上司の「3つにまとめる」という話がいつも2つで終わってしまいます

その日、私は新橋のスタバで仕事をしていた。

すると、すぐ後ろの席で会社勤めらしい女性二人の会話が聞こえる。

話しは一人が一方的にしゃべり、もう一方が聞くという構図のようで、要約すると以下のような会話である。



「・・・だからさぁ、最近◯◯さんがうっとうしいのよ」
「どうでして?」


「今から3つにまとめて話しますっていうんだけど、いっつも2つで終わんのよね」
「ハハ、ウケる~」


「でもその2つの話も、1つにできる話だからムリに分けんなっての」
「無理矢理なんだ(笑)」


「君はどう思う?とか言って、発言を促すっていうか問いかけてくんのよ」
「うわ、こまる~」


「グロー●ズに行きだしたから、こうやれって言われたのを会社でやってんの」
「グロー●ズってなに?」


「グロー●ズってね・・・・・・・・・・・(以下省略)」



まさか、新橋のスタバでグロー●ズについての説明を聞くと思わなかったが、会話の主は会社でもベテランっぽい女性である。
事の本質を捉えているという意味では、陰で上司のグチを言いながらも仕事は早く的確なタイプといったところか。

それにしもこの会話はなんと悲しい現実を物語っているのだ。

このエピソードを見た上司クラスタは、

「頑張っているんだから、多めに見てよ」

とか、

「一生懸命実践ちゅうなんだから、わかってよ」

というふうに言いたくならないだろうか。

しかし、現場はそれを理解してくれない。しないものだ。
目を閉じてオフィスのスタッフの面々を想い浮かべてほしい。

「課長、グロー●ズの成果、出てますね!」
「課長、最近なんだか発言が論理的になっていらっしゃいましたね」

などと誰が言おうか。


この話を聞いてさらに絶望的だったのは、これは夫婦間の家事問題にも通じているということだ。

夫は、

「こんなに家事を頑張ってるんだから、わかってよ」

と思っている。

しかし妻はわかってくれない。わかろうとしないものだ。

これはいわゆる「察してほしい」の部類に入るものではないか。

がんばっているのだから察してほしい。男はそう思い、くだんの上司もそう思ったであろう。
(上司が男であったか、上司が男っぽい性格になるのかどうかはわからない)

よく「察してほしい脳」と「言わなきゃわからない脳」は、前者が女性的で後者が男性的であると言われているが、こと自分のがんばりという点においては男女とも変わりないのではないか。


なんということだ。

打合せ後に入ったスタバで、仕事を切り上げればいつもよりずっとずっと早く自宅に直帰できるというのに、途端に帰宅するのが億劫になってきてしまった。

それもこれも、後ろの女性が同じ話を延々50分も繰り返していたせいだ。
(それを、同じように声色を変えず聞いていた相手の女性にも私は驚愕する)

上司と部下。

夫と妻。

男と女は永遠に分かり合えない―。

その一端を垣間見た気がした。

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