イーコマース販促動画制作で重要な「情報の絞り込みフレームワーク」と「動画化価値」について

2018年4月28日に、一般社団法人イーコマース事業協会にお招き頂き、web動画企画・制作ワークショップを行いました。
連休初日にもかかわらず、寝具、スマートフォンカバー、アクセサリー、洋服、ギフト用品など、様々な商品を扱う方々に参加頂きました。

4時間の中で、私が支援してきたEC販促動画の成功事例の紹介、web動画の企画方法などをお伝えしましたが、
このブログでは動画制作ワークショップで紹介した「テレビショッピングメソッド」について紹介します。

テレビショッピングといえば、みなさんおなじみのこんなタイプの動画です。



テレビショッピングには物を売るための方法がギュギュっと詰め込まれています。
ターゲットに買ってもらうための商品ベネフィットの抽出の仕方。それを言葉と映像で伝える技術。
30分や60分という時間を使って多様な見せ方を、伝え方をしていますが、その構成はとてもシンプルです。

  1. ナビゲーターによる問題提起、生活提案
  2. 提起した問題を解決、提案した生活を実現してくれる商品の登場
  3. その商品の特徴的な動き
  4. その商品を体験した人の反応、感想
  5. 価格やキャンペーンなどのインフォメーション

この構成を時にタレントを出演させ賑やかし、購入者のインタビュー、生産者や開発者のメッセージを入れるなどして、構成をループさせることで30分から60分というテレビ番組の枠を埋めています。
web動画にはこうしたテレビ局都合の時間枠がありません。
この構成にのっとれば、30分ではなく、30秒のテレビショッピングweb動画をつくることができます。

わずか30秒のテレビショッピング動画を制作する上で最も重要なのは、「伝えたい情報の絞り込み」です。
30分あれば、その商品の大小様々なウリの部分をすべて伝えることができますが、30秒ではどれか一つに絞りこむ必要があります。

私たちはつい色々な情報を詰めこみたがりますが、視聴者はそれを受容・理解することができません。

今、「視聴者」と書きましたが、情報の絞り込みには、「誰に買ってほしいか・誰が買ってくれるか」という視点が欠かせません。
例えば、ふとんの柔らかさや軽さは、ふとんをかぶるのが嫌いな子どもを持つ母親と、寝付きにくいシニアとでは、柔らかさや軽さの持つ意味=その商品の価値・ベネフィットの伝え方が変わります。

この情報の絞り込みには、商品を「要素」、「技術」、「属性」にバラして書きだすフレームワークが有効です。



こうして買ってほしい人に対して伝える情報を絞り込んだら動画を撮影するわけですが、上述の5つの構成でポイントとなるのが、「3.その商品の特徴的な動き」における『動画化価値』です。
動画化価値とは、「静止画やテキストでは表現しきれない、動画でなければ伝わりにくい情報」のことを言います。代表的なものとして、「形状、動き、シズル、目にわかる効果」があり、食べ物の湯気の動き、ジュエリーのキラキラ、健康器具の使い方、掃除機で綺麗になる床などが該当します。

今回は、スマートフォンカバー、アクセサリー、洋服などのスマホショッピング動画を制作頂き、全員で鑑賞し、合評を行いました。
3人一組のグループワークでしたが、アクセサリーをお取り扱いの方々を一つのグループにしたり、近しい商品でグループをつくるなど、とてもいい案配をして頂きました。
(実行委員のみなさま、ありがとうございます!)

勉強会では、動画のつくり方をお伝えした上で、では自分たちが扱うどの商品から撮り始めればいか、それをどのくらいのスケジュールで、制作した動画をどのメディアに置くかといった、「動画を使った集客・見込客育成・販促プロジェクト」をどう進めていくかというお話をしたかったのですが、時間の都合上十分にお伝えすることができませんでした。

動画をネットショップに活用していくことは、動画の制作方法と同等に重要です。
そのテクニカルな部分を紹介するのは別の機会に譲るとして、そのプロジェクトの目的や進め方を他のメンバーや社員と共有し、前に進めていくための方法を拙著『予定通り進まないプロジェクトの進め方』にまとめました。

テーマがプロジェクトなので、動画のことには触れておりませんが、本書の第4章に書かれているプロジェクト事例を、みなさんの商品に置き換えて読んで頂くことで、少なからず参考にして頂けるものがあるのではないかと思います。

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