2018/04/17

華道から学ぶ、プロジェクトの進め方の要諦

先日、石草流いけ花の奥平祥子さんにお会いし、拙著『予定通り進まないプロジェクトの進め方』を献本しました。


奥平さんとは数年前にイシス編集学校で同門になって以来、一度お会いしただけでしたが、本書を書き終えた後で、どうしても聞いてみたかったことがありました。

それは、華道とプロジェクトの共通点です。

プロジェクトを取り巻く状況、相対する環境というものは、静的なものではありません。時々刻々と変化するものです。また、自分が実施した施策によっても、それらは変わっていきます。(※プロジェクト工学の第二法則「プロジェクトにおいては、こうあれかしと考えて立案した施策が、想定を超えた結果をもたらす」)
また、会社でしかるべき予算を充て、メンバーを集めてチームを組んでプロジェクトを進めることは、そう何度もできません。失敗したらもう一度最初からやり直し、はきかない。

こうした条件が、華道にも当てはまるんじゃないか。当てはまるとしたら、そうした状況に際して、華道はどのような考えで、どう対処しているのかということを聞いてみたかったのです。
私は書籍を執筆するにあたり、認知科学、生態心理学などをアナロジーにして、プロジェクトを進めていくためのヒントを数多く得ましたが、華道からも同様の学びや気づきを得たいと考えました。

奥平さんの答えはとても面白く、プロジェクトの進め方としても参考になるものがありました。
そもそも、華道というと、女性のお稽古、嗜みとしての生け花イメージしてしまいますが、華道は鎌倉、室町、安土桃山(戦国時代)期にかけて、武将が自らの精神修養、鍛錬、モノゴトのまとめ方のスキルを身につけるために行っていたそうです。


どのようなことを、どのようにして学んでいったかという点が、とても参考になるのですが、これを私一人に止めおくのはもったいないと思い、6月あたりにプロジェクト工学勉強会で奥平さんをゲストに招くことを決めました。
詳細はまた後日公開しますが、ここでは華道を学んでいた武将(主に戦国時代)と現代のプロジェクトの共通点を表にし、特に面白かったことのメモをご紹介しておきます。




  • 華道で使用する「花材(花、葉、枝などの他、花器)」は、花器を除けば、刻々としおれていく。
  • その時々に使用する花材によって、「立花」の形(まとめ方)は変わる。
  • 限られた条件で、きれいに花を立てるというゴールを果たさなければならない。
  • こうした体験をアナロジーにして、戦争における人のまとめ方、軍の動かし方などを仮想体験していた。
  • 華道では、全体のゴールや、個々の素材の組み合わせなど、部分最適と全体最適を体験できる。
  • 武将によっては、華道が合わないという人もいた。そこで、芸能、技芸や禅に基づくあらゆる「道ごと」が用意されていた。
  • 武将が「道ごと」を習うにあたっては、その道に精通したお坊さん(阿弥衆、同朋衆)と呼ばれる人々がメンターになった。
  • 阿弥衆は半俗半聖の人で、世間の現実を知っており、机上の空論をかざすような人々ではなかった。

プロジェクトマネージャーがプロジェクトを進めていくためのスキルというと、PMBOOKなどのツールやPMPなどの資格があります。しかし、これらに習熟したり、資格を取得していなければプロジェクトマネージャーと名乗れないということはありません。

私たちが書籍で対象としているプロジェクトは、狭義のシステム開発やプロント開発ではなく、新規事業も子育ても地域活性も採用も、本人にとって未知の要素があれば、すべからくプロジェクトであるという捉え方をしています。
私のプロジェクト遍歴は、事業の中で何らかのシステムを開発することはありましたが、それはプロジェクト全体における一つのプロジェクトであることが多く、業界も規模も実に様々でした。
そうしたプロジェクトを進めていくにあたり、私はいわゆる生産管理や経営工学的なものよりも、冒頭に述べたような認知科学などから得るものが多くありました。

つまり、プロジェクトを進めていくための学びやナレッジを得る機会は、野球やサッカーなどのスポーツからでも、将棋やチェスなどのボードゲームからでも、子どものママゴトからでも、他にも色々なところに存在しているということです。
肝心なことは自分が見聞きし、体験したことから、アナロジーを発揮して、自分のプロジェクトに活かすことではないでしょうか。
そうした体験の一つとして、華道から得られるものが多いのではないかと考えます。

プロジェクト工学勉強会参加者のみなさま。本書をご購入くださった、或いは興味をもってくださっているみなさま。勉強会開催の日を、楽しみにお待ち下さい!

なお、奥平さんは現代の武将ともいえるビジネスパーソンの方々などを対象に、少人数スタイルの「あぢさゐサロン」を開催しておられます。ぜひリンク先のPeatixのあぢさいサロンアカウントをフォロー下さい。

また、拙著をまだご存知ないという方は、下記より詳細情報をご覧下さいませ。