自治体のオープンデータを使って『子供の病気予防アプリ』を考えてみた

杉並防災アプリを作って以来、色んな自治体から防災はもちろん、育児や教育に関するアプリを作れないかという相談を頂いているのですが、
最近、「ビッグデータやオープンデータを活用したアプリ」という、具体的なスケジュールが決まっていないんだけど、とりあえず聞いてみたいという、ポヤッとしたお題で問い合わせが来るようになりました。

行政の仕事にうす~く、長く関わってきたせいか、
「行政が所有するデータを使えば、○○○な課題を解決するサービスを作れるのでは?」と
考えることが時々あったものの、
今、行政がどのようにビッグデータやオープンデータを活用したいのか。
活用にはどんなハードルがあるのか。
データを使ったビジネスチャンスにはどんなものがあるのかといったことを勉強したいと思い、2013年7月10日に行われた下記のイベントに参加してきました。





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【 MashupAwards 特別企画:銀座編】
ビッグデータ・オープンデータが「くらし」を「変える」
-住みよいまちをみんなで考えるアイデアソン! - #ma9
http://atnd.org/events/41196
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本イベントはメディアテクノロジーラボとビッグデータ・オープンデータ活用推進協議会との共同開催ということで、推進協議会からは千葉市総務局情報経営部の職員の方々が参加されていました。

本イベントでは、「防災」「教育」「健康」の3つのテーマでデータを活用したサービスアイデアを考える事になり、私が参加したチームでは「健康」をテーマにサービスを考えたので、以下にまとめます。



■サービス名:病気予防アプリ

※以下、ブログ記事調でサービスの紹介を行います※

【1.サービスを考えた経緯】

先週、三連休(2013.7.13~15)最後の夕方、娘が発熱しました。
手首や膝小僧にプツプツした発疹ができており、保育士の妻が「手足口病かも」と翌朝受診した所、案の定手足口病でした。

最近、娘が「バスに乗りたい乗りたい」と言うので、この三連休はあちこちバスでお出かけしたので、発熱は暑さと疲れのせいだろうと思っていたのですが、なんと例年よりも早く、多く手足口病が流行っているそうではありませんか。

こちらのニュースをご覧ください。

『都内で手足口病"流行警報" 患者の9割が子ども』
http://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/2/0/2089.html

http://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/2/0/2089.html

おぉぉ、流行ってるなぁと思いきや、私たちが暮らしている杉並区は真っ白。

周辺地域からまさにこれから感染されていくような状態だったようです。

それはさておき、問題なのはこのニュースの掲載日です。

記事タイトル上部の日付をご覧ください。



7月16日だと・・・!?



連休明けテルヨ!

もっと早くわかってなかったの?
記事を引用しましょう。

都感染症情報センターによると、都内では、262カ所の小児科定点医療機関からの患者報告数が第18週(4月29日〜5月5日)以降に増え始め、6月に入って急増。第27週(7月1日〜7日)に1医療機関あたり6.01人となり、都の警報基準である5.0人を上回った。

傾向は出たたのか。。

これ知ってたら、連休中出かけなかったよ!
杉並区から出なかったぞ!


※補足:
その後、ニュースを調べたところ、7/5と7/8に手足口病の流行に関する記事がYahoo!トピックスに掲載されていた事がわかりました。

ヤフトピ出てても、見てない時は見てないんだよぉぉお!

・・・とまぁ、こうした体験をしたばかりだったものですから、
このようなデータが早い段階で収集され、オープンにされており、子を持つ親が見ることができれば、これから病気が流行りそう(流行っている)地域に出かけることはなく、
娘にかゆくて痛い思いもさせずにすむサービスを作れるのではないかと考えました。
(※もちろん、こうしたデータの公表に必要な調査、検討期間、内部調整があることは承知しています)


■病気予防アプリの概要

概要を超ざっくり、図にしました。


あくまで、私個人のライフステージにおける不満、不安、要望に基づいております。。

ポイントは、

  1. これまで収集、分析、公開に時間がかかっていた情報をデジタル化して、公開までのスピードを上げる
  2. 週次、月次(?)の症例、健康状況レポートを日次で行えるようにするシステム作り。
  3. ユーザーの年齢、居住地に応じた最適な情報配信
  4. ニュースだけでなく、地図等でも閲覧できるようにする事で、家族のお出かけ計画のサポートをする。(家でおとなしくするという判断も必要であろうため)
  5. ユーザーに専門アプリをインストールしてもらうことで、より情報の見落としを防ぐ。
といった所でしょうか。


なお、海外では以下のような類似サービス、先行事例があるようです。

ツイッターで病気の拡がりを察知するアプリ
近所での流行病の発生状況がわかる『iPhone』アプリ


ちなみに、千葉市では「ビッグデータ・オープンデータの活用アイデアコンテスト」と称したコンテストを開催しており、最優秀賞には賞金10万円が贈呈されるそうなので、ご興味のある方は参加されてみてはいかがでしょうか?


『ビッグデータ・オープンデータの活用アイデアコンテスト』
http://www.city.chiba.jp/somu/joho/kaikaku/download/idea_contest_youkou.pdf



■オープンデータ活用に関する所感


行政のデータについては正確を期すという目的から、鮮度の高い(生に近い)データを取得する事のハードルはかなり高いように感じるので、まずは使用しても差し障りのないデータを活用することから始まるのだと思います。

それって使う価値あんの?と思われるかも知れませんが、それはデータの使い方と使う目的、使って解決したい課題の種類によって異なるので、まずは行政がこうした試みを行い始めたことを歓迎すべきではないでしょうか。


最後に、
今回のイベントでは、主催者から「ビッグデータ、オープンデータをビジネスに活用」「ビジネスチャンスを生み出す」という言葉が再三聞かれましたが、
現在の自治体の提供可能であろうデータと、その使用価値を鑑みると、ビジネスチャンスを生み出すということより、
そのデータを活用する事で、少しでも居住する自治体内の暮らしが円滑になる方向に向かえば良いなぁと思いました。

あと、オープンデータを使う事で色んなサービスが安く生まれると思いますが、開発者の善意や公共意識の高さに頼ることなく、しかるべき仕事には、しかるべき費用を支払ってくれるといいなと思った次第です。。
(個人的体験に激しく基づく感想。。)


*自治体オープンデータ関連の記事はこちらもどうぞ:
『自治体のオープンデータを使って、ゴミ出し目覚ましアプリを作ってみる』

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