受け手の行為を「読む」から「見る」に変えてハードルを下げる

去年の夏、娘(3歳9カ月)の退院祝いにデュプロのブロックをプレゼントしました。

最初は私が手伝いながら組み立てていましたが、その数ヶ月後には自分で説明書を見て組み立てられるようになっていました。


10月の誕生日には、夏にプレゼントしたものに比べてもう少し難易度の高いデュプロをプレゼントしましたが、今度は私の助けを借りることなく、一人で説明書通りに作っていました。



なんで、そんなことができるのか?

説明書はイラスト付きなので直感的にわかるから―、かも知れません。

レゴの説明書がとても優れているから―、かも知れません。


ものすごく当たり前だと思われるかも知れないことを、なんだか当たり前のように思えないので、ちょっと書きます。


世の中には、書とか図とか譜といった「◯◯の仕方」や「◯◯の方法」について記述されたものがあります。
それは、ヒトとモノをつなぐ手続きのようなもの。こむずかしく言えば、認知と表現の間をつなぐものです。

楽譜は楽器の弾き方を読むもので。音の強弱や長短について書かれています。

レシピは調理方法を読むもので。素材の扱い方、調味の加減などについて書かれています。

設計図はつくり方を読むもので。形やそれを置いたりくっつけたりする場所について書かれています。

ここで敢えて「読む」「書く」としているのは、今はイラストや写真で記述されているレシピも、昔はテキストで書かれていたからです。

■受け手の行為を「読む」から「見る」に変える


この画像は昭和初期のころに書かれたスープのレシピですが、これを見てつくるのは容易ではないですよね。
以前NHKでテキストだけで書かれた日本料理のレシピ情報を見て、その料理を外国人につくってもらう『妄想ニホン料理』という番組がありましたが、作り手が日本人だとしてもこの日本人作者が作ってほしいものを作れそうにありません。

で、これが建物や機械の組み立て方となってくると、テキストではとても表現しきれない。
(でも昔はテキストでやっていたわけです)

そのため、イラストで図解したり、写真で完成図を示すことで、閲覧者の行為を「読む」から「見る」に変え、よりわかりやすく、完成させることができるようにしてきました。


それがブロック遊びにおいては、イラストや写真で説明書をつくることで、説明書にあるパーツと手元のパーツを照合することができるようになったり、パーツを組み立てていく過程がわかりやすくなって、完成までのハードルを下げることに成功しているのでしょう。

と、こういうふうに考えていくと、実は今世の中にある「◯◯の方法」も、まったく新しかったり今まで使われていなかったりしてきた手段の方が、よりわかりやすくなる可能性があるかもしれません。
それはインターネットであれば最近は動画という手段が注目されておりますが、紙であっても同じことは言えると思います。
(ここは結構大事なポイントな気がします)


・・・で、結局、娘が説明書どおりにブロックが作れた理由は何だったかというと、上記の理由だけじゃない気がするものの、他に思いつくことがありません。
それだけのような、それだけじゃないような。でも、それだけなような。

このブログの人気の投稿

オラリティとリテラシー。~子どもが世界を知る二つの経路

著者が解説『プ譜』とは何か?概要とテンプレートを紹介します(動画あり)

高崎線の四人ボックス席で帰るプロジェクト 後編