教室は間違うところだ
アーネが元教員の私の父とオンライン授業を行った日のことを記録しておく。
アーネはじぃじっこで、三重の実家に遊びに行くと、色々なところに遊びにつれていってもらい、父のパソコンでシールをプリントし、それを切って貼って遊ぶのが好きだ。父の膝の上に座ってテレビを見たり、背中に乗っかったりして、見ていてたいへんほほえましい。
オンライン授業でも楽しくやるだろうと思っていたが、授業が始まってから時折父が冗談を言って笑うほか、終始表情が硬かったように思えた。オンライン授業終了後、アーネに感想を聞いてみると、ちょっと恥ずかしそうな、複雑な表情をして、
「緊張した」とポツッと言ったあと、すぐに「だって先生みたいにじぃじとばぁばが話したことがなかったから」と続けた。
発問されて答えるとき、すこし自信がないと「‥‥?」と小声になるシーンが数回あった。
父がオンライン授業中に「ここは学校じゃないから」「楽しくやろう」とアーネに声をかけても、いくら普段は楽しくおしゃべりをする相手だとしても、“教える―教わる”モードになると、これまでの関係を持ち込めないというか、間違ってはいけないとか、正しいことを言わねばいけないといった気持ちになるのかと思った。
これは1対1の授業である。
これが30人のクライメイトがいる教室だったらどうなるんだろうか?
私が子どもだった頃どうだったかはもう覚えていない。
父の好きな「教室はまちがうところだ」という環境をつくるのは、容易ではないと感じた。
ただ、オンライン授業は設計次第で、「まちがうところ」として機能させられる気がした。
それについてはまた改めて考えてみたい。