未測量 ~幼児期の算数教育に必要な原体験

アーネ(4歳娘・長女)は今とっても考えてる。

パパといっしょに近所のスーパーにおかいものに来たんだけど、一房4本のバナナにするか、5本にするか、とってもとっても悩んでる。


値段は一律100円。

よく観察すると、4本のバナナは一本一本が一房5本よりも大きい。

アーネはバナナが大好物だから、大きいバナナが食べたいんだぁ。

でも待てよ。
一房5本のほうが5回食べられるんじゃない?

一回の食べる量を優先するなら一房4本がいい。

食べる回数を優先するなら一房5本がいい。

でも、4本を選ぶと食べる回数が減ってしまうし、5本を選ぶと一回の食べる量が減る。

パパが4本と5本のバナナを両手で持ってごらんというので、いっぺんに持ってみたけど、あんまり変わんない気がする。
(っていうか重いー!)

う~ん、どっちにすればいいんだよー!



・・・・・・娘はたぶんこんなことを思いながら、どちらのバナナを選ぶか考えていたはずです。

この出来事は、娘にとって「量」の概念に多様な角度から触れる貴重な体験になったと思われます。

小学校になれば、「大きさ(大きい-小さい)」「重さ(重い-軽い)」「長さ(長い-短い)」「多さ(多い-少ない)」「速さ(速い-遅い)」といった概念を、何グラム、何センチといった測量された数字で理解しなければならなくなります。

数字で理解をするというのは、子どもにとっては非常に抽象的思考が求められます。

これをいきなりペーパーワークで子どもに習得させるハードルは高く、もっと具体的で、まだ数値には表していない未測量の体験の方が、子どもにとってはハードルが低いというか、なじむと思います。
この未測量の具体的な体験を重ねることが、算数に求められる抽象的思考をその身に定着させる有効な手段であるような気がします。

こうした算数(これは算数に限らず国語や理科などの教科にもあてはまるでしょう)の原体験にふれるチャンスは日常生活にころがっており、できるだけそうしたチャンスを拾っていきたいと考えています。

また、こうした日常生活での原体験では、バナナの話を例にとれば「バナナが大好き」という感情のタグづけが非常に大事なのではないでしょうか。

人間が行動を起こすために感情を必要とするように、こうした原体験では何より「楽しい」「好き」「面白い」「◯◯したい(バナナの場合は、バナナをたくさん食べたい)」といった感情が、それについての思考とむすびつくことで、子どもがより積極的に考えるようになるのだと思います。


ちなみに、一房4本か5本のバナナで悩んでいた娘は、その中では一本一本が一際大きい5本のバナナを探し出して、たいへんご満悦でした。

以上、親バカが最前線からお伝えしました。

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