GoogleHOMEは、子どもの「なんで?」に答えてくれるのか?

GoogkeHOMEやAlexaなどに代表されるスマートスピーカー。
別名AIスピーカーとも呼ばれるこのガジェットを買うかどうか、発売以来ずっと迷っている。

私は子育て中の親のTwitterアカウントを多くフォローしているが、こんなツイートが散見されて、「ほぉ、これは便利ではないか」と思うのだ。




それでも、購入を迷う唯一の理由は、

「スマートスピーカーは、子どもの“なんで?”に答えてくれるのか?」

という疑問のためである。

長女のアーネは一時のピークは過ぎたとはいえ、今もまだ様々なモノゴトについて「なんで?」と問うてくる。(参考 4歳娘が「なんで?」と質問したこと100選』

  • なんでたんさんがのみたくなるの?
  • なんで、38どなの?
  • なんでゆびは5ほんなのに、ピアノはドレミファソラシドまであるの?
  • なんでおとこのひとのぱんつはかわいくないの?
  • なんであついのにやきゅうするの?

こうしたアーネの「なんで?」に応えることのできる「知性」が、はたしてスマートスピーカーにあるのだろうか?

今私は何気なくに「知性」という言葉を使った。
ここで私はハタと、キーボードを打つ手を止める。

スマートスピーカー=AIスピーカーのAI(artificial intelligence)は、「人工知能」と訳される。
「知能」である。

「知能」と「知性」はどう違うのか?

コンピュータ将棋のソフトウェア「Ponanza(ポナンザ)」を開発した山本一成さんは、著書『人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか?』で、知性と知能の違いを以下のように表現している。

  • 知性=目的を設計できる能力(そもそも何をすべきか?の設計)
  • 知能=目的に向かう道を探す能力(探索と評価を使う)

また、ある本では、「知性の習慣」とは「疑問を持つ習慣」であるという一文を読んだことがある。
知性の習慣とは下記のようなものだ。

  • その「意義」を考える
  • どういう観点なのか、その「全体像」を考える
  • どうやってわかったのか、その「根拠」を明らかにする
  • どうやって適用するか、その「関連づけ」を考える
  • もし違っていた場合、その「仮説」を立てる

私淑する安斎勇樹先生曰く、発問・質問・問いには以下のような違いがある。

  • 発問は、答えが問いかける側にあって、相手に答えさせるもの。
  • 質問は、答えが問いかける側にはなく、相手に答えてもらうもの。
  • 問いは、お互いに答えを持っていないもの。

すなわち「知性」とは、「答えのない問題」を見つけ、それを問うことのできる力ではあるまいか。

一方の「知能」は、この動画にあるように、「答えのある問題」に対して、いち早く回答する力。これこそまさにAIの強みである。



ここでGoogleHOMEに投げかけられるのは、答えのある「質問」である。
答えのある質問は、AIに質問の文脈や意図を読み取らせるための「発話意図分類」や「発話要素抽出」がしやすいが、答えのない質問はこれが難しい。
そもそも、人間の側に答えのない質問に、AIがどう答えるというのか。

なんで38どなの?

アーネが検温して出た38度という数字が、なぜ「発熱している」と判断するための温度なのかという意味で聞いてこの問いに答えることと、それを子どもにもわかりやすく表現することは簡単ではない。

子どもの「なんで?」には答えのあるものもあれば、答えのないものもある。
それら全部ひっくるめて、なぜ子どもがそれらのことについて「なんで?」と問えるのかということが目下の関心事だが、その「なんで?」を記録し、育むことの楽しさと意義のようなものを、子どもと大人で体験し、考えたいと思い、「なんで?プロジェクト」というプロジェクトを始めることにした。


2018年7月29日(日曜)、表参道のワンダーフォトショップで、そのプレイベントを開催するので、ご興味のある方は、ぜひ足をお運びください。


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