2018/05/07

プロジェクトと産後生活をテーマにした勉強会企画

先日、拙著『予定通り進まないプロジェクトの進め方』の対談企画で、NPO法人マドレボニータの、吉田 紫磨子さんと対談させて頂きました。
「産後生活」と「プロジェクト」にある共通点から、プロジェクトを進めるための学びや気づきを得るというのが趣旨でした。
吉田さんの人柄もあり、終始なごやか且つ面白く、ときどく毒もはきながら(笑)、とても楽しくお話をさせて頂きました。
対談記事は5月~6月の間に公開されると思いますが、そこからこぼれ落ちそうな内容のうち、6歳と2歳の娘(2018年現在)を、共働きの妻と育ててきた中で、「これは書いておきたい」、「いち早く周囲のみなさんの意見や感想を聞きたい」と思ったことをブログに書きました。


これからの企業では、規模も種類も異なる、様々な「プロジェクト」が起きることが予想されます。それは、以前から行っていても、プロジェクトとは捉えられていなかったものもあれば、企業としてまったく新しい、未知のプロジェクトもあります。

これから、どちらのタイプのプロジェクトが多くなるかと予想するならば、これまでのビジネスモデルが立ち行かなくなっていたり、人びとのライフスタイルや価値観も変わってきたりしている中、圧倒的に後者の、未知タイプのプロジェクトになるはずです。

この未知タイプのプロジェクト。
先日対談した小倉ヒラクさんの言葉を借りれば「ブリコラージュ型」のプロジェクトを会社で行っていくにあたっては、以下の項目が重要になると思われます。
  • 非線形
  • 部署横断性
  • メンバーの多様性

これまでのプロジェクトは、システム開発など、ゴールの姿が決められていて、決められた仕様のものを、決められた納期にキッチリ納めるという、リニア(単線的)に進められる=進めた方がいい、進めなければならないタイプのものがその多くを占めていました。

しかし、未知タイプのプロジェクトは、何となくのゴールの姿はあるけれど、未知ゆえにその道筋、プロセスには「絶対的にコレだ」と言える勝ち筋がありません。似たようなプロジェクトはあるけれど、所与のリソースが異なれば、その道筋は自分たちの状況に合わせていかなければならない。これは、最初にきちんとしたプランを立てて、計画通りにモノゴトを進めたい人にとってはツライことです。

また、こうした未知タイプのプロジェクトは会社の一部署だけで完結するのが難しいという特徴もあります。
部署をまたぐか、複数の外部人材を入れてチームをつくらなければならないケースもあります。しかし、良きにつれ悪しきにつれ、日本の企業にはセクショナリズムの高い壁が存在してきました。オレのシマはオレがやるといった意識は、責任や作業の明確化といった意味ではプラスに働きますが、そのメリデメは表裏一体です。

ここまで見てきた流れから、プロジェクトは必然的に、様々な素養やバックボーンや属性のメンバーとチームを組んで行うようになります。
それは性別、年代はもちろん、働き方や言葉や文化の異なる人々に対する理解や配慮が求められるようになってきます。人口が減って、仕事の仕方が変わってくると、誰もが長時間労働を厭わず、いつも健康、心身とも(或はいずれか)にマッチョな人で、雇用主にとってはまことに都合のいい人というのは絶対的に数が少なくなります。

企業がこれまで理想としてきたメンバーが揃わず、新たに採用・外部招聘するか、内部人材で賄おうとした時、必ずしもその人材は自分が求める健康状態、能力スペックを備えているとは限りません。どこかに不具合、事情、都合を抱えている人たちとチームを組むことになってくる。
そんなチームどどのようにプロジェクトを進めていくか?
  • 非線形
  • 部署横断性
  • メンバーの多様性
こうした新しいプロジェクトの特徴に対応したり、乗り越えたりする上で、産後生活に夫婦で取り組むことがとても役に立つと思うのです。(ちなみに、私は6歳と2歳の娘がいます@2018年)

産後生活をプロジェクトとして捉えると、こんな特徴があります。


●プロジェクトメンバーの異常状態、情報不足
・妻(心身ともに異常な状態)
・夫(そもそもプロジェクトメンバーに入っていないことが多い)
 →妻のワンオペになりがち。

まず、プロジェクトメンバーの構成や状況がおかしい。妻は全治一か月くらいのダメージを受けている身体状態。なのに、子どものケアをしなければならない。
一方の夫は、妻のツラさが今一つ理解できない。妻は夫をこのプロジェクトメンバーの一人としてカウントしていないことも稀ではありません。
夫のこの状態は、新規事業プロジェクトが始まっているのに、「おれかんけいねー」とのたまう古株社員のイメージに重なります。
そして、妻のコンディションはまったく万全ではありません。メンタルもフィジカルもやられている状態です。
好ましい言い方ではありませんが、敢えて言うならばかなりのハンデを背負っています。そして、初産ならば夫妻ともに情報が圧倒的に不足しています。
これが初婚ではなく、お互いバツN子持ちなら経験豊富な外部プロマネを招聘したような心強い状態になるかも知れませんが、そんなことはレアケースであります。

夫婦の育ってきた環境。周囲のサポート状況。子どもの特性の数だけ、方法がある。そこに最短で、絶対的にハマる、原理原則というものはないに等しいのです。


●セクショナリズム
次の特徴はセクショナリズムです。育児における妻の役割はこれ。夫の役割はあれ。
現代企業にも通じる弊害が、産後夫婦にも現れます。
おっぱいは仕方ない。
でも、ミルクをつくること、おむつを替えること、風呂に入れること、寝かしつけること、夜中大量にもらしたウンチを洗面所でキレイにして洗うこと。いずれも夫も妻もできることです。
自分の仕事はこれだからと、必要以上に守ろうと、責務を果たそうとすることはない。逆に言えば、自分の仕事はこれだからと、その殻に閉じこもっていては、立ち行かないのが産後生活です。
立ちゆくのであれば、それは多分どこかでムリが起きています。
(夫は一生恨まれるかも知れない)


●ゆだねる
こうしたセクショナリズムをどのように超えるのか。
この課題を解決するためのキーワードが「ゆだねる」、ということです。
これについては、対談記事で詳しく話していますので、ぜひ記事公開をお待ち頂ければと存じますが、このブログ記事で最もお伝えしたいのは、「産後生活(広くは育児)は、プロジェクトに従事する人々にとって、この上なく実践に近い仮想演習の機会である」ということです。

このことを、企業の人事担当者、管理職のみなさんにお伝えしたい。

「彼(彼女)、もうすぐ子どもが生まれると言ってたなぁ・・・。退職の話、せなあかんな」
ではなく、
「彼(彼女)、もうすぐ子どもが生まれると言ってたなぁ・・・。あのプロジェクト、任せてみるか!」
というふうになって欲しい。

なぜか?
どうしたら、どんなことができるか?

これについて、ぜひ吉田さんと一度、企業担当者の方々を招いた勉強会を開催したいと思います。
テーマはこれからのプロジェクトと産後生活。
もし、少しでもご興味ご関心を持って頂けて、「こんなことを勉強したい、体験したい」、「同じような境遇のみなさんと交流したい」、「共働き育児生活中の仕事と家庭について知りたい」、ということがあれば、ぜひメッセージ下さい。