なんで他のチームを応援しなきゃいけないの?


アーネ(小二)の一学期がアッという間に終わり、ゆっくり振り返る間もないまま夏休みに突入しています。
一学期のアーネの言動から考えたことがいくつかあるので、盆休みを機にご紹介したいと思います。

6月に運動会がありました。
紅組と青組に分かれて競技をし、点数を競い合うわけですが、運動会の練習期間中にアーネが、

「なんで他のチームを応援しなきゃいけないの?」

と聞いたのです。

運動会では、応援合戦のようなものがあって、自分たちのチームだけでなく、相手のチームの応援もするのだそうです。

アーネは七夕の短冊に「いろいろなぎょうじでかてますように」と書くタイプの子どもです。
他者を応援することは自分のチームにとって不利だと考えてもおかしくありません。

私も幼少の頃からスポーツをしてきましたが、観客としてならともかく、自分がプレイしているときに、相手を応援するなんてことを一度たりとも思ったことはありませんでした。

なんと答えようかと考えていて思い出したのが、プレミアリーグ2018-19シーズンの優勝レースでした。

この年、ジョセップ・グアルディオラ監督率いるマンチェスターシティが勝ち点「98」で優勝し、2位のリバプールの勝ち点は「97」でした。
シーズン中盤までリバプールが首位を走りつづけたものの、終盤に引き分けが続き、シティと順位が逆転。その後リバプールはシーズン終了まで9連勝しますが、シティはそれを上回る14連勝で、わずか1ポイント差で優勝したのです。

優勝を決めた後、グアルディオラは、

「リバプールが我々のスタンダードを押し上げ、高めてくれた」

と、感謝と称賛の意を述べています。
「リバプールがラスト2カ月で1ポイントも落とすことはない」と確信していたから、自分たちも14連勝という破竹の連勝でシーズンを終えられたのだと。

このインタビューを思い出して、相手チームを応援するとはこういうことではないかと思いました。

相手のパフォーマンスが、自分のスタンダードを押し上げ、高める。

あえて相手を応援して相手のパフォーマンスを上げ、それによって自らのスタンダードを押し上げる。

これは、かつて大田区や東大阪市などの中小企業群が、密集した地域で互いにしのぎを削りあう中、高度な技術や先進的なイノベーションが繰り返し産み出され、結果的に個々の能力の総和を超えるような業界全体の躍進をもたらした状況に似ています。

全体が部分の総和を超える「創発」現象は、社内だけでなく、ライバル企業とも起こるのだとしたら、スポーツにおいてもそれは起こり得てもおかしくありません。むしろスポーツの方が、相手のパフォーマンスの影響を受ける距離が近く、スピードも早い分、それは起こりやすいと言えるでしょう。

「自分のスタンダードを押し上げるために、相手の応援をするんちゃうかな」

と言おうとして、アーネとジージョがケンカをし始めたため結局言えずじまいだったのですが、また折を見て話をしたいと思います。

以上、親バカが最前線からお伝えしました。

このブログの人気の投稿

子どもがよろこぶ「おはなし」の作り方

【著者解説動画有】『プ譜』とは何か?概要とテンプレートを紹介します。

高崎線の四人ボックス席で帰るプロジェクト 後編