数が増えればかみくだき、3番目に伝えたいことを・・・という風に内容を膨らましていくと、長い尺でもだらっとしない(密度の濃い)映像になるのだそうです。
(この方法論はCMに限らず文章も同じですね)

上記の方法論を意識して、以下のリンクを開いて頂き、こちらのCMを見てみて下さい。

≪ 東京メトロ Color your days. 「東京の涼」篇 ≫



ベンチャー企業にとってプレゼンイベントはユーザー数増加や投資家へのアピール等を行うための重要な手段です。
なお、MorningPitchは朝7:00から開催されるため、プレゼン内容の構築に手間取ってイベント前日遅くまで練習を行い、ねむけまなこで登壇してはせっかくのチャンスをふいにしかねません。
最高のコンディションで最良のプレゼンを披露できるよう、日ごろのプレゼン構築作業を効率化しておいてはいかがでしょうか。


そういうお前はプレゼンしたことあるのかって?
オレも居並ぶVCや事業会社の前でプレゼンして、シードマネーを得てきたんだぜ、ブラザー。



■余談だが

プレゼンのスライドの持ち時間を把握したら、それを体に染み込ませる作業をした方がいい。
仮にサービスの紹介やユーザーニーズ等のスライドが30~50秒といった時間で終わるのに対し、
何か念押し的なメッセージスライドを差し込んだ場合、そのスライドは5秒もあれば十分なのだが、これまで30~50秒タームで行ってきているため、極端に短いスライドで間が持たなくなってしまう。
で、そのスライドに書いてあるメッセージを繰り返して口にしてしまうというシーンをよく見かける。

なので、スライドに基づいて話していくのもいいけれど、本来は話す言葉が主であって、その言葉を補足するためにスライドがあるべきなんだよね。

このブログの人気の投稿

オラリティとリテラシー。~子どもが世界を知る二つの経路

著者が解説『プ譜』とは何か?概要とテンプレートを紹介します(動画あり)

高崎線の四人ボックス席で帰るプロジェクト 後編