時短サービスの歴史とこれから

先日、知人のYさんとmogcookモニターさんのアンケート分析を行っていた時に、「女性と時短商品の歴史」について話す機会がありました。

女性、母親にとっての時短商品というと、真っ先に洗濯機や冷蔵庫などの家電製品が思い浮かびます。
最近ではルンバ等のロボット掃除機といった先端的な技術商品の他、家事代行といったサービス商品もありますね。



こうした時短商品を使うことで、女性の社会進出が進んだ(或いは女性の社会進出に伴い、こうした時短商品が提供されるようになった)訳ですが、今回Yさんから教えてもらったのは、ケチャップやデミグラスソースで有名なハインツの商品もそうした背景を持っていたという事です。


説明を追加


ハインツの創業は1869年。
この時代、"ケチャップは多くの家庭で幅広く使われていましたが、主婦たちは生のトマトを洗い、刻み、絶えずかき回しながら煮詰めるところまで、多大な手間と時間を費やして自家製ケチャップを作っていました。”(※ハインツ社webサイトより引用)。ハインツのケチャップは重労働だったケチャップ作りから女性を解放したきたのです。

1900年代前後のアメリカは様々な技術的革新が起こった時代です。
例えば、タイプライターが市場に出たことでタイピストは女性の仕事とみなされるようになり、女性が事務職に就くようになったり。
ミシンの登場が家庭内の裁縫仕事時間を削減したり。

商品が女性の社会進出を促しつつ、女性の社会進出が家事の時短商品開発を促すという時代でした。
(もちろん、第一次大戦で少なくなった労働力を女性が補ったという背景もあります)


ひるがえって、2014年。

核家族化が進み、100年前には存在しなかった多種多様な仕事を、女性がフルタイムで行う事が当たり前になっている時代。

世の中には時短商品や外注商品が出尽くしているように見えます。

ハインツを例にとれば、かつては家庭で作ることが当たり前であったであろう味噌やツケモノ、ソースが市販され、レトルト、インスタント食品が豊富に揃っています。

家電は言うに及ばず、家事代行、保育園や塾の送迎代行、クリーニング店等の“外注”サービス商品も時短商品に該当します。

他人か、これまでよりも操作が楽で仕上がりが良くなる機械にアウトソーシングする事で時短が実現されるようになっています。


わが家は今月で妻の時短勤務が終わります。
2歳になる娘を保育園に預けながら共働きする家庭において、この先どんな家事、育児を人か機械にアウトソーシングして時短できるのでしょうか?

生活者の家事、育児労働のジャーニーマップを描き、生活者の感じる小さな小さな不便さや不合理さをアウトソーシングして頂けるな商品開発を行っていくのか。


少し話がズレますが、『ミシンと日本の近代』という本を読んで改めて発見したのは、ミシンは家族の裁縫仕事の時短だけではなく、隣近所の家庭や内職的に裁縫仕事をする事で、お金を稼ぐ手段にもなっていたという事です。
なので、裁縫仕事が「好きを仕事」にできているのならともかく、生計のための必須手段になっていると時短の文脈では語れないです。

ミシンで稼ぐ女性が現れた

裁縫仕事が好きでお金を稼げていれば、そもそも時短なんて考えなくて良いのかなぁと思いますが、それがWebを使ったアフィリエイトだったり最近流行りのスマホフリマサービスだったり、アナログな手段だと自宅をサロンとして開放、開業するサロネーゼ(※サロネーゼの検索結果)なんでしょうね。


働き方(雇用制度、労働条件)や社会制度そのものを変えないと、という意見もごもっともですが、
もう少し社会と道具(商品、技術)の歴史から、これからの共働きのあり方や暮らし方と、そこで必要とされる商品、サービスを考えてみる事で、「あっちを立てればこっちが立たず」という内容にならない気がします。
(気がするだけ)

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