荒井良二さんの「絵本じゃあにぃ」から学ぶ物語の作り方

Eテレで放送中の荒井良二さんが講師をつとめる絵本作りワークショックで紹介されていた絵本の作り方がひじょうに興味深かったのでポスト。





この番組は絵本作家の荒井良二さんが数学者のピーター・フランクルさん、お笑い芸人の川村エミコさんと、合計8回にわたり絵本作りのさまざまなワークショップを通して絵本の習作を作り、最後は一冊の絵本を仕上げるというもの。

NHKEテレ 趣味Do楽「荒井良二の絵本じゃあにぃ」


私が見たのは第3回「“さんぽ絵本”を作ってみよう!」です。

番組開始前、絵本を作るという作業を、エッセイや小論文講座のように、書きたい主題を選んで、起承転結を考え、推敲を繰り返すんじゃないの?と想像していたのですが、なるほどと膝を打たされる内容でした。

制作工程は以下の通りです:
  1. 一枚の画用紙に自分の家を中心にして周辺の地図を描く
  2. 正方形の型枠を使い、地図上から11ヶ所のシーンを切り抜く
  3. くりぬいた地図を、見開いた絵本シートの1ページに1枚ずつ貼っていく
    (1枚は文章を書き込む用に何も貼らない)
  4. 11枚分の貼り終えたら文章を書く
最初は家のまわりにどんな建物を置こうかとか、道と道をどうつなごうか等、あれこれ考えながら筆が進まなかったピーターさんと川村さんですが、荒井さんのアドバイスで、
地図は線から書くと良い」
「道は直線にこだわらず、曲線でもいい」
「線は一本のクレヨンだけでなく、数本束ねて書いてもいい」
といったアドバイスを通じて、徐々に地図が作られていきました。

地図を完成させるまでは時間がかかっていたようですが、
2の工程に至ると、「どの場所に使用かな~」と、たいへん楽しそうに地図を切り抜き始めます。
既に地図が完成しているからでしょう。
絵本シートに貼る工程はスムーズで、文章を書く作業もたいへん楽しげに映りました。


絵本作りのアドバイスには、文章を書く時には、擬音語をなるべく使う。絵を直接説明するような文章は避け、連想させる言葉を選ぶといったポイントがありましたが、興味深かったのは「絵本の構成方法」です。


■「構成」がすべてのカギを握る。

私は毎月実家の両親に娘の成長をひと月分まとめたフォトブックを送っているのですが、
最も頭を悩ますのが決められたページ内に、どの写真を、どのようにレイアウトし、文章をつけるかという「構成」の部分です。


(※参考記事:『時間がないけどフォトブックを作りたい人へのお勧めサービス。』


フォトブックを作る上で悩みどころとなる「構成」について、上記の絵本作成の工程を参考にしながら考えたいと思います。

私はフォトブックをPCで作成しており、作成にあたってはスマホ内のデータを一度PCに移します。
その上で、「これを使おうかな~」という写真を適当にピックアップしてフォトブック作成管理画面にアップロードしてきます。

まず、ここが面倒くさい。

どの写真を使うかという取捨選択の工程をなくしたい。

作成するひと月分の写真をアップロードするという手もありますが、アップロードしすぎると写真をレイアウトフォームに置いていく時に写真を取捨選択せねばならず、面倒さを後ろ倒ししたにすぎません。

一方、さんぽ地図は先に地図を作ってしまうことで一つの物語、世界を構成しています。
構成が既に完成しているのです。
そこから絵本で使いたい地図を切り抜いていくので、取捨選択の作業負荷が高くありません。

言ってみれば、スポーツの試合を全て録画したものが「さんぽ地図」で、見せたいシーンだけをピックアップしたダイジェストが「さんぽ絵本」という感じでしょうか。

その点、フォトブックは地図作りを経ないで、絵本を作っているような感じで、一から構成を組み立てていかなければいけない大変さがあります。
(そもそも、フォトブックの構成を考えて写真を撮る人などいないでしょう)


フォトブック作成においても、「さんぽ地図」から「さんぽ絵本」を作るような工程を経れば良いのかも知れないのですが、この慌ただしいライフスタイルの中で誰がそんな七面倒くさいことをするでしょうか?

対応策として、歴史にヒントを求めるなら、城を素材一つ一つら作るのではなく、櫓や城門などのパーツを予め作っておいて、「組み立て方式」で作ったと言われる墨俣城式をフォトブック作りにもちこめば、フォトブック作りにおける面倒さや構成を考える時の悩みも解決されるのではないかと考えます。

とはいえ、時系列で並べておくのは間違いではない、「まぁいいか」と思えるレベルの「構成」にはなっているので、それで満足な人も少なくないと思います。


個人的には、1つ1つの写真を積み重ねて物語るを作るのは難しいので、エピソード単位でまとめて、物語を作りやすい状態を創り出すこと。アウトプットまでを無理のない形で導く提供することをもう少し掘り下げて考えたいと思いました。


話が散漫してしまいましたが、この番組は今日(11/12)を含めてあと3回あるので、関心を持たれた方はぜひ見てみて下さい。

毎週火曜 21:30~ 11月12日 第7回 キャラクターを生み出そう!
11月19日 第8回 わたしだけの絵本を作ろう!(卒業制作)
11月26日 第9回 総集編


余談ですが、この番組を見るまで荒井良二さんがどういう人なのか全く知らず、家に1冊ある絵本を見て、
小学生作家だと思い込んでいました。
(僕はなんて見る目がないんだ。。。)

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