小学3年生はどのくらいの時間を学習に割かなければいけないのか?

4/8に休校が決まってから数日は、どうやって学習の時間とリズムを保つかを考えていました。休校後しばらくは、午前中は学校で自習し、午後は児童館で自習となっていたので、自習用のドリルやプリントを持たせていましたが、私が在宅勤務になってからは、アーネ(小3)はずっと家にいます。
終日、ずっと家にいながら勉強(家庭学習)することになったとき、一番最初に考えたのは、どのようにアーネの学習時間を確保し、そのリズムをつくるか?でした。

あれこれ私案していた休校から9日後。アーネ(小3)の通う市の教育委員会から「来週1週間分の課題」がメールで送られてきました。


このメールを見て、教科書を見て、私が抱いた感想は「これで一週間分もつのかな?」だったと思います。
私は、小学3年生が「どのくらいの時間を学習に割かなければいけないのか?」を知りません。
ためしに社会科の課題に取り組もうと教科書を見てみます。10ページ分を読み、4方位と8方位を覚えようとすると、10分くらいで終わってしまいます。というか、東西南北を知っていれば、子どもは「知ってるから、やらなくていい」とすら思わないでしょうか。教科書はよくできていて、大人になれば「あぁ、そういえばそうだなぁ」とかいう感想を抱く箇所もありますが、すべての子どもがワクワクして、書いてあるモノゴトに興味を持って、教科書を読み進めるとはかぎりません。
アーネに関して言えば、教科書をめくり、「読んだ」と言い、「4方位と8方位覚えた?」と聞くと、「覚えた」で終わってしまいました。なんだこの「どさゆさ」コント。
(この顛末は下記に詳しいので、よろしければご覧ください)

100回唱えれば「東西南北を覚えた」と言えるか?~目標と手段は合致しているか|前田考歩 プロジェクトは管理するな、編集せよ。|note

教育委員会の方がどのように考えてこの課題を書いたのかわかりませんが、こと社会科にかぎっていえば、極端な話、10分で一週間分の課題が終わってしまうわけです。

アーネの時間割を見ると、社会科は45分の授業が二時限あります。あえて杓子定規な書き方をしますが、90分かけて、これだけの内容を覚えるだけでいいのでしょうか?


国語の授業なら毎日あって、五時限×45分=225分かけて、音読と二年生の漢字を復習。めちゃくちゃ時間が余ります。

ここに至って私は生まれて初めて、授業時間というものについて考えさせられます。

なぜ、小学校の一時限分の授業時間は45分なのか?
なぜ、一日五時限、六時限まであるのか?
それらの時間は本当に必要なのか?
働いている人々、企業の要請なのか?

私はこうした理由や歴史・背景を知りません。
ただ少なくとも、教室という空間に30人の子どもがいたら、1人の子どもに教えるよりも時間はかかるということはわかります。
子どもごとの特性に応じた教え方をしたり、教えたことが理解できているかの確認をしたりする時間が必要でしょう。自分とは違うクラスメイトの考えや感じ方、表現の違いなどを知ったり、それへのフィードバックを見聞きする時間もまた必要なものでありましょう。

でも家で一人で学習するのなら、45分という制約はなくて良い。

大事なのは、その課題をこなすことで”あるべき状態”になっていることであり、それが果たせたなら10分で終わったっていいのではないかと思いました。もちろん、なにかその子どもにとってのめりこむものがあるなら、90分かけたっていい(希少種だと思いますが)。

そこで私はアーネとこのようなことを話して、決めました。


  • 課題をすこしやってみたけれど、必ずしも一つの課題に45分もかからない
  • 一つの課題にかける時間は20分でも60分でもいい
  • 午前中45分×4時限、午後45分×1もしくは2時限としなくてもいい
  • 渡された時間割通りでなくていいので、課題と一週間の予定を見て、自分で一週間分の時間割をつくろう(一日の予定表ではく、七日分の予定)
  • つくった予定はなるだけ実行するが、やむにやまれぬ事情があれば、つくり直して良い(調整OK)

七日分の予定を毎日つくるにあたり、これも勉強になるだろうと思い、私のノートPCでエクセルをつかって予定をつくることにしました。


元小学校教師の実家の父に、LINEでオンライン授業をしてもらうにあたり、アーネにchromebookを購入して以降は、Googleカレンダーに移行しました。(パソコンに慣れさせるという意味では、もうすこしエクセルでやらせた方が良かったと思います)
Googleカレンダーに登録して、GoogleHomeと連携させると、今日の予定を読み上げてくれるので、リマインドするのに有効です。(もっとも、親のほうがリマインダーになってしまうのですが・・・)

ただ残念ながらというか、冒頭に掲げた「どのくらいの時間を学習に割かなければいけないのか?」という問いと、「その課題をこなした結果の“あるべき状態”」がわからない私は、この量(時間)でいいのか?という不安と常に隣り合わせです。小学校から大学まで受けた授業時間というものの呪縛?はとてつもないものです。学校に行かせてしまえば、こんなことは考える必要もありません。それは思考停止していると言うべきでしょうが、子どもの学習の時間や質などを考える良いキッカケをもらったと捉えるようにしています。

今、この環境で試行錯誤している教師の方々、右往左往し、どうにかやれることはないかと考えている親の方々の経験は、とても貴重なものだと思います。私は現在の授業時間になんの疑いをもたずに生きてきました。この環境がいつまで続き、どのような学校生活に戻るのかわかりませんが、ただ従来の方法に戻り、そこでまたなんの疑いもなく授業・学習を続けていくのではなく、より良い変革につながっていけばいいなぁと考えている次第であります。

休校期間中の親の懊悩や試行錯誤は時系列で下記にまとめています。よろしければご覧ください。

埼玉県の公立小学校に通う娘の、休校期間中の家庭学習の記録

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