保育園で"馬が合う"友達と出会うには?

2歳9か月になる娘が通う保育園には、Aちゃんというとても仲の良い友達がいます。
保育園の連絡帳を見ると、
「二人でママ友のように、○▲※☆◇■○▲※☆◇■だよね~!、と会話をしていました」とか、
「今日は二人で園庭を小旅行していました」など、週に数回はAちゃんと遊ぶ様子が描かれてきて、まことに微笑ましい限り。

こうした友達に恵まれることに感謝すると同時に、2歳児というまだ十分に言葉でコミュニケーションをするには不完全な時期の子供にとって、こうした“馬が合う”関係になるのは至難ではないかと思ってしまうのですが、今回のエントリではこの“馬が合う”関係について少し考えてみました。



このテーマについて考えるキッカケとなったのが、『なぜ ごっこ遊び?―幼児の自己世界のめばえとイメージの育ち(今井 和子 著)』 という書籍です。


本書内で、保育園の園庭で遊ぶ3人の3歳児が園庭の石を歯に見立て、自らは虫歯菌になって遊ぶ様子が紹介されています。その中で著者はこうした遊びが成立した理由を以下のように説明しています:
石を歯と見立てた、すなわちイメージを共有しあった三人だけが、石を掘るという行為を通して、虚構の世界に三人が繋がれたのかもしれません。

注目したいのは「イメージの共有」という言葉です。

「気が合う」「馬が合う」状態というのは、この「イメージを他者と共有できている」からに他なりません。

ごっこ遊び一つとっても、アーチ形の積木を図書館の貸し出しリーダーに見立てるというイメージが二者間で共有できていなければ、図書館ごっこ遊びは成立しません。

こういうアーチ形の積木をバーコードリーダーに見立てる。

これは子供同士がたまたま同じ事象を体験し、同じくらいのレベルで脳裏に焼き付いていたからイメージの共有ができたと言い換えられると思いますが、いずれにせよこうしたイメージの共有ができる友達がいるというのは、本当に稀でラッキーな事ではないでしょうか。

逆にこうしたイメージが共有できないと子供の間で遊びが成立しないばかりか、時に互いのイメージが異なるがゆえにケンカになる事があるのでしょう。

こうしたイメージの共有は年を重ねる=体験を積むにつれ、多くの友達と行えるようになりますが、イメージが共有できなくても社会生活を行えるようにするために、ルールや型といったものが必要になってくるのだと思います。


ちなみに、サッカーは様々なルールとチーム毎の戦術といった約束事で成り立っているスポーツですが、高次なイメージを共有できる選手がチーム内にいると、戦術という約束事を超えて、時に人々の想像を超えたスーパーコンビプレーが生まれます。
(※15秒頃からのプレーにご注目ください)



このプレーの当事者であるルーニー選手(イングランド出身)とテベス選手(アルゼンチン出身)は当時のサッカー雑誌のインタビューで「あいつとは馬が合う」と話していました。

こうした選手がチーム内にいることで選手同士だけでなく、チームも好成績を収められるようになる訳ですが、企業やプロジェクトでも一人のスタッフだけが輝くのでなく、二人以上のスタッフが絡むことで想定以上の成果が出せるようなリクルーティング、人材配置ができると良いですよねー。


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『イノベーティブな子供の見立て力』

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