子どもの「なんで?」が持つ力と可能性 〜Problem を Project に。
前回のエントリーでアーネが4才から5才の間に私が記録できた「なんで?」をご紹介しました。
(参考 『4歳娘が「なんで?」と質問したこと100選』)
今回はこれらの「なんで?」の種類を見ながら、「なんで?」の持つ可能性や育み方を考えていきたいと思います。
●なんでの種類
まず、娘の「なんで?」には、人工物のデザイン(絵、形、色といったもの)、機械・機器の機構(これも広義のデザインですが)といった、形あるものに多い印象があります。
また、人体、動植物といった生命体や生態のつくりについても同様です。
一方、文化、習慣、法といった世の中の決まり事についての「なんで?」もあります。
こうした無形のものは、システムの仕様であったり、その現象の元となっている科学・科学の法則であったり、
「◯◯のし方」といった「方法」も「なんで?」の対象になっています。
こうやって見ると、子どもが目にするありとあらゆるモノゴトが「なんで?」の対象でありますが、大人にとっては取るに足らないと思えること、笑ってしまうようなものから、大人の何の気なしに使っている言葉や習慣に切り込んできて、人生の選択や価値観をゆさぶってくるような「なんで?」が発せられることに、オカシミとオドロキを感じてしまいます。
●子どもによって異なるなんでの個性
心理学者のミシェル・シュイナードは、子どもたちが生後30ヵ月ごろまでは、主に「なに(What)」と「どこ(Where)」を尋ねる質問をすることを観察によって確かめています。(例:「あれは何?」「ボールはどこ?」)
3歳の誕生日を迎えるころになると、いわゆる「なぜなぜ期」に入り、「なんで?」と質問をするようになるのですが、私の娘はあまり「なに」と質問することは少なかったです。
これを保育園のパパ友と話すと、「うちは“なんで?”が終わって、最近は“どうやって?”と聞いてくる」といった例もあります。
娘のなんで?には「どうやって(How)」が含まれている場合もあり、このあたりは子どもの個性が出ているのだと思います。
※ちなみに、「なんで?」には「そもそも(根源)」を問うものと、「本当に?」と疑問を呈するものもあります。
●なんで?から新しいなんで?が生まれる
次に、「なんで?」の終わり方を見ていきますと、娘の「なんで?」に私が答え、そこで「ふーん、そうなんだ」と終わってしまうものと、さらに「(それは)なんで?」と、なんで?から新しいなんで?が生まれるものがあります。
例えば、こんな感じです。
なんでNo.78
娘「なんでママはバターをいっぱいぬるの?」
父「行田のばあば(ママの母)もいっぱいぬるから、ママもいっぱいぬるんじゃない?」
娘「なんで?」
父「親は子どもにたくさん食べてほしいからかな」
娘「なんで、親は子どもにたくさん食べてほしいの?」
(続く)
このように、新しい「なんで?」が起きて、それに対してまた答えることで、「問答」が起きます。
この「問答」から、問い(仮説)を立てたり、その問いを確かめるために観察したり、調べたり、対象を動かしてみたりといった行動につながっていくわけですが、そうなっていくためには、問答する上でのポイントがあると思われます。
●なんで?との付き合い方 ~問い返し、観察
娘の「なんで?」に、ただただ答えていたら、都合のいい回答マシーンになってしまい、娘が自分で考えることをしなくなってしまうかも知れません。
そもそもパパにせよママにせよ、「なんで?」の答えに答えられなかったり、間違うことがしばしば。
ひどい時は、「何でもだよ!」や「そういう決まりなの」と答えてしまう存在です。
そこで、時おり、
「なんでだと思う?」
「パパ(ママ)はこう思うけど、どう思う?」
「どうすればいいと思う?」
と、応えることが必要なのではないかと考えます。
たとえば、こんな具合に。
なんでNo.47
娘「なんでパパはこぼすの?」
父「どうしたらいいと思う?」
娘「よそみしないといいんだよ」
父「それはさっきやってなかった?」
娘「あとは、おさらを近づける」
父「なんでよそみするとこぼすんだろう?」
娘「あっちみて、こっちみて・・・、(※以下記録しそびれました)」
また、頭の中だけで考えること以外にも、「観察」をするということも大事でありましょう。
なんでNo.73
娘「なんでサングラスのうらがわにこんなの(ねじ)がついてるの?」
父「(ねじがついている方とついていない方を)両方よく見てごらん」
娘「あ!リボン(をくっつけるため)か!」
まとめますと、適切な親の介助を経て、つまり「問答」を通じて、子どもは自分で考えたり、観察をしたり、仮説を立てたりすることができるようになるのだと思います。
さらに、仮説を立てれば実際に調べたり、自分の手を動かして確かめたりといった、「行動」することにつながっていきます。
なんでNo.71
娘「(フリスクの箱を見て)なんでこのハコはこんなかたちなの?」
父「こぼれた粒を入れておくためじゃない?」
娘「そしたら、またあけたときにいっぱいでちゃうじゃん。そうしたらはいらないじゃん」
父「う~ん、じゃあ調べてみるか!」
(その後、ネット検索してもわからなかったので、クラシエフーズのお客様相談室に問い合わせて答えを得ました。)
ちなみに、私はこれまで娘が口にしたと私が記憶していない言葉を、娘が話した時、
「それってどういう意味?」と聞くことがあります。
ずいぶん面倒くさい父親のように感じなくもありませんが、娘の「なんで?」を育むには、基本的には応えてくれる相手であるという安心感を与えることが必要であろうと考えます。
●なんで?には環境、文脈がある
これはまだきちんと考えていれておりませんが、娘の「なんで?」には、その時の娘の興味や持っている知識、シチュエーション、身ごなしや、質問をする相手によって、発せられたり発せられなかったり、質問をして答えても、その先に広がったり広がらなかったりするのだと思います。
問答での、問い返しや観察の促しは、相応しい状況や、対象、問題に応じて行わなければならないと考えます。
●Problem は Project になる
子どもの「なんで?」が「問答」や「観察」を通じて、「問いを立て」、
「行動」につながっていくことは、「Problem」は「Project」になっていくことに言い換えることができます。
Problemの語源は「(自分の)前に投げられたもの」で、「与えられた問題」というイメージがありますが、ここでは「(問答を通じて子供が)発見する問題」も含めて、Problemと捉えたいと思います。
このProblemがProject(前に投げる=目的に向かってやることを決めて進めていく)になっていくことは、ここまでの文章でご納得いただけるのではないかと思いますが、既知の問題でも未知の問題でも、与えられた問題でも発見する問題でも(あるいは自ら創り出す問題でも)、子どもが成長して、今以上に未知の世界に身を置き、自分の人生というProjectをプロジェクトマネージャー(※システム開発といった狭義のプロマネではなく)として切り拓いていくには、問題に対して、観察をして、少し動かしてみて、仮説を立て、物事を進めていくという力を身につけておくべきではないでしょうか。
図にすればこういうことかと。
・・・と、ここまで書いてきて、子どもの「なんで?」にはなんて可能性があるのだ!と感動したり、
娘に面倒くさがられないホドの良さに注意しようと思ったり、「なんで?」の問答ばかりで行動につなげてないなぁと反省したり、親バカもここに極まれりと我にかえりますが、「なんで?」と問いかけられる限り、この『こどもんどう』か『問いストーリー』かをつむいでいく所存であります。
以上、親バカが最前線からお伝えしました。
さらに、親バカが高じてこんな記事をソフトバンクビジネス+ITに寄稿しました。
よろしければご覧下さい。
『子どもの「なんで?」の疑問に注目すると「有能」なプロジェクトマネージャーになれる』
(参考 『4歳娘が「なんで?」と質問したこと100選』)
今回はこれらの「なんで?」の種類を見ながら、「なんで?」の持つ可能性や育み方を考えていきたいと思います。
●なんでの種類
まず、娘の「なんで?」には、人工物のデザイン(絵、形、色といったもの)、機械・機器の機構(これも広義のデザインですが)といった、形あるものに多い印象があります。
また、人体、動植物といった生命体や生態のつくりについても同様です。
一方、文化、習慣、法といった世の中の決まり事についての「なんで?」もあります。
こうした無形のものは、システムの仕様であったり、その現象の元となっている科学・科学の法則であったり、
「◯◯のし方」といった「方法」も「なんで?」の対象になっています。
こうやって見ると、子どもが目にするありとあらゆるモノゴトが「なんで?」の対象でありますが、大人にとっては取るに足らないと思えること、笑ってしまうようなものから、大人の何の気なしに使っている言葉や習慣に切り込んできて、人生の選択や価値観をゆさぶってくるような「なんで?」が発せられることに、オカシミとオドロキを感じてしまいます。
●子どもによって異なるなんでの個性
心理学者のミシェル・シュイナードは、子どもたちが生後30ヵ月ごろまでは、主に「なに(What)」と「どこ(Where)」を尋ねる質問をすることを観察によって確かめています。(例:「あれは何?」「ボールはどこ?」)
3歳の誕生日を迎えるころになると、いわゆる「なぜなぜ期」に入り、「なんで?」と質問をするようになるのですが、私の娘はあまり「なに」と質問することは少なかったです。
これを保育園のパパ友と話すと、「うちは“なんで?”が終わって、最近は“どうやって?”と聞いてくる」といった例もあります。
娘のなんで?には「どうやって(How)」が含まれている場合もあり、このあたりは子どもの個性が出ているのだと思います。
※ちなみに、「なんで?」には「そもそも(根源)」を問うものと、「本当に?」と疑問を呈するものもあります。
●なんで?から新しいなんで?が生まれる
次に、「なんで?」の終わり方を見ていきますと、娘の「なんで?」に私が答え、そこで「ふーん、そうなんだ」と終わってしまうものと、さらに「(それは)なんで?」と、なんで?から新しいなんで?が生まれるものがあります。
例えば、こんな感じです。
なんでNo.78
娘「なんでママはバターをいっぱいぬるの?」
父「行田のばあば(ママの母)もいっぱいぬるから、ママもいっぱいぬるんじゃない?」
娘「なんで?」
父「親は子どもにたくさん食べてほしいからかな」
娘「なんで、親は子どもにたくさん食べてほしいの?」
(続く)
このように、新しい「なんで?」が起きて、それに対してまた答えることで、「問答」が起きます。
この「問答」から、問い(仮説)を立てたり、その問いを確かめるために観察したり、調べたり、対象を動かしてみたりといった行動につながっていくわけですが、そうなっていくためには、問答する上でのポイントがあると思われます。
●なんで?との付き合い方 ~問い返し、観察
娘の「なんで?」に、ただただ答えていたら、都合のいい回答マシーンになってしまい、娘が自分で考えることをしなくなってしまうかも知れません。
そもそもパパにせよママにせよ、「なんで?」の答えに答えられなかったり、間違うことがしばしば。
ひどい時は、「何でもだよ!」や「そういう決まりなの」と答えてしまう存在です。
そこで、時おり、
「なんでだと思う?」
「パパ(ママ)はこう思うけど、どう思う?」
「どうすればいいと思う?」
と、応えることが必要なのではないかと考えます。
たとえば、こんな具合に。
なんでNo.47
娘「なんでパパはこぼすの?」
父「どうしたらいいと思う?」
娘「よそみしないといいんだよ」
父「それはさっきやってなかった?」
娘「あとは、おさらを近づける」
父「なんでよそみするとこぼすんだろう?」
娘「あっちみて、こっちみて・・・、(※以下記録しそびれました)」
また、頭の中だけで考えること以外にも、「観察」をするということも大事でありましょう。
なんでNo.73
娘「なんでサングラスのうらがわにこんなの(ねじ)がついてるの?」
父「(ねじがついている方とついていない方を)両方よく見てごらん」
娘「あ!リボン(をくっつけるため)か!」
まとめますと、適切な親の介助を経て、つまり「問答」を通じて、子どもは自分で考えたり、観察をしたり、仮説を立てたりすることができるようになるのだと思います。
さらに、仮説を立てれば実際に調べたり、自分の手を動かして確かめたりといった、「行動」することにつながっていきます。
なんでNo.71
娘「(フリスクの箱を見て)なんでこのハコはこんなかたちなの?」
父「こぼれた粒を入れておくためじゃない?」
娘「そしたら、またあけたときにいっぱいでちゃうじゃん。そうしたらはいらないじゃん」
父「う~ん、じゃあ調べてみるか!」
(その後、ネット検索してもわからなかったので、クラシエフーズのお客様相談室に問い合わせて答えを得ました。)
ちなみに、私はこれまで娘が口にしたと私が記憶していない言葉を、娘が話した時、
「それってどういう意味?」と聞くことがあります。
ずいぶん面倒くさい父親のように感じなくもありませんが、娘の「なんで?」を育むには、基本的には応えてくれる相手であるという安心感を与えることが必要であろうと考えます。
●なんで?には環境、文脈がある
これはまだきちんと考えていれておりませんが、娘の「なんで?」には、その時の娘の興味や持っている知識、シチュエーション、身ごなしや、質問をする相手によって、発せられたり発せられなかったり、質問をして答えても、その先に広がったり広がらなかったりするのだと思います。
問答での、問い返しや観察の促しは、相応しい状況や、対象、問題に応じて行わなければならないと考えます。
●Problem は Project になる
子どもの「なんで?」が「問答」や「観察」を通じて、「問いを立て」、
「行動」につながっていくことは、「Problem」は「Project」になっていくことに言い換えることができます。
Problemの語源は「(自分の)前に投げられたもの」で、「与えられた問題」というイメージがありますが、ここでは「(問答を通じて子供が)発見する問題」も含めて、Problemと捉えたいと思います。
このProblemがProject(前に投げる=目的に向かってやることを決めて進めていく)になっていくことは、ここまでの文章でご納得いただけるのではないかと思いますが、既知の問題でも未知の問題でも、与えられた問題でも発見する問題でも(あるいは自ら創り出す問題でも)、子どもが成長して、今以上に未知の世界に身を置き、自分の人生というProjectをプロジェクトマネージャー(※システム開発といった狭義のプロマネではなく)として切り拓いていくには、問題に対して、観察をして、少し動かしてみて、仮説を立て、物事を進めていくという力を身につけておくべきではないでしょうか。
図にすればこういうことかと。
・・・と、ここまで書いてきて、子どもの「なんで?」にはなんて可能性があるのだ!と感動したり、
娘に面倒くさがられないホドの良さに注意しようと思ったり、「なんで?」の問答ばかりで行動につなげてないなぁと反省したり、親バカもここに極まれりと我にかえりますが、「なんで?」と問いかけられる限り、この『こどもんどう』か『問いストーリー』かをつむいでいく所存であります。
以上、親バカが最前線からお伝えしました。
さらに、親バカが高じてこんな記事をソフトバンクビジネス+ITに寄稿しました。
よろしければご覧下さい。
『子どもの「なんで?」の疑問に注目すると「有能」なプロジェクトマネージャーになれる』