「わける」ことは「わかる」こと ~幼児から始めるタクソノミー

仕事をしていく上で論理思考ってほんと大切だよなーと痛感する毎日ですが、論理思考に必要な要素の一つである、「ものごとを分類する力」を育む絵本がありました。

『さよならさんかく』

3歳になった娘のお気に入りの絵本に「こぐまちゃんシリーズ」があります。
なかでも、鉄板のホットケーキ本に加え、「さよならさんかく」という絵本が特にお気に入り。

この絵本は、

「しかくはなあに」

という文章に、豆腐やサイコロ等の四角い物の絵を。

「きいろはなあに」

という文章に、バナナやひよこ等の黄色い物の絵を見せるという、分類についての原始的な力を育む(キッカケを与えてくれる)タクソノミー本です。


娘はこの本を読んでいるうちにフシを覚えて、

「まるいはなぁに、まるいはトマト」
「さんかくはなぁに、さんかくはテント」

といった風に(時々間違えながら)そらんじるようになり、
まるいホットケーキを見れば、

「おつきさまみたいだねー」

などと言うようになりました。


植物学者で日本の分類学の草分け的存在である中尾佐助先生は、「分かる」「解る」という言葉は、「分ける」という言葉から発すると考えたそうです。

『分類の発想』

最近では、登園時の自転車で信号待ちをしている間に、私が

「車がいっぱいだね」

と言うと、

「ちがうよ、トラックだよ!」

と訂正された事がありましたが、娘がこうしてものごとの分類を無意識的に行い、その世界の理解を深めていく姿を間近で見ていると、「分ける」は「わかる」に通じるものであると納得してしまいます。


こうした分類する力は、仕事をするようになれば複雑な問題の分析や解決策を考える場合に活用するピラミッド・ストラクチャー、ロジック・ツリー、MECE等の論理的思考を構造化する技術に適用されます。

MECEで的確な分析を行うためには,モレなくダブリなく分類するだけでなく、分類肢が豊富にあることが重要ですが、これを今後の娘の教育にあてはめると、以下のようなことが言えると思います。

・分類肢を豊富にするにはインデックスを増やす働きかけや体験をさせれば(多分)いい。
・その一方、(よい分析をするには)斬新な切り口(分類肢)も必要。
・斬新、ユニークな分類肢を思いつくための教育は、分類肢を豊富にさせるものとは又異なる。

3つ目は具体的に何をさせればいいかまだわからず、右脳教育がー、左脳教育がーとよくわからないので、そのうち勉強したいと思います。

ただ、一つ言えることは、娘がその世界の広がりと共に、これまでの分類では理解できない、受けきれない状況がきっと起きて、それを拒否するのではなく、理解しようと努めることが成長につながるであろうということ。そんな育児をしていきたいということです。

大きく話を戻して、
この絵本が幼児にとっての分類事始めになるであろうという事で、おすすめです。

以上、親バカが最前線からお伝えしました。


■余談だが

この記事を書いたのは2013年に松井博さんが以下のツイートをされていたのを日記にメモってあって、それを年始に見返していたのがキッカケでした。
分類する力から、「見立てる」「ごっこ遊び」につながる子供の力について言及されていて、とても勉強になるので、こちらもぜひ見てみて下さい。

※関連ツイートのまとめ(togetter)はこちら↓。
『幼児期に必要なのは「感覚」の訓練』

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