保育の質を高める保育園の造り方

先日、保育園の面談に行ってきました。
そこで目撃した保育の素晴らしい運営オペレーションから、保育園のあり方や、保育園の教室というハードがいかに保育の質を高めるのに重要かという事を考えさせられたのでポストします。





■ゆるやかな保育士の動きとオペレーション

今回の面談は、娘と一緒に登園した後、親が室内の着替え置き場のある棚に隠れたり、園庭遊びをしている間、室内に残ったりして、カーテン越しに娘の様子(保育の様子)を見ることがメインでした。
(その間に、先生と面談するという形)

9:30頃に登園し、まずは室内での遊びを見て、その後園児たちが園庭に出て行きます。

その間、室内ではパートの方が入れ替わりやってきて、
・掃除機をかけ、
・給食の配膳準備をし、
・教室の奥にある畳スペースに布団をしいてお昼寝の準備をする等、
実に淀みがありません。

園庭遊びの後は園庭と教室の間のベランダで着替え。
1クラスを3つのグループに分け、ベランダが混まずにすむよう順番に行います

また、登園時に園児6人分の着替えを入れておくカゴがあり、どのように使うか疑問だったのですが、園庭遊びが終わって、着替えさせる時に、そのカゴを丸ごと持っていくと、園児が自分のシールが貼られた所から自分で着替えを持っていくのですね。

試行錯誤(していないかも知れませんが)の結果、行き着いたオペレーションかと思うと非常に感心しました。


この一連の淀みない流れを“テキパキ”と表現するには少し固すぎて、保育士でもある妻にこのことを話したところ、
妻曰く、保育士さんの動きがゆるやかなのだそうです。


着替えの準備ができているカゴがあるから、
着替えた後の配膳準備が済んでいるから、
園庭と教室をつなぐベランダスペースがあるから、
ベランダで園児が自分で洋服を脱いだり着ようとしたりしても、保育士が急かしたり、保育士自身が着替えさせようとしたりしない。

だから、保育活動に専念できるというか。慌てていないというか。
園児や保育士の動きに無理がなかったり、ヒヤリハットが少なかったりする印象。

また、保育園ってもっと保育士の「あれダメ―!」とか「いけません!」とか「あ~ぁ!」という声がするのかと思っていたのですが(自分が家庭でしているので。。)、そうした声もほとんど聞かれない。

それは保育士としてのトレーニングを受けていることはもちろん、
保育活動を行うにあたってのオペレーションといったソフト面に加え、
教室や園庭、ベランダなど、保育園の各施設、設備が、保育園が保育園として作られているというハード面の要因が大きいのだと思います。
(こういうの、保育のアフォーダンスがうまくいっていると言えばいいんでしょうか?)

ハードが整備されて、オペレーション等のソフトも充実している。
なんと手厚いことでしょう。。


■あるべきものを、あるべきように作る豊かさ

今、都市部では保育園不足が問題となっており、各地で保育園の増設が進められています。
とはいえ、用地確保の手間や建設コストもかさむため、東京では6 ~19人を定員とする小規模保育所「スマート保育」が推進されたり、施設開設の条件を緩和るなど、既存の施設を買ったり借りたりして、保育園を増やしているそうです。

企業内保育所、増設へ規制緩和 厚労省 2013/7/21
・東京都における保育サービス拡充の取組について


子供はどんな所でも育っていくものだと思いますが、
今回の保育園面談を機に、保育士が快適に、安心して、保育に専念できるハード面での環境整備は、長く働いてもらうためにも、保育の質を高める意味でも大切な気がしました。


保育園をゼロから作る、というのは保育を行う上ではそれが本来あるべき形なのかも知れませんが、「駅に近いから」「費用が安いから」といった理由だけで、新設する場所を決めてほしくないなぁと思います。

そもそも職場の都市部への一極集中や、長時間通勤、保育期間における勤務制度など、ライフスタイルや法制度を根本的に見直さない限り、この問題は解決されないでしょうが。。


なんというか、あるべきものをあるべきように作るというのは、たいへん豊かなことですね。。

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