三重県紀北町の「たいさば」は元祖トリックオアトリートや!

節分と言ったら豆まきですね。

豆まきの楽しみと言ったら、なんでしょうか。

鬼に変装した親にキャーキャー言いながら豆を投げつける所でしょうか。

それとも恵方巻きを食べることでしょうか。

多分、日本全国節分の楽しみ方に大差はないように思いますが、
三重県紀北町の、旧紀伊長島地方の子供たちは、この日を誕生日、クリスマス、お正月の次くらいに楽しみにしています。

それが、元祖トリックオアトリートとも呼ぶべき風習、「たいさば」です。


「たいさば」は毎年節分の日に開催される紀伊長島地方(それも更に境域となる漁師町を中心とした西長島地区)に伝わる風習です。

冒頭、元祖トリックオアトリートと言いましたのは、
「たいさば」が仮装なしの御菓子集めイベントだからです。

各家庭の豆まきが終わる18:00前後を境に、
町には大きなビニール袋やカバンを持った子供たちが、


「たいさばうってー!」

「たいさまうってー!」


と家々を尋ね回ります。

家々ではチューペット、うまい棒、ぱりんこ等の数十円のお菓子を用意しておいて、
尋ねてきた子供たちの袋に入れてあげるのです。
(※ちなみに、チューペットは生産終了しているそうです。知らなかった。。)


これ一袋ではなくて、中の2枚入り1袋。

御菓子の種類は数十円のものが基本ですが、中には「ゆで卵」や「みかん」、更には「豆まき用の豆」をくれるおうちも。。

今は人口減で確かな数字はわかりませんが、私がたいさばに出ていた頃の1980年代で、
たいさばをくれる西長島地区の世帯数は1,000世帯近くはあったのでしょうから、
参加しない家を除いても、子供たちからするとこの一日で数か月分のおやつが手に入るとあって、
0度近い気温になっても元気よく走り回っていました。


時々、豆まきを終えるより先にやって来る子供もいますが、そこは厳然としたルールがあって、
豆をまき終わらない限り、御菓子はあげないのが習わしなのです。
(そのため、豆まきが終わった印として玄関先に豆を少しまいておきます)


この「たいさば」という風習は、以下のような謂れがあるそうです。
『東紀州ほっとネット』より引用)

新しい年を迎え、今年もたくさん魚が獲れるようにと願う“叶豊漁”の祈りが、
「鯛・鯖売って」の行事につながっている。
節分の夜、船主の家々をまわり、
「魚をようけ(たくさん)獲ってきたんやってな。私の家にも分けてほしい。」
「そうか、おかげでようけ獲れたんや。売ってやろう。」
こんな人々の豊漁を願い、祝う気持ちが「鯛・鯖売って」の行事になったとされる。


この行事には一度娘を連れて体験させてみたいと考えていますが、人口減が進む町ではじわじわと規模も小さくなっているようです。

地域の子供が地域とのつながりを持つ事のできる希少な行事なので、この行事を元により多くの人が参加してくれて、地域を盛り上げるような試みがなされてほしいと思いますが、
ハロウィンよろしく仮装要素を加えてコンテストを開催してみたり、この行事自体をパッケージ化して、簡単に開催できる地域行事として展開する等、今度、現地の知人、友人とアイデア交換してみたいと思います。

このブログの人気の投稿

オラリティとリテラシー。~子どもが世界を知る二つの経路

著者が解説『プ譜』とは何か?概要とテンプレートを紹介します(動画あり)

高崎線の四人ボックス席で帰るプロジェクト 後編